概要 登場人物
院生化前にあった自分のPC、ニールのエピソードノベルです
ニール・トゥレラ (PLスターアニス(自分))
誕生日 7月27日
本作では6年生の19歳の、魔法学園ハーベストの邪眼魔道学科の男子学生
入学時(13歳)154㎝、現在(19歳)171㎝
もとは青みかかった黒い髪に水色の目、今は白髪に紫かかった青い邪眼である。
毎日のように毒物を口に含むが…
今作の主人公であり彼の目線でストーリーが語られる
ニール・トゥレラ キャラクターシート↓
作中ではこちら+記憶結合をつんでいることを想定しております
メリー・ドリーミィ (PL山田エクストリーム様)
製造月日 不明(少なくとも100年以上前)
魔導宝具(リコレクション)の羊のぬいぐるみ。
12歳ぐらいで身長130センチほどの幼女…少女の姿をとることができる。
そして増える
ニールは彼女のことを姉さんと、実姉のようにしたっている。
メリー・ドリーミィ キャラクターシート↓
新CS
追憶と過去
俺は今、夢を見てる。
クリーチャーが、俺の面倒を見てくれたおばさんのことを殺す夢。
おばさんは、俺に、劇薬とも言える魔法薬をくれた…
あの人のことだから、ガキだった俺にあれを渡したのは最期の賭けだったんだと思う。
おばさんは男勝りな人で、無法地帯になりつつあったスラムでバーを営んでいて、赤ん坊のときから世話を焼いていくれた。
5才から、働かざる者食うべからずと、ほんの少しだけカクテルの種類を覚えさせられたし、10には水でだいぶ薄めたか、アルコールを飛ばしたものなら味を今でも思い出せる。
だけど、スラムがクリーチャーに襲われたとき、すべては無に還した。
魔法薬を飲んで、黒き森の方に向かえと言ってくれたから、黒き森方面へ、ひどく不味かったあれを飲み干して…走った。
あの魔法薬は、才能がなければ一歩間違えば激しい吐き気や倦怠感、最悪失明するほどのもので、代わりに服用者に永続的に邪眼を発現させる。
あのバーには酔っぱらって鐘の代わりに魔法薬などの高価なものを担保にしてツケにする客もいたのでまったく不自然ではなかった。
先月、あれがおばさんが自腹で、俺のためだけに調合されたものだったと知るまではそう思ってた。
おばさんは何とか俺がまともに生きていけるようにしたいが、スラムで安定して発動体を購入するのは難しい。
だから俺に邪眼を発現させて、アマリリスの構成員に魔法を教わらせるつもりだったという。
俺が逃げたのに、クリーチャーは追ってきた。
怖かったし足がもつれて動けなかったんだ。
そこでハーベストの上級生に助けられて…
その人は大ケガで足に障害をおった。
そのあとは、なんの皮肉か最初の予定にはない場所、教員からの支援もあってハーベストに入学することになった。
その時だと思う…。
俺は逃げるのが怖くなった。
だけど、あのときも逃げる選択肢をとらされたから、結局変わってなかったんだって自分に失望した。
どうして…俺は逃げる選択肢を選ばされるんだろう…
いくら覚悟を決めても、それが最善なんだ。
いつも死ぬほど後悔しているのに…
だから俺は毒を喰らう…。
逃げた俺の罪は…きっとなにより重いから。
いつもの日課
ニール「…」
俺の目の前には白い髪と蜂蜜のような目をもつ少女と天井が見えた。
羊角がどういうわけか生えているし、目もよく見たら羊のような眼…いまやそれも見慣れた光景である。
彼女…メリー・ドリーミィは、俺にとって姉とも等しい。
彼女にであったのは俺が7才のガキで、スラムで必死に過ごしていたとき。
メリー姉さんはその時からすでに12才の少女の姿だった。
12才の時、彼女に成長しない理由を聞いたときは困ったように、メェとかわいらしい少女の声で鳴かれごまかされたが、今ではその理由がよくわかる。
姉さんは……意思を持った羊のぬいぐるみ…………魔導宝具(リコレクション)である。
だからこそ、姉のようにしたってくれる俺には、自分が人間ではないと言えなかったのではないだろうか?
実際は、むしろスラム街が崩壊したあと、記憶のままの姿の姉さんに再開できたときはそういう疑問などは吹っ飛んでいた。
14才といういい年になっていたのに外見年齢12才ぐらいの少女に、同級生がいたなかで抱きついてしまったので、周囲にめちゃくちゃ引かれたのはいうまでもない。
今では、メリー姉さんはぬいぐるみの姿で俺の部屋にいる。
女子寮の方がいいのではと一時期心配したが、ドロシー学長に相談したところOKをもらってしまった。
実際寝るときに、スラムでクリーチャーに殺されるような怖い夢を見ることも無くなったのはありがたかった。
…………意識をそろそろ現実に戻そう…。
後頭部には柔らかい少女の足の感覚…
俺はおそらく膝枕されている。
ということは俺は部屋内で一度倒れたということだ。
視線を横に動かすと床に転がる、アコニタム……白いトリカブトが入った瓶。
……いつも通りのアレが原因で倒れたらしい。
ニール「また…。飲みすギた?」
メリー「うん」
2年のとき、クリーチャーだったが大切な友人がいた。
しかし、彼女はカースを制御できずに、女子生徒を狂わせ、その報いを受けて……殺された。
本来はカース特別対策委員会である俺の仕事を全うできなかった。
スラム時代、俺が逃げたせいでクリーチャー殺されたメイアおばさんと重なって、もう逃げないと決めた筈なのに。
責任や、命の重さすら背負うことを、自分から言い出せなかった。
そんな自分が許せなかった。
だから魔法を使って自分を呪った。
逃げる隙を塞ぐために、毒を飲むことでどんな状況でも立ち向かうための心情を作り上げた結果がコレだ。
あの子が死んだ場所には、いまも白いトリカブトが自生している。
トリカブトの花言葉は、人嫌い、栄光、騎士道、復讐。
なんて皮肉な花言葉だろう。
ニール「…片付ける…面倒、見てくれてありがとう、姉さん。」
喉から出される声は昔と比べてずいぶんとかすれているし、視線にちらつく自身の毛髪も黒曜石のような艶も黒さもなくなって、姉さんよりも白くなっている。
心臓も毒が原因で不整脈に陥ったのか、立ち上がるだけでとても苦しく、全身から脂汗がにじみ出た。
メリー「……きょう…やすみ。……ニールは寝て?」
ニール「大丈夫。」
瓶をもとの金庫の奥にいれて、ロックをかけ直す。
6年生に進級しても、日程に大きな差はないし今日は休日ではあるが、散歩ついでに黒き森の見回りにいこう。
ニール「姉さんも一緒にいく?散歩。」
メリー「ニール……心配、だから…………いく……」
ニール「……俺もう今年で19なんだケド……」
メリー「ニール、弟の癖に……おねえちゃんに……あまえたりない。」
ニール「そうやって甘やかされると、イツまでたっても姉さん離れデきなイ。」
メリー「……はなれる…………ダメ。」
姉さん……俺にたいしてものすごく甘いよね……という言葉を飲み込んで、服や荷物をまとめた。
黒き森のほうにはアトラク=ナクアの巣やアラクネが大量に発生していた。
このように一部のクリーチャーが黒き森の浅い層に発生することはごくたまにあるのだが、これ以上ハーベスト側に近付かれるとカース事件に発展しかねない。
仕方ない……とアトラク=ナクアの巣に足を踏み入た
侵入者に驚いたアトラク=ナクアは攻撃を始めるが俺はひたすら耐える。
しかし今回はアトラク=ナクアの方がジリジリと後ろに下がっていく。
火傷や毒の効果で弱りつつあるアトラク=ナクア
それに止めを刺そうとした瞬間……
その後ろから……小さなアトラク=ナクアが出てきた。
……アトラク=ナクアの幼体は始めて見た。
どうやら餌場を求めてこちらに来てしまったらしい。
メリー「ニール…………どうする…………?」
ニール「…………今回は、任務じゃない。この付近から駆逐するだけだから倒す必要もない。」
メリー「……わかった…………」
アトラク=ナクアはこちらが攻撃をやめたのをみると、我が子の手をひいて傷だらけの体を引きずるように、森の奥に消えていった。
ニール「……しばらくは、こっちに来ないといいケド。」
メリー「……ニール……別のクリーチャー…………」
ニール「今度はコボルド……HSNで討伐依頼出てタね…。今度は容赦しないヨ」
……クリーチャーはカース感染を引き起こした場合やHSNの依頼でのみ殺すようにしている。
自分はカース特別対策委員会なのであって、戦闘狂やクリーチャー殲滅主義者ではない。
相手を殺すには相応の理由が必要である。
メリー「…ニール……討伐数………終わってる。」
ニール「……そう。」
数分後にはコボルドの山があった、終了報告はメールで送信済みである。
メリー「……いつもの……私の家…………いこう?」
ニール「……そうだネ」
姉さんには秘密の家がある。
そこはただの洞窟にみえるのだが、実際は何重のも幻影や感覚を麻痺させる魔法がかけられ、姉さんに認められた人間以外入れない。
弟だから、という理由でいれてもらえているのである。
鏡の殺戮者
いつものように今日もお茶をいれてもらってから帰る予定だったのだが……
メリー「………………つけられてる……」
ニール「!」
全く気づけなかった……
いったい何時から……
メリー「狙い…………わからない……。」
ニール「……今日はやめといた方がいい?」
メリー「…………大丈夫…………いま……外」
ニール「さすが…………」
メリー「……でも…知らない…………機械?…もってた。」
ニール「……カース探知機じゃないなら、俺の客ダネ。」
メリー「…………いくの?」
ニール「”ステルス”、”テレポート”。」
メリー「…………いっちゃった。」
俺は洞窟の外に、眼から溢れる魔力を極力押さえ、周囲を探索した。
そこには……血まみれの俺がいたのだからひどく動揺した。
メリー「私…メリーさん……いまニールの後ろにいるの……」
ニール「姉さん、いまはちょっとマズイ。」
なぜ、俺であると認識したのか……赤みがかった黒髪と深紅の目の色以外は全く同じ姿だったからである。
また、周囲には俺が逃したアトラク=ナクアの親子とアラクネが焼かれて死んでいた。
男「イレイズ!イレイズ!イレイズ!」
彼は狂ったように笑いながらクリーチャーの殺戮を繰り返す。
黒髪の男「違う!こんな現実!ボクは今頃アマリリスなんかじゃなく、もっといい場所で約束された未来があったのに!ああ、どうしてこんなことに…。お前らが関係なしに街を滅ぼすから!カースなんてもってるから!」
正気の沙汰ではない。
…いったい、何があったというのか。
黒髪の男「5年…5年だぞ!5年の歳月をかけてまともに学校に通えず!ナーブにも昇格できずに…惨めな生活をしているという雪辱に耐えた…。それなのに!カースが発症したぐらいで全部無に返すだなんて!」
黒髪の男「ボクのあるべき未来と成果を返せ!5年もお前らのために頑張ってきたのに、全部を無に還すつもりなのか!恩を仇で返すのか!
邪眼に選ばれ、貴族の家に生まれ…すべてが成功する筈だったのに…!!」
…カースによってだが、正真正銘狂っていた。しかもアマリリス。
アマリリスに所属する人物が記憶を失ってしまう現象があることから、おそらくカース発症をし、精神を汚染された場合記憶を消去されているのだろう。
記憶を消すことによって精神のリセットを行っているということを聞いたことがある。
言動から彼の記憶は残っている。
ハーベストに有利ではないかという意味でも拘束が一番であると俺は考えた。
時間的に、ちょうど昼時というのもあり…スマホからイマヌエル先生の電話をかけた
しかし電話に出てきたのは…
ドロシー「あっ、ニール君じゃん。やっほー」
ニール「……ゴメン…間違えタ。」
ドロシー「ごめんごめん、切らないで。いまカントならトイレいってるよ。」
ニール「……本題…姉さんも一緒なんだけど……黒き森でアマリリスのメンバーらしき男がクリーチャーの虐殺を行ってる。たぶんカースを発症したのに記憶が消されてナイ。」
ドロシー「なるほど…カントなら、拘束を指示するから学長命令で学園つれてきてもいいよ!」
ニール「…学園内のどこニ?」
ドロシー「学長室。」
ニール「……。」
俺は無言で電話を切る。
……なにしてんだ学長。
とりあえず、無造作にわいているアラクネを殺し続けているであろう男を拘束したいので、其方を見る。
ニール「姉さん、いくよ。」
メリー「うん。」
先に、姉さんが魔法の詠唱を完成させる。
姉さんはいまぬいぐるみの姿でこちらにいるはずだが、もう一人、姉さんの姿をしたシャドウが男の目の前に現れる。
メリーシャドウ「私…メリーさん。いま貴方の後ろにいるの。」
男は突然の奇襲に気をとられたのかシャドウが偽者と気付かずに魔法を放とうとするが…詠唱のスピードは遅い。
先に俺の魔法……といっても、姉さんの能力を借りて、ストレイシープを行う程度だが十分にダメージは入るだろう。
最後に、シャドウがさらに増えて……
いや、あれは姉さんの十八番のほうだ。
増えたメリーの分身たちが、一斉に爆ぜた。
俺は慣れてるけど、たぶんしばらく羊がトラウマになるだろうな……
男はクリーチャーの虐殺時の磨耗とこの一連の奇襲のあまり、魔法を使う前に倒れた
る。
ニール「早く帰ろう。」
メリー「……ん。」
姉さんを抱え、男をフロートでつかみあげつつ、急いで学園の方に向かった。
事件調査
ドロシー「おかえりー!」
イマヌエル「……。」
学長室にはいつも通りのドロシーと、気が気じゃないイマヌエル先生がいた。
…たぶんドロシー先生、絶対適当に拘束だなんていったんだろうな…
ニール「………。」
メリー「アマリリス……早く……。」
イマヌエル「こちらが彼のことを引き取ろう。あと、ド ロ シ ー 学 長 ?」
ドロシー「…………わかってる。ごめんってカント。」
そのあと、男はアマリリスということもあり、施設に連行され、ドロシーはイマヌエル先生には勝手に生徒に指示したことを叱られていた。
イマヌエル「ニール、メリー…今回は大事にならなかったからいいし、私が席を外してたゆえに起こった事例だ……。あまり無茶はしないでほしい。」
ドロシー「えーと、情報を聞き出す前にカース内容を断定しないと。感染元のクリーチャーについてはガンディーに調べるように頼んでおくね。」
ニール「…人使い荒すぎなイ?」
メリー「入学式から……変わってない………」
イマヌエル「…調べる必要はない。あの症例には心辺りがある。」
ドロシー「おっ!有能有能~!みんなのような部下に囲まれてドロシーちゃんは幸せ者だよ。さすが私。みんなのヒロインやってる。」
イマヌエル「だったら少しは部下を労っては?……ごほん。
おそらく…あのカース……幸せの枯渇を増進させるカースの持ち主はズメイというクリーチャーだ。」
ドロシー「…ああ!私も思い出した。たしか、HSNで討伐依頼が来ていたけど、アマリリスに襲撃を受けて下級生が取り逃したっていう報告が上がってたわ。」
イマヌエル「…ニール、メリー。このままこの依頼を任せてもいいか?
カース対策委員として、敵対組織の人間だとしても、事件の解決を任せたい。」
姉さんと俺は、同意であることを伝えるため無言で頷いた。
ドロシー「うーん。今回はズメイがどうなったかを探らないとね。
本当はクリーチャーについてわかったら教えとこうかなーって。」
とドロシー学長はいつの間にか落ちていた赤い石を見ていた……。
ドロシー「二人とも気づいてなかったようだけど、これ君がつれてきた子についてた血だったものだね」
メリー「……血?」
ドロシー「いまは結晶化してカースストーンみたいになってるけど。………えい!」
と箒をふるうと、ぽん!という音を立てて、とある本が出てきた。
残り続ける血晶(けっしょう)というものだ。
そしてパラパラとページをめくると、とあるページで止まった。
ドロシー「あった!血が残り続ける上に血晶になるクリーチャーって少ないから。」
イマヌエル「……ドロシー学長……ガンディが、その本が期限を3日過ぎても返却されていないと怒っていたんだが……。」
ドロシー「コピー取ったらすぐ返すって!」
ニール「なにしてるノ、本当ニ…」
に渡された資料は非常に詳しいものだった。
耐久戦闘
あの後、俺は学長室を後にすぐに血晶をたどった。
情報は頭にいれた。
こういう調べごとに対する能力はカース対策委員での経験がいかされているとは思いたい。
ズメイの血晶は大地に染み込まず、結晶化する他、カースを含んでいる血であるため、大地に嫌われし汚れ血と言われている。
また、ズメイは竜のクリーチャーだが鱗はズメイが流した血が結晶化したもの…要するに恐ろしく固い。
血が結晶化する性質ゆえ、人の体内に入ると危険という厄介な反面、全身がすでに傷だらけのため、体力があるわけでもないし毒などには弱い。
この戦いに勝機があるか、と言われたなら……もちろんある。
ハーベストでの経験で育ててきた魔法の技術は、あの時をきっかけに相手に猛毒を発生させる……
正確には相手の精神に干渉して自身が経験した苦痛をフラッシュバックさせることだ。
周囲に残らないが最も協力な猛毒は体内に備わっているのだから、なんて皮肉なことだろう。
…それを行うことで相手にじわじわとダメージを与えていく。
要するに持久戦だ。
メリー「…ニール………落ち着いて。………遺跡の奥」
ニール「……ああ、ゴメン、この先も簡単にたどれそうだかラ…。戦闘での対策を練ってタ。」
メリー「…この奥……なんかいや………」
ニール「……ステルス」
アマリリスの戦闘員がいると厄介なため、姿を消して、ペネレイトとスコープで周囲に目を配る。人の気配はないみたいだ。
ズメイと思わしきクリーチャーはただ遺跡の奥で佇んでいた。
俺はそっと近付くと…ズメイの角や顔の鱗が剥がれていた。
あの男がやったのだろう。
ニール「…姉さん、いくよ。」
突然の奇襲に驚いた暴れる竜を、猛毒を孕む青い邪眼と姉さんがいる証である金色の目で睨み付けた。
竜は誰よりも早く魔法を完成させる。
見た目にたいしてだいぶすばしっこいし、こっちでいう詠唱も早い。
……コツがいること以外は簡単に倒せるはずだが……下調べしたときよりずっと早いことに動揺しながらも、魔法の障壁を展開させた。
あの魔法…すべてにズメイの血が含んでいるようでだいぶ厄介だ。
癒しの力を増幅させるグレイシアリンクと、相手の攻撃を弾き安くするためのためのエンジェルフェザー。
ニール「っ……」
メリー「……ニール。」
次に、姉さんがストレイシープでこっちが食らったズメイの血を消しさり…
ニール「…頭!」
メリー「……ん。」
姉さんはズメイ脳天に増えた羊のぬいぐるみを叩き込む。
…しかも普段よりゴワゴワしているのでそれが擦り傷に触れ…
…ズメイは頭を左右にブンブンと振り乱しグルルと唸ったので痛そうってレベルじゃないことはわかった。
次に、相手がふたたび攻撃を仕掛けてくる。
そんなに強い魔法攻撃ではないがかならず血もおまけで飛んでくるのが非常に厄介なため、絶対姉さんには攻撃を掠れさせもしない。
だけど、いまはまだ耐えるべき。
与えられた痛みの分だけ相手に返す痛みは何よりも強い。
魔力を解放せずに、未来により強い魔法を打ち込むため、グロウアップソーラーで魔法障壁を展開した。
ニール「静かにしやがれ!」
自分の護衛用のアイスボール、姉さんのコバルトスマッシュを苛立ちと一緒に、ズメイの脳天に叩きつけ…
ズメイはこちらに向かってイレイズを撃ってきた。
ニール「…ぐっ……ま、だ……」
連続で押し込まれたズメイの血が体内で結晶化する痛みをごまかすように呼吸を整える。
フォルトナミステリ…、この魔法のお陰でまだこちらの回復力の方が上。
両者共に呼吸を整える。
…おそらく、ズメイの異常なまでの魔法の連発は、時空転移という現象を起こせるためかもしれない。
早さや行動パターン、いままでの勘が告げる、次は俺と姉さんのあとに魔法攻撃が2回くる…
毒を与えるチャンスはそこだが、まだマナが足りない。
ニール「姉さん……。」
メリー「………無茶。」
ニール「マだなにも言ってナイ。」
メリー「……………増える。」
ニール「大丈夫、そのぐらいなら。」
次、先に俺がストレイシープを、空撃ちし、ズメイの血を消した。
そして、姉さんが増えた衝撃はこちらに飛ばしてもらった勢いを利用してさらにマナを増やす。
ズメイの血が降り注ぐ前に邪眼にマナを集めさせた。
行ける……それもハイドレンジアよりとびきり上等な魔法。
ニール「終わりだね…… メイルシュトローム…square」
周囲には5年間慣れ親しんだあの花が降り注ぐ。
あまりの猛毒に相手は消えた。
いつの間にか上空にいたズメイは周囲に血の雨を降らせる。
ニール「チッ……。」
マズイ…
とっさにフォースで姉さんの命その物であるぬいぐるみは瓦礫が屋根になる場所に移動させたが生身の俺はがっつりズメイの血を浴びてしまった……
メリー「……ニール!」
こちらが身動きをとる前にすべての血が血晶化し…
回りが赤く見え、息ができないし…あちこちが刃物で刺されたように痛い。
意識が遠退く寸前、強い衝撃とともに、視界が砕けた。
エンディング
意識が戻ったのはその夜のことだった。
ドロシー「やっと起きた!……血晶で大怪我してたニール君を大量のメリーちゃんが運んでなかったら今頃出血性ショックで死んじゃってたんだよ!もう……
医者の人は君たちを見つけたとき顔を青くしてたし…」
ニール「……」
おそらく、あのあと、増えた姉さんのうち1体が爆ぜた
……医者の話によると、運良く致命傷は避けたが傷の数多く、さらに血晶を抜けずに止血ができない状態でずっと出血が続いていたらしい。
普段のトリカブトの摂取もあり、血量も普通の人よりだいぶ減っていたため、もう少し遅かったら脳に障害が出るか、特に血晶がおおく刺さってた両足を失っていたという。
正しく処置をして、安静に3ヶ月ほど過ごせば傷跡もキレイに消えるので、最低でも傷が塞がるまでは毒の摂取をしないように、なおっても傷跡が消えるまでは量を減らすようにとひどく叱られる。
切り傷は塞がりやすいというのもあり、退院は3日と思ったよりとても早かった。
寮に戻った俺は…自分にかけた筈の魔法が消えてしまってることに気がついた。
いつもの毒もない…一体なぜ?
メリー「……私が…消したの。」
その答えは身近にあった。
メリー「ニール、いつも無理する……。……なにも………悪くないのに…必要以上に……」
姉さんはいつもより饒舌に語る。
メリー「自分勝手……知ってる………。ニールなりの……けじめ………知ってる………でも……」
金庫にしまった筈の毒の瓶はいつの間にか姉さんの手にあった。
メリー「やり過ぎるなら……ニールと同じ量……飲む。」
そういう姉さんに、俺はようやく脅されてるとわかる。
…俺はどうやら、これからも姉さん離れはできないらしい。
ニール「…………わかった……しばらくは止める、回復したら量を調節して飲む。これで…いい?」
メリー「ん。………あと……」
ニール「あと?」
メリー「………男の人の話………」
メリーの説明によると、あの男は俺の双子の兄で間違いなかったそうだ。
詳しい話しも…聞かされもした、結論から言うとあまり心は動かなかったし、今頃家族にたいして強い感情があるわけじゃなかった。
……俺を生まれてすぐ、貴族の生まれということもあり、父親の邪眼を引き継ぎ長男で跡取りであるラール=トゥレラをそのまま育てることになった
次男の俺は、邪眼を持っていないのでスラムに捨てたらしい。
しかし、家の経営は、俺が捨てられたスラムが滅んだ責任を追わされて落ちぶれ…競争や挫折を知らずにイチゴみたいに育ったラールはコツコツ働いたり、貴族として振る舞えないのにハーベストに通うのが嫌だという理由でアマリリスに入団した。
が、アマリリスもアマリリスでつらく、ズメイのカースに感染した結果、いままでの鬱憤が爆発したゆえにああなったらしい。
俺からしてみれば働くだけで安全を保証される暮らしをどうして自ら捨てていったのかわからないし、カースによるものだとしても、アマリリスに入団の件は完全に自業自得だ。
そして昨日、アマリリスという唯一の居場所を失くしたラールは、何かしらの干渉が原因で記憶も失ったらしい。
ニール「…このあとのこと、考えないとね…」
メリー「……………。」
急に姉さんが静かになったので振り向くと……目を閉じずに立ったまま寝ていた。
ニール「……お疲れ様。」
フロートで、メリーをベッドに横にさせ、毒の瓶を金庫の奥に仕舞う。
今度は埃を被るまで開かれないだろう金庫を横目に、俺もソファーで横になった。

