リプレイ「ドロシーの集中講義」

目次

プリプレイ

シナリオ「ドロシーの集中講義」

今回予告

平凡に暮らしていた君を襲う、突然の事件

それは夢ではないと、目の前の数字が証明してしまう

何度数えても、1足りない。

魔法学園RPGハーベスト「ドロシーの集中講義」

魔法の時間はまだ終わらない。

シナリオハンドアウト

pc1 コネクション:ドロシーフロムオズ  推奨関係:自由

君は、魔法学園ハーベストの学生だ。

ドロシーに連れられ、現実世界からハーベストにやってきて1年ほどが経とうとしていた。

もうすぐ年度末になるある日、無事進級だろうと思いながら授業数を確認していると、なんと、数え間違いで、進級まで1単位足りてないことに気づいてしまう。

君は急いで単位数を満たすため、「単位が最短で取れる」と噂されている「ドロシーの集中講義」を受けることになった。

pc2 コネクション:PC1 推奨関係:自由
君は、魔法学園ハーベストの学生だ。

進級を満たす単位数を獲得し、無事年度末を待とうとしていた君だが、君の親友のPC1は、どうやら単位数が足りていなかったようだ。君は彼女を助けるため、彼と同じ授業を受けることにする。

PC1 イルア・トラバスト

先天的な全盲の少女。杖に鈴をつけ、その音の反響で周囲を把握している。

その能力は精密ソナーレベル。粉々になったガラスの破片1つ1つすら見分けられる。のんびりぼんやりうっかりさん。

PC2 ヘリー・ターゴイス

楽器2年生。孤児だったが、「親切なおじいさん」に拾われて育った。楽団指揮者として卓越した能力を持つ。

イルアとは、たまたま彼の音楽を聞きつけた彼女に押し切られるように友人になった。

GM、PL1、PL2、リプレイ作成者:rizyul(リジュール)

シナリオ製作者:ハヤト氏

シナリオリプレイ

オープニングフェイズ

シーン1  魔法使いの時間

「♪~」

イルア・トラバストはある有名なテーマパークに来ていた。ここには強い思い入れがある、といっても、両親と初めて遠出した場所、程度だが。

その頃の彼女は激しく混乱したものだ。なんせ、騒がしすぎる。音の壁に迫られ続けるような感覚が怖かった。

でも、慣れていくにつれて、ここがとても「楽しい」場所だとわかったのだ。車と電車と革靴が響く「日常」ではなく、音楽と布靴と笑い声が響く「非日常」。

それがわかったころには、もうここを離れたくなくなっていた。

そして、彼女は何度も何度も親にせびって、毎年1回は行かせてもらっていた。でも、もうそれも必要ない。

彼女は今年で大学1年生。一人で遠出できる歳である。

そんな彼女がレストランで一休みしていると、忽然と、彼女の「聴界」にそれは現れた。

その少女の恰好。とんがり帽子に黒いローブ、そして手には大きな箒…魔法使いのコスプレをしたような格好だった。

「ねぇ、そこの君、魔法に興味ない?」

そう、君に問いかける。

「魔法、ですかぁ?そうですねぇ…あるのなら、かかってみたいです~。」

彼女は冗談半分でそう言う。どうせ、「もうかかってるよ!」みたいな、ありきたりな返し…

「はい。これ!」

彼女はカードのようなものを君に手渡してくる。

完全に、不意打ちであった。彼女はきょとんとしながらそれを受け取る。

「これ、魔法学園ハーベストへの招待状って言うの!実は、今日の24時に、ここで、このカードを受け取った人限定の、秘密のイベントがあるんだ!」

「もし、君が魔法使いになりたいって思ったなら、ぜひ参加してねー!ばいばーい!」

彼女はそれだけ話して、人混みの中へと消えていった。

イルアの手には、カードが1つ。

でも、確かこのテーマパークの営業時間は、夜22時までだったはず。

不思議に思いながら、イルアはカードをしまっていた。

シーン2 夢の始まり

イルアは、テーマパークすぐ近くの併設ホテルに宿泊していた。

イルアは、少女の言葉が忘れられなかった。彼女は、嘘を言っているように聞こえなかった。

彼女にとって嘘の声は、どれだけ巧妙に隠したって「見える」。ほんの少し乱れて、ほんの少し大きい。

でも、彼女にはそれがなかった。嘘がよほど得意なのか、あるいは…?

そうして彼女は来てしまった。24時、遊園地の、門の前。

もちろん、中は伽藍とした光景であり、従業員ももう誰もいないよう。正門の前にも、君以外の人は全く見当たらない。

「…ですよね~。」

やっぱり、世迷い事。狂人かなにかだったんだろう。

イルアが帰ろうと振り返ったその直後、門が突然音を立てて開き、テーマパーク内の明かりが灯る。

「…へ?」

ありえない。門がひとりでに開いた。開けた人間はいない。いないはずなのに。

「…」

イルアがなんとなく中に足を踏み入れると、お城のような建物の前の広場に、昼間出会った少女がいた。

「こんばんは。来てくれてありがとう。」

「ここに来たってことは、君は、魔法使いになりたいって思ったってことかな?」

「…いえ、でも、魔法を見てみたいですぅ。」

イルアがそう言った瞬間、突然壮大なミュージックと共に幻想的な光がテーマパークを包み込んだ。

まるで、パレードか何かが始まったかのように。

「な…」

圧倒される。でもこの感覚は、あの時と同じ。

「私は魔法使い。ドロシー・フロム・オズ。」

初めてここに来たとき。最後のパレード。

「魔法学園ハーベストの学園長をしているの。」

目の前が開けて、どこまでも続いているような…

「もしよかったら、君も、魔法を使ってみたくない?」

そういって彼女は手に持った箒でふわりと宙に浮かび、君に手を差し伸べる。

イルアは、熱に浮かされたように、その手を取る。

シーン3 六つの目

そこは、深夜の魔法学園ハーベスト。

新人らしい警備員が、ハーベストの中を巡回している。

「はぁ…配属してすぐ夜当番させられるなんて、聞いてなかったぜ…」

ため息をつきながら、彼が広いハーベストの中を見回っていると、突然、狼の遠吠えのような音が聞こえた。

「ん…?今何か、聞こえたような…こっちか?」

警備員は、声の聞こえた方へと向かう、階段を降り、そこにあった重厚な扉を少しだけ開け、中を覗き込む。

そこには、暗闇の中、不気味に光る6つの目。

「わ…わああああああ!!」

次の瞬間、彼は部屋の中へと吸い込まれた。

そして、絶叫が、深夜の学園に鳴り響いたのだった。

シーン4  一足りない?

イルアは、人が少ない頃のハーベスト図書館のパソコン室で、単位取得数を眺めていた。

もうすぐ年度末を迎えるころ、君は進級のために必要な単位数を取得していることを確認しようと、大学のポータルサイトから単位数を閲覧していたのである。

ちなみに、イルアはこういう時に使える「魔法水晶」を持っている。近視眼程度の視力ではあるが、文字を読むだけなら十分である。

単位数を数えている最中、そこにドロシー・フロム・オズがやってくる。

「イルアちゃん何してるのー?」

彼女は、パソコンを覗き込むように体を傾けてくる。

「あ、もしかして単位取れてるか確認してるの??そっかぁ。もう進級だもんねー。イルアちゃんは、今年もちゃんと勉強した?」

意地悪そうに君にそう声をかけてくる。

「もちろんですよぉ。これでも、成績すごくよかったんですよぉ?」

イルアの自慢の1つだ。彼女は聴覚も抜群にいいが、聞いた情報を記憶する力も卓越している。

授業が不親切だとしても、隣で教科書を音読してくれれば大抵は覚えられた。

ドロシーはイルアの単位取得状況を見ながら、「へぇー、この講義も受けたんだー。面白かった??」や「もっと私の授業もとってよーっ!」といったさまざまな表情を見せてくる。

イルアも「はい~、とっても面白かったですよぉ。」とか、「あなたの授業は~、そのぉ、難解でしてぇ」とか返して、図書館が俄かに騒がしくなる。

司書さんに注意されたすぐあと、ドロシーが何かにふと気づいたように、パソコンの画面を覗き見る

「あれ…これ、足りてなくない?」

「ほんとですかぁ?」

「ほら…」

そうしてドロシーの指摘通り、イルアが単位を数え直すと、どうやら本当に1足りない。

「あ、あれ…ほ、ほんとに足りないですぅ!?ど、どどどどうしてぇ!?」

これは仕方ないことでもあった。イルアがまだ視界に慣れない状態では、1と2など簡単に誤認してしまう。

イルアが取り乱すと、ドロシーはそれをみてピコーンと何かを思いついたかのような顔で、にまにま笑う。

「ね、もし進級したいなら、とっても早く取れて、とってもカンタンな、今からでも間に合う集中講義があるんだけど、とってみない??」

ドロシーはまた意地悪そうな目でイルアに問いかける。

「ううぅ…仕方ないですね~…とりますぅ。」

シーン5 協力

「うええぇ~…」

「どうしたんだイルア。」

同じ講義をいくつか取っていたことによって知り合いとなっていた二人が、学食に向かう最中。

イルアのずいぶんと落ちた声を聴いて、お人好しなヘリーは聞いてみた。

「実はですね~…」

イルアはあっさりと自身の単位のこと、ドロシーの講義のことについてしゃべる。

そして、それを聞いたお人好しが協力しないはずはなかった。

シーン6 宝探し

イルアとヘリーはドロシーの集中講義を受けることになり、彼女のいる学長室へと呼び出された。

「2人ともよく来たねー。待ってたよ〜♪」

「あ、そこ座って座ってー」

「はーい~…」「わかった。」

彼女は遊んでいた最新の流行のゲームを止め、二人を学長室のソファーに腰掛けさせる。

「えっとね、君たちに受けてもらう授業は、『フィールドワーク演習』っていう名前なんだけどね」

「なんと、この集中講義は、最短で1日で取れちゃいます!ね、すごいでしょ!」

「すごいですねぇ…」「確かに、1日はすごいな。」

「えっ、この時期からでも取れる単位があるんですかっ!?っていう風にみんな驚くんだよ〜」

「まぁ、確かに驚くだろうな。」

「演習方式だから、講義はこのオリエンテーションだけ、あとはテスト形式の採点なの」

「それでね、どんなテストかっていうと、すごく簡単、私がこの学園の敷地内のどこかに隠した『宝箱』を見つけて、その中にあるこの「1/8(はちぶんのいち)ドロシーちゃん人形」を手に入れて、私に渡してくれるだけで合格っていうテストだよ!」

そういって、彼女は写真で、ドロシーをデフォルメSD化したぬいぐるみを意気揚々と見せてくる。

「なるほど…」「…無茶では?ここは広すぎる。」

「うん!この学園内はめちゃくちゃに広いので、いっこだけヒントをあげるね☆」

「ヒントは…『わおーん♪』だよ。」

ドロシーは笑顔で君たちにそう告げる。

「じゃあ、早速スタートっ!2人とも、がんばってね?」

それだけ言うと、彼女は、またゲームに戻ってしまう。

「…わおーん…?」「まぁ、講義は終わりだろう。行こうかイルア。」

二人は学長室から出ていく。ゲーム開始だ。

シーン7 情報「犬の鳴き声について」

イルア達は校内で聞き込みを始め、まずは男子生徒に声をかけた。

「すみませぇん…」イルアが声をかけると、その男子生徒は振り返る。

「はい、僕に何か用ですか?」

よく見ると、その男子生徒は生徒会長であるフリード・フィリップスのようだ。

「ああ、フリードさん、お疲れ様です。実は…」

と、ヘリーがフリードに事情を話すと、

「うーん…学長また変な授業やってるのか…そろそろちゃんとまともな講義してほしいよあの人…」

「まぁ、それはともかく、犬の鳴き声かぁ、難しいね。ハーベストにも、盲導犬を連れた学生やペットの犬とかを敷地内で遊ばせている学生もいるから、犬自体は珍しくない。」

「だから、犬の鳴き声ってだけで場所を特定するのは不可能だと思うな」

「だよなぁ…」

「強いていうなら、学長がいった『わおーん♪』っていうのは、ただの犬の鳴き声じゃなくて、【遠吠え】みたいだね。」

彼は手元のバッグからタブレットを取り出し、何かを検索し始めた。

「犬が遠吠えをする理由は、主に4つあるみたいだ。①仲間とのコミュニケーション手段、②遊び足りなさなどのストレス解消、③寂しさ、④サイレンなどへの反応」

「犬の鳴き声なら、ただの『わんわん』でも良いはずだけど、あえて『わおーん』である意味がそこにあるのかもしれない。」

「うーん、少しは力になれたかな?」

「遠吠えは聞いたことないですね~…」「はい。ありがとうございます。」

フリードの話を元に、もっと色々と調べられそうだ。

※新しい情報項目「遠吠えについて」が調べられるようになりました。

シーン8 情報「遠吠えについて」

二人は、フリードの情報を元に、ハーベスト近辺で最近遠吠えが聞こえた場所がないか調べることにした。

調べた結果によると、学内の守衛が、最近遠吠えを聞いたとの噂が流れていた。

イルア達は、守衛室に向かう。

守衛室には、2人の警備員がいた。

「なんだい、学生さん。何かあったか?」

「はい~。最近ウワサの遠吠えのことなんですけどぉ…」

「遠吠え…ねぇ。ああ、あそこのことか」

「知っているんですか。」

「警備したことある奴なら、皆知ってるぜ」

「夜、図書館を警備してると、いつも地下から聞こえてくるんだ。わおーんって遠吠えがな」

「まぁでも、ドロシー学長から、『あそこは見回りしないように』って言われてるから、俺たちは地下に立ち入ることはないんだけどよ」

「あ、そういえば、この前、誰かあそこに行ったって言ってなかったか?」

そういって、話をしていた警備員は、もう1人の警備員にそう尋ねる。

「ああ…なんか、ジャックの野郎があそこ入って気絶してたところをドロシー学長に見つかったとか言ってたな…」

「まぁ、ジャックも初警備だったから、きっと忘れてたんだろうな」

「まさか、その図書館地下室に行こうってのか、学生さん?そんなことしない方が身のためだぜ。バレちまったら、アスタロト先生にどやされるぞ?」

そう言って警備員は笑う。

「…怪しいな。」「あやしいですね~…」

警備員から話を聞いた二人は、地下に向かう前にもう少し情報を集めることにした。

シーン9  情報「ドロシーの集中講義」

二人は、ドロシーの集中講義を受けたことがある学生を探し出そうと、聞き込みをすると、どうやら「アマウネト・セト・セメルケト」という紋章魔導学科代表生の少女が、ドロシーの集中講義の単位を取得していることがわかった。

二人は彼女に話を聞こうと、彼女がよく現れるという中庭に向かった。

中庭には、炎の翼を赤く輝かせる鳥と共に、茶髪でショートカットの女の子が、同年代くらいの友達と仲良さそうに談笑していた。

「こんにちわぁ。」

人がはけてきたところでイルアが彼女に話しかけると、彼女はびっくりしたように返す。

「はひ!?えと?私に何か用です??」

「ドロシーの集中講義について聞きたかったんだが…お邪魔でしたか?」

「ドロシーの集中講義…?ああ、去年取りましたー!確かそうだよねピーくん!」

そういって彼女は隣にいる炎の鳥、フェニックスに尋ねる。

アマウネトはハーベストでは珍しい、クリーチャーを連れている学生として有名である。

彼女が連れているのは、カースを生み出さないクリーチャー「フェニックス」だ。

フェニックスはうなづくように首を縦に振る。

「なんか、去年から始まった講義で、単位がほんとにすぐ取れるらしいって噂が広がってたんですけど、ちょーーーっと難しくて、去年単位取れたのは結局私だけだったんです」

「どう難しいかっていうと…そうですね…教えてもいいんですけど、それは、他の受講者にフェアじゃないかもしれないです…」

「なるほど。確かに反則じみてはいるか。」

彼女は少し考えると、何かを思いついたかのように、目を輝かせてこう言った。

「あ、じゃあ、何か魔法で面白いことしてください!」

「そうしてくれたら、つい口が滑って教えちゃうかも…です!」

悪戯っぽく微笑みながら、彼女は君たちにそう語りかけてくる。

「なら、一曲弾かせてもらおう。」

ヘリーが指揮棒を構えると、幽霊楽団がどこからともなく現れる。

しかし、少し周りが騒がしすぎる。楽団に騒音は似合わないだろうが…

「♪」

イルアが鈴を一鳴らしすると、一瞬で周囲が静まり返る。ミュートだ。

「ありがとうございます。それではお聞きください。ドビュッシー、月の光。」

ヘリーが静かに演奏を始める。昼の真っただ中だというのに、そこだけ、月がゆっくりとほほ笑んでいるような…そんな錯覚に陥る。

そして、4分ほどの演奏が終わり、ヘリーが優雅にお辞儀をする。

周囲はあっという間に拍手の嵐となった。

アマウネトはヘリーとイルアの行った魔法による演出に釘付けになる。

「すごい…すごく、きれいでした。ありがとうございます!」

「じゃあ、早速教えてあげますね」

「ドロシーの集中講義は、去年と同じなら、必ず『ドロシーちゃん人形を守る番犬さん』がいるはずです!」

「その番犬さんは、このピーくんと同じ、カースを生み出さない極めて特殊な境遇にいるクリーチャーらしいんです。」

「ただ…その番犬さん、ものすっっっごく人懐っこいというか、一周回ってもはや凶暴というか…番犬さん自体は人にじゃれついてるつもりらしいんですけど…こっちがもうだめーーってなるくらい、容赦なーく魔法使ってくるので、それが、難しいですよーってことなんです!」

「獣と人の違い、か。」「もう少し、なにかありません~?」

「私が教えられるのはここまでです!あとは、自分でその場所を探し出して、その目で確かめてみてください!」

「あ、でも一つおまけだけ…番犬さん、実はしっぽがとても敏感なんです。だから、ちょーっとしっぽをいじめてあげると、すぐ大人しくなりますよ?」

彼女から話を聞いた二人は、情報収集を打ち切り、地下室に突入する。

シーン10 図書館の悪魔

君たちが、図書館に向かうと、受付奥に、地下室への階段が見つけられる。

「事務員さーん!」

イルアが事情を説明すると、事務員さんは、快く、地下室へと降りる許可を出してくれた。

地下室は基本的には書庫になっているようで、学生でも問題なく立ち入ることができた。

問題は、その地下室奥にある重厚な扉だった。

「関係者以外立ち入り禁止」と書かれた看板があり、扉にも鍵がかかっている。

辺りは地下のため薄暗く、不気味な雰囲気が漂っている。

「雰囲気出てますねぇ…」「今更おびえるようなこともないだろう。」

イルア達が耳をすませると、扉から、確かに狼の遠吠えのような音が聞こえてきた。

アマウネトの言う通り、「番犬」がいるようだ。それも、遠吠えは何重にも重なっており、1匹ではないことがわかる。

「扉、開けられます~?」「試してみよう。」

ヘリーは心当たりのある魔法を発動しようとするが、うまく発動できない。

「ダメみたいだな。どうにかして」ヴォンッッッッ!!!

「ちょ~~っと、どいてくださいね~。」イルアは開錠をあきらめ、愛用のチェーンソーで突破する気だ。

「分かった。」方法がなければ、当然力ずくだ。

ギャリイィィィィィィバギンッッ!!鉄製の南京錠があっさり食い破られる。

「それではゴー、です~!」

シーン11  遠吠えの正体

君たちが扉を開けると、そこから冷たい空気が襲いかかってくる。

「うお…」

まるで雪原地帯にいるかのように、辺りの空間が一気に冷え込む。

扉の先も、暗く重たい雰囲気が溢れており、不気味な唸り声のようなものまで聞こえてくる。

二人が扉の先に足を踏み入れようとすると、またもや狼の遠吠えが聞こえると共に、暗闇の中に6つの目が光輝いた。

「大きい~…三頭犬ですぅ!」「…狼だろう、アレ。」

それは、巨大な「3つの頭を持つ狼」だった。

「なんなんですか~あれ?」「ケルベロス、地獄の番犬だ。」

どの頭も、口から涎を垂らし、君たちの方をじっと見つめており、長く大きなしっぽを左右に振っていた。

そして、その狼のいる奥に、透明の宝箱らしきものが見える。

「あれは…」「中身、何なんですかね~?」

中は透けており、「ドロシーちゃん人形」がそこにあることがわかる。イルアにはわからないが。

三つ頭の狼『ケルベロス』は、口を大きくあけ、鋭い牙を君たちに見せると、突然、君たちに向かって、魔法を放ってきた!

「あ~そび~ましょ~!」「さて、番犬を音楽で調教するとしよう。」

二人は発動体を取りだして構える。

「まずは入り。戦いに導かれる我々に幸運を」

ヘリーは曲を奏で始める。勇気を奮い立たせるような曲が彼らの力となっていく。

「グルルォォォッ!!」

ケルベロスは大きく息を吸い込み、氷結の吐息を彼女らに吐き出す。二人の地面は凍り付き、体にも霜がついて重くなる。

「こんな程度でぇ、倒れたりしませんよぉ。」

イルアはエンジンオイルをつぎ足し、チェーンソーの回転を上げていく。轟音は彼女の聴界を狭めるが、同時に力ともなる。

「弾けろ~、ポップンライトニング!」

イルアはチェーンソーを掲げると、雷が落ちてくる。雷は二人に、力とインスピレーションを与える。

「傷つく我らに女神の加護あれ。」

ヘリーに与えられたインスピレーションが、幽霊の楽団に聖歌を歌わせる。二人に浄化の加護が現れる。

「グオオォォッ!」

三頭犬は攻撃の手を緩めない。二人の足元は凍り付き、もはや動けそうにないが…?

「我らを覆い隠せ闇夜。そして我らの闇を切り払え、ディレクトオブオーバーロード。」

突如、二人が闇に消える。次の瞬間。闇がはじけ飛び、二人の発動体に大きな力が与えられた。

イルアが発動したディレクトオブオーバーロードだ。浄化の加護も強化された二人に対し、ケルベロスが勝てる道理なし。

「ギャオオォォォッ!!」二人の力の高まりに敗北を察したケルベロスが、イルアに飛び掛かる。

「おお!我らに優有り!我らを称えよ!我らに力を!」

ヘリーが間に入り、その爪を指揮棒で受け止める。楽団の演奏は勇猛果敢。もはや止めること能わず。

万策尽きたケルベロスに、もはやチェーンソーとはとても言えないエンジンの爆音が聞こえる。

「それでは、いきますよぉ。せぇーーーのっ!」

イルアは、ただチェーンソーを前方に、斬り上げるように振りぬいた。それだけである。

それだけで、ケルベロスの重い体が、火炎と暗黒と地の礫とともに吹き飛び、壁にめり込むほどに打ち付けられた。

「キャウンッ!」

ケルベロスは地に伏せる。イルア達の勝利だ。

シーン12 エンド

イルアが、目の前のケルベロスに最後の一撃を加えようとすると、そこに、ドロシーが箒に乗ったまま瞬間移動で現れる。

「あれぇ?」

そして、それと同時に、部屋の電気がつく。

「はーーーいストーップ!そこまでーーっ!」

イルアが勢いで放った魔法に対して、ドロシーは指を鳴らして、その魔法を消去した。

「急に出てきてごめんね。でも、この子、これ以上は怪我しちゃうと思うから…」

「まぁ、確かにやりすぎでしたな。」

ドロシーはケルベロスの頭の近くに行って、真ん中の頭を撫でる。

そうすると、左右の頭もドロシーに擦り寄るように近づいてきている。

「驚いたかもしれないけど、この子、悪いクリーチャーではないんだー。カースも生み出さないし、人を殺すこともない」

「さっきのはその…この子、寂しがりやでね、遊び相手が欲しかったみたいなの」

「だからちょーっと、魔法でじゃれついてくるんだ。可愛いでしょ?」

「じゃれぇ…つくぅ…?」「俺たちを氷像にしかけるのがか…」

「この集中講義は、こういう、クリーチャーがいるよってことを知ってもらうための講義なの。まだこの世界には、クリーチャーに対する憎しみや怒りを持つ人は多いけど、全てが全て、倒さなきゃいけないクリーチャーばかりじゃないから。」

「いつか、クリーチャーと人間が笑って平和に暮らせる世界が来ると、いいのかなって、私は思うんだ。」

「なるほどぉ…」

「そのためには、まず少しずつ、こうやってクリーチャーのことを知っていくことも大切なんだと思うの。」

ドロシーがケルベロスを見て、指を鳴らすと、ケルベロスは、「わおーん」と鳴き、体を動かすと、奥にある透明な宝箱を咥えて、pcたちの前に置いた。

「はい。じゃあ改めまして、このドロシーちゃん人形を、私に渡してください!」

「イルア、人形はその中だ。」「わかりました~」

イルアがふたを開け、ドロシーを象った人形をドロシーに渡すと、彼女はにこにこしながら君たちに問いかける。

「ね、この授業、勉強になったでしょ?」

「はい~!」「クリーチャーの認識を変える、いい授業だったな。」

「この授業よかったって、いろんな人に宣伝しておいてね!」

「あ、でも、次この授業受ける人がいても、ネタバレしちゃだめだよ??アマウネトちゃんにも、ちゃんと言っとこっと!」

「そうだな。」「もちろんですぅ!」

「それじゃあ、イルアちゃん、ヘリーくん。改めて、進級おめでとう!」

「来年も、いっぱい学園生活楽しんでね♪」

ドロシーは、満面の笑顔で君たちに微笑んだ。

「あ、あと、このドロシーちゃん人形いる?ほしいよね??」

「あ、くださ~い!」「俺の分はいら」

「大丈夫ヘリー君のもあるから!はい!」

ドロシーは、イルアと、半ば無理やりヘリーに人形を押し付けてくる。

「あー…」

「じゃ、気を付けて帰ってね!ばいばーい!」

ドロシーはテレポートで帰っていった。

「…帰るか。」
「そうですね~」

「その前に、単位の確認もしておこうか。」
「あ!!そうですそうですぅ!ちゃんと取れてるかなぁ…」
「大丈夫だろう。」

そして二人は図書館で単位の確認をする。

ちょうどよく、二人を満月が照らしていった。

アフタープレイ

のんびりやらせてもらった。一人でGMPL兼任は初めての経験だったが、新鮮だった。もっと別のキャラでも回してみたいなと思う。ハヤト氏に感謝。でも魔剣強すぎ。興奮9乗っけたとはいえハベム抜き1マス152ダメージってイルアお前な?

 

これを見てるお前らもアーケードセッションしろ?俺もやったんだからさ。

この記事を書いた人

僕の書くシナリオはギャグです。

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