六等星の祈り -Dreaming,Dreamin- ~転~

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はじめに

この記事は自作シナリオ「六等星の祈り -Dreaming,Dreamin-」を自PCでやったらどうなるかという妄想を形にしたリプレイ風ノベルです。

以下の点に注意して読み進めてください。



・シナリオ「六等星の祈り -Dreaming,Dreamin-」のネタバレを含みます。

・上記シナリオには記載されていない描写が含まれます。

・シナリオ筆者によるハーベストの解釈を基にした、独自設定が含まれます(例:カース特別対策委員会に所属している生徒の人数、魔法学園ハーベストの入学式の日など)。

・このノベルの結末は、登場人物全員が幸福になるハッピーエンドではありません。

・前パートの読後を推奨いたします。

Chapter17「本当は叫びたいんだ」

学生たちが互いのエゴをぶつけ合っているほぼ同時刻、所は黒き森の奥深く。
多くの樹木に守られるように存在するその場所には、樹齢何百年と容易に思わせる大木があった。その幹に今、一人の少女が捕らわれていた。
そして大木の前方の、開けた空間。それの成長とともに自然と作られた広場には、捕らわれている少女と瓜二つの人物が、現代的な袋を持ってしゃがみこんでいた。
「……はい。これ、今日の分」
無造作に包装紙を開け、中身を取り出し少女に差し出す。どうやらハーベストの購買で売られているメロンパンのようだ。包装紙に描かれた桃色の魔法使いの笑顔が手から離れ、ふわりと空を舞った後地についた。
「…………あ、り……がとう……」
差し出された食事を、少女はゆっくりではあるが食べていく。手の自由が今この瞬間にでも手に入れられれば、きっと飢えた獣のようにがっつくだろう。


「……あの。え、っと……」
何か言いたそうな少女に気付き、手を降ろす。そして、その後の言葉に詰まったのを確認し、「彼女は自分の名前を知らない」ということを認識した。
「スミレ」
本当の名前など教えれば、自らの身が危うい。だから、名乗る際はその時記憶に残っている花の名前を引用することにしている。もちろんそれらの全てが偽名である。……そういえば最近、どこかでスミレと名乗った気もしなくはないが、それは一旦おいておこう。
「スミレ、ちゃん。驚かせて、ごめんね……けほ、でも、本当に、謝りたくって……」
「だからって、縄張り近くに墜落する方も悪い……しんにゅーせー?だか何だか知らないけど、わたしたちクリーチャーの存在を知らないわけでもないでしょ」
「…………」
黙り込んでしまった。どうやら本当に知らないらしい。


「…………とりあえず、わたしはきみを死なせるつもりはない。事故……?みたいなものだってことも、きみを心配して探してる人がいるってことも理解してる。なるべく手荒なことはしないから」
「……よか、った」
衰弱によるものか、命に関わる害が来ないことを知ったからなのか、少女は……リリアは眠ってしまった。彼女と言葉を交わすうち、少しではあるが、彼女の事情も知れたような気がする。
(自分の身を痛めてでも産んでおきながら、その子供を愛さないで放置って、ほんとどういうこと……?人間ってやっぱり、分からないや)
リリアの今の願いは、「カレンせんぱい」とやらに見つけてもらう事。しかしそれが叶ったら、この事件が解決したら……自分が死んだら。
彼女は果たして、救われるのだろうか。

Chapter18「こんな感情、奪ってほしかった」

……強風呼び、からの衝突連撃によって、校庭は散々な有様になっていた。地面はえぐれ、木々の葉は数枚しか残らず、壁にはいくつもの激突の痕跡。そして、一度壊れた後に修復されたパトラの発動体のかけら。
あらゆるものがバラバラになったその場所で、ラビリ達は立っていた。結果から言えば、感染者二人の鎮圧には成功。ヒーローの勝利だ。
(……こんな勝負で勝っても、嬉しくないけど)
ふぅと息をつき、メガネのレンズを磨く。あの戦闘の中で割れるどころかヒビも入っていないのは、まさに奇跡というべきだろう。
「と、とまった……んですかね?」
未だ信じられない、という様子で息も絶え絶えなパトラが告げる。同じく新入生のリンネは、「そうみたいだね」と同意する。
「とりあえず、医務室に連れて行こう。発動体壊したから、しばらくは暴れることはない、と……思う、けど……」
言葉尻が弱々しくなるリンネに続き、カレンが言う。
「直に触ることで感染する可能性があるし、無理のない体制で浮かせて運ぶけど……いい?」
その感染経緯がもし可能性ではなく本当なら、あの偽物に抱き着かれた時点で自分も感染しているし、フジに蹴られた残り三人もそうなのでは……という言葉を引っ込め、ラビリは「いいんじゃない?気絶しているとはいえ、アスカの偽物なんかに触りたくないし」とだけ言った。

全員が同意し、カレンの【フロート】によって二人を運んでいる最中のこと。
「……ぁ……」
小さな声が聞こえた。主の方を見れば、絶賛気を失っている明日翔がいた。三人も気づいたようで、足を止め声に耳を傾ける。
「ぁ……ら、び……り……」
自分の名前だ。いつ聴いても、彼女から呼ばれると思うと本当に腹立たしくなる。もう少し痛めつけようか、とメガネに手を伸ばしたその時。
「……ごめ、ん。なにも、しらなく……て。きみの、くるしみ……もうひとりの、わたし…………」
うっすらと、目が開かれる。光を失った桃色が、こちらを見据える。
「どう、か。ゆるさない、で……」
それを最後に目は閉じられて、あとは静かな寝息だけが響いた。
「…………」
許さないで?誰を?アンタを?何も知らなかったからって理由で?はなから許す気なんてない。今更謝ったって、アスカは帰ってこないんだ。だから。


「アスカの偽物の癖に、こっちを気遣いすんな、バーカ!!!」


そう叫んだ。三人はそれぞれの反応をしていた。意識を取り戻したと思ったら再び眠ってしまった明日翔を心配するパトラ、目を丸くして呆然とするリンネ、視線をそらし何かを思案するカレン。誰も、この場でこちらの事情に踏み込まないでくれたのが幸いだった。もしも仮に、そんな輩がいたら。
(味方だろうと容赦なく攻撃するところだったから)

「それで、えっと、その。この後、どうすればいいんでしょうか?」
「確かに。おしえてせんぱーい!!」
未だ不安そうにしているパトラの意見も納得だ。彼女はまだこの学園に入学したばかりで、受けたと思われる授業もほとんどがオリエンテーションのみ。そんなホヤホヤの新人がカース事件に巻き込まれた時の対処法など、あまり想定されていない。と、思う。個人の感想。
「とりあえずはここの所の二人……偽物とフジの身辺調査。詳しく言うと、どこで何してたかーとか、普段と違ったところはなかったー?とかの聞き込み。後は、カース特待が居ることだし今回の事件について適当に資料漁って」
「りょーかい!」
「それと、事件にはあまり関係ない……と思うけど、リリアのこと。それに、この前見かけた……彼女に似た姿の子のことも」
「ひとまずはそのような感じですね!なにか新しい手掛かり見つけたらどうしましょう?」
「そこも一緒に調べるといいよ!あ、もしひとりで調べられるかなぁ……ぴえん、って感じだったら連絡してくれればいつでも駆けつけるよ!」
なんせチームメイトだし!とリンネがパトラに向けてサムズアップをする。……思えば今のところ、自分だけこのメンバーの連絡先を知らない。自覚すると同時に疎外感が出てきた。スマホを取り出して連絡先をメモしたアプリを3人に見せ「ついでに私のも登録しといてよ。……今回の件で縁切れるかもだけど、もし何かあった時用にさ。ヒーローと友達になれるなんて結構レアだからね?」と、即席の笑顔とふざけた調子でラビリはそう言って見せた。

Chapter19「真実へ近づくために」

先輩方のご教授もあり、無事に情報を集めることが出来た。でも、何とか集められたのはフジちゃんに関することだけ。日頃からの山への熱意が熱すぎるためか目撃情報などが少なく、ようやっと手に入れられたものだった。
それは同学年のリンネちゃんも同じなようで、彼女の前には山積みになった資料が…………あれ?
(リンネちゃんの場合は、カース特待から該当資料を全て持ってきて……かも?)
ラビリさんはどこか苛々している様子だ。明日翔ちゃんと一番接点があったとはいえ、調べることは不本意だったよう。本当にごめんなさい……。
カレンちゃんもリリアちゃんに関する情報……だけにしては、ずいぶんと多い資料を手にしている。実はハーベストでの個人情報って……必要であればすぐに持ち出せるセキュリティレベルなのかしら?

「それじゃ、全員集まったし報告会やるよ。各々報告は持ってきた書類共有するなり、口頭で説明するなりお好きにどうぞ」
ラビリさんが口火を切ると、ばさりと数枚の資料を机に放った。そこには明日翔ちゃんの顔写真と健康診断ではかられたと思われる身体情報、相性がいいマナ属性と使用可能魔法の一覧……様々な情報が乗せられたそれの後ろに、「対象の親しい人物に変身したりして、誰かを驚かせることが好き。悪趣味なそれのせいで人間関係が希薄で、対人関係での距離感が掴めていない。厄介な相手」と書かれたメモが貼られていた。
「あ、そんな投げやりな感覚で進めるんだ……じゃぁ、こっちで集められたのも量が多いし……みんなで見てもらおうかな」
それに続くように、リンネちゃんが置かれた資料を机の中央に押し出す。さすがにまじめな資料、文字がいっぱいだ。内容を要約すると「何かしらの叶えたい願いがある人に感染し、初期症状として声が大きくなる。初期のそれは頑張れば制御可能だが、ネガティブな感情(嫉妬や憎悪など)を抱くたびに感染が進行し、声量のコントロールが難しくなる。それと同時に気性が激しくなり、最悪の場合傷害・殺害事件を起こす」。つまり。
「フジちゃんは本当に、このカースに感染して……それで……」
「そうみたいだねぇ。っていうか、叶えたい願いの範囲もかなりアバウトでさ。ほんと~に些細でどうでもいい物でも反応するみたいで、気づけば学園内の半数が感染者でした!な、なんだってー!?的なこともあり得るんだよ」
「早めの対処が吉、ってことね。まぁ結局元凶潰すんだしいいけどさ」
ラビリさんの視線がこちらに向く。明日翔ちゃんと親しくしているためか、彼女からの視線はどこか冷たく恐ろしい。

「あ、えっと……私は、こんな、感じです」
思わず敬語になりながらも、手にしていた資料を渡す。枚数は明日翔ちゃんのそれと同等くらいだから、きっと読みやすいだろう。
「フジちゃんは、その……山に対する熱意から、他の子達と話が合わなかったようで……それで、いつも一人で、寂しかったみたいなんです」
「それで、自分の話を聞いてくれたパトラに依存した……?」
「……多分」
確証なんてないけど、考えられる要素はそれくらいしかない。
「最後は私ね。まぁ、リリアのこと調べてたら手掛かり増えたからついでに調べてこうなった」
カレンちゃんが差し出した資料には、リリアちゃんのパーソナルデータが書かれたものと、リリアちゃんそっくりな知らない子の顔写真と、身体測定の結果の資料。それから。
「いむ……ひと?」
「イミト、ここに読み仮名あるから」
忌人という霧型のクリーチャーの資料があった。

「結論から言うと、私とリンネが先週追いかけた人影が、この忌人ってクリーチャーが化けた姿。そして今回の事件の元凶」
「……スミレ、が……?」
リンネちゃんがあり得ない、というような顔で資料に食い入っている。
「おそらく正体を知られないための偽名でしょう。それに、この身体測定の資料の特記事項見て」
「カース反応あり……内容:願いを叶えてほしい……?」
「スミレという氏名の生徒は、今年度の入学・転入生及び在校生には存在しない……」
「全校生徒の名前と顔を把握している学長の直筆サイン付き。つまり彼女は外部からのイレギュラー……と考えるほかない」
「…………喋らなかった理由も、それで……?いや、確かに忌人なら声帯模写できる範囲が限られているから…………」
「……」
学生に紛れて事件の犯人が存在するなんて、この場にいる中の誰が予想できただろうか。ハーベストは自由度が高い分、このような危険も含まれている。用心しなくては。
「で、コイツの縄張り情報もゲットしたから準備でき次第そこに向かおうって話」
「私はいつでもいいよ。準備と言ってもすることないし」
「私も大丈夫!」
「少しでも苦しむ時間を減らしたいですし……すぐにでも行きましょう!!」
「おーけー。それじゃ、各々資料片付けて……リンネは今すぐ返しに行った方がいい。どうせ特対の資料室からごっそり原本持ってきたんでしょ」
「あ、バレた?」
「普通にバレる。怒られたくなかったらすぐに返す」
「はーい……」

Chapter20「絶叫な感情落下」

虚ろな視界に飛び込むのは、白い天井と薄い桃色のカーテン。そして。
「っ!?」
喉に走り続ける激痛。幸いなことに、あの日の夜に感じた「パトラちゃんを独り占めにしたい」というどす黒い感情は今はなりを潜めている。それでも、この痛みがある限りは……。
(合わせる顔がないなぁ……)
「あ、起きた」
「そうみたいね。とりあえず無事でよかったわ、明日翔ちゃんから聞いた暴れ具合だと、かなり進行しているみたいだったし……」
話し声がする。そちらに目を向ければ、明日翔ちゃんと黒髪の女性……白衣にフードの組み合わせをするのは、一人しかいない。養護教諭のマリア先生だ。
「っ…………」
声を出そうとして、留まる。意識を失う直前に、欲に飲まれた私が、彼女たちに……パトラちゃんに、何を言っていたのかを。
「あ、そっか。はいこれ」
マリア先生が何かを察し、メモとペンを差し出す。
「何も声にするだけが、思いを伝える方法ではないからね」
明日翔ちゃんがそっと付け足す。普通に話せる彼女が、少し羨ましい……。
その思いから目をそらすように、私はメモに文字をかく。


【わたし、わるいこといっちゃった】
【ぱとらちゃんに、ひどいことしちゃった】
【ずっといっしょにいてくれるって、いってくれたけど】
【きっと、わたしがおちついたらはなれるつもりなんだって】
【しんじられなかった】
【おこってるかな】
【ともだちを、きずつけちゃったこと】
【ゆるしてくれるかな】
【いたいこと、しちゃったこと】
【また、はなれちゃうのかな?】
【もうともだちじゃ、なくなるのかな】
言葉と涙が、決壊したダムから流れ出てくる。それは止まることを知らずに、ずっとずっと流れていく。
いやだ、こわい、はなれないで、ひとりにしないで、さびしいよ、くるしいよ……。

【だれか、たすけて】

その言葉を描き終えると同時に、私の口から声が漏れる。声というよりは、もはや慟哭だ。言葉にならない叫びが、保健室の中に響く。マリア先生が視界の隅で、リベラルアーツの【ミュート】を唱えてくれた。そのおかげで、この声が外に漏れることは少なくともないだろう。
明日翔ちゃんはじっと、私のことを見ていた。優しく微笑んでいたその顔は、何もかも捨てたように動かない。ごめんなさい、そんなつもりじゃなかったんだ、私は、ただ…………!
「謝らなくていいよ」
誰かが、そう言ったような気がした。

Chapter21「投げかけた言の葉の意味」

もうすぐだ。もうすぐ、会える。
そう思うといても立ってもいられなくて、今すぐにでも空を飛んで迎えに行きたい。でもそれは以前リンネに止められたからさすがにやめておく。
この道中にあった障害だって、リリアが抱えていたそれに比べれば軽すぎるくらいだ。ずっと一人ぼっちで、届くかわからないメッセージを伝えて、誰にも会えなくて……。
会ったらまず何をしてあげよう。ぎゅっと抱きしめようか、もう大丈夫だからと頭をなでようか。もしかして、おなかをすかせているかな。食べ物を持ってこなかったことを少しだけ悔いた。

「ま、待ってくださいカレンちゃん……!さっきよりも、歩くの早くなってます……!!」
ふと、かなり後方からパトラの声がした。いつの間にか早足になっていたみたいで、三人が追い付くのに数分かかった。
「仕方ないでしょ、ずっと探していた相手にやっと会えるんだから……にしたって、そこまで心配してたのに顔に出さないって一体……」
「元気すぎて怖いよカレン先輩……」
「…………ごめん」
少し恥ずかしくなった。頭の中を見られたら「そこまで過保護にならなくても」と言われそうなので、誰も【シンク】を習得していないことを祈るばかりだ。

四人で歩みを進め、そうしてたどり着いた忌人の……スミレの縄張り。中央にそびえたつ大木の幹に、彼女がいた。
「リリア!!!」
駈け出さずにはいられなかった。向こうのテリトリーゆえ、侵入者対策の罠があってもおかしくないのに、そんなの気にせずに突っ込んでいく。足場が悪いせいか、何度も足がもつれる。それでも、どうにかたどり着いて。
「…………なに、これ……」
驚愕した。
彼女は、脈打つ不気味な植物によって大木に縛り付けられていた。闇の植物とはまた別の、見知らぬ植物。これも、スミレが生み出したもの……?
「うっへぇ……これどうやって解けばいいんだろ……」
リンネが隣で気味の悪いものを見たような顔をする。実際植物が脈を打つなんて気持ち悪いから、今の彼女は適切な反応をしている。
「絶対魔法弾きそうじゃんこれ……変なオーラみたいなのあるし……」
「…………そうだ。リリア……リリア、聞こえる?私、カレンだよ。先輩が迎えに来たよ」
今すぐに解放はできずとも、安心させたかった。そっと頭をなでながら、声をかける。元から細かったが今はさらに細くなった気がする。しかし病的なそれではないということは、少なくとも食事は与えられているようだ。
「……ぃ……?」
「リリア……!」
「……せ、んぱ……よか……」
小さくつぶやいたかと思えば、口角を上げてまた沈黙した。どうやらこちらの言葉は届いたらしい。
「ごめんね……私が、もっと早く気付いていれば……ごめんね……」

「……!カレンちゃん!うしろ!!」
パトラの驚いた声がする。振り返れば、リリアそっくりの人物……スミレがいた。そして、こちらの鼻先に突き付けられたマジシャンステッキ。パトラとラビリ、二人の目を盗んでここまでの距離を……?
「なるほど……あの時と同じで、【ステルス】を使ったね?クリーチャー……いや、今は人の身か。リベラルアーツを使えるまでの知能があるとは思わなかったけど」
リンネが感心したように告げる。なるほど、それならば納得だ。
「アンタが今回の黒幕?そんじゃ、さっさと倒れてほしいんだけど?」
ラビリがメガネに手を伸ばし……外した。どうやら伊達のようで、外した今でも視界に問題はなさそうだ。
「ごめんなさい、スミレちゃん……忌人さん、の方が正しいんですかね……?でも、今はスミレちゃんと呼ばせてください。本当は仲良くなりたいけど、友達の為で……」
パトラは苦しそうな顔で、混を構える。
「……これも仕事だから」
リンネは目を伏せて、本を手に取る。
「…………」
私は何も言わず、栞を構えた。

「あぁ、うるさい」
「人間の頭の中は、綺麗ごとばかりで吐き気がする!!」

そうつぶやいて、スミレはステッキを降ろし、数歩距離を置き……怒りと苦しみが混ざり合った顔で、戦闘態勢に入った。

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この記事を書いた人

色んなネタを気まぐれに産んでは、形にするまで年単位で時間がかかる難産者です。
シナリオもちまちま書いてます。
全人類ハーベストをやろうぜ!をモットーに布教していく所存
ホームはぴくしぶに通じます

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