「この『天才』に、任せておきな」
音楽を誰より愛した少女の為にマイクを作り、
義を重んずる青年の杖と義手をあてがい、
アマリリスへと行った裏切り者に餞別を贈り、
守護を決意した少女に自らの試作品を託し、
知識を欲し続けた男の為に魔導書を改造した。
何処までも手を伸ばす少女に手を貸し、
魔眼に苛まれた女性の命を繋げる義眼を作った。
愛する物のために戦う騎士の剣を鍛工し、
新たなる自由を求める少年となんだかんだ仲良くなった。
丁寧に作った人形は、実は意志を宿していたりしたし、
並行世界からの隣人には、コンピュータのイロハを教えている。
もう一人の自分と共に歩む少女には自由へ進むための拳銃をもたらした。
ただの青年には発動体の加工方法を教え、高めあった。
対極の側面を持つ少女には切り替えの為の道具を手渡した。
遍く人に武器を、盾を、服をもたらし、未来への背中を押す。それが彼女、夜凪 楓夏である。
得意魔法:マイグランファーザークロック
魔導世界出身で、幼くして稀代の発明家となった少女。現在12才の5年生。友人の発動体を幅広く手がけ、機械だけに飽き足らずあらゆる発動体の改造、強化を行ってきた。部活には入っていないが、ハーベストの一室を借りて「夜凪工房」を開き、発動体の開発・強化に日々いそしんでいる。格安で修理などを承っており、更に既存のモノを発動体として改造することも出来るため、足を運ぶ人は多い。
ちなみにドロシーから許可は貰っているため合法である。出力も『普通は』安定したモノしか作らない。試作品などの例外はあるが、基本的にその人物に合った調整を基本とする。
戦闘時や発動体の開発時以外は、ゴーグルを上に乗っけている。少しだらしない容姿が特徴で、割と発見すること自体は難しくないだろう。
気さくで、二つ返事で色々と承諾するノリの軽い人。また、あまり目上目下を気にしないためか、一部の先生・生徒からは「作法がなっていない」と嫌われている節もあるにはある。だが彼女は相応の実力者であり、発動体の知識において彼女の右に出るものはそういないであろう。基本的に自らを「天才」、他者を「原石」と揶揄することが多い。自分にとって尊敬出来る人もまた年上年下関係なく彼女にとって「天才」である。
元々は機械いじりが趣味であったが、その幅広い発動体の種類に感激し、折角だし全ての発動体に関して取り扱えるようになろうということで発動体を転換、発動体を取り扱う工具そのもの―「マジックドライバー」を発動体としている。
これの作用によって精神力の負担を減らし、低コストの魔法であれば即席で撃つことが可能である。
「風の如く速く、水の如く流れるように」―彼女の戦闘スタイルは、柔軟性と安定性に長けたものだ。

「『天才』ってのはな、大事な人だって護れなきゃいけないんだ!」
彼女の『天才』の名は、決してただの自意識過剰ではなく、彼女にとっての誇りの称号である。
『天才』であることを誇らしく思っていると同時に、常に『天才』たりえんと努力しているのだ。
彼女がもっと幼かった頃の話。両親があるクリーチャーに攻撃を受け、重傷を負った。
彼女は幸い無事だったが、二人は意識不明の重体。嘆き悲しむと同時に、「どうしてこんな事になってしまったのだろう、もうこんな思いはしたくない、誰にもしてほしくない」と強く願うようになった。
ハーベストに入学し、発動体について猛勉強した。もし人の代わりにダメージを受けてくれる発動体が、もっと丈夫で使いやすくて、力を与える物になれば。それはきっともっと多くの命を護れるのではないか?と思ったからだ。知識を詰め込み、調整方法を学び身につけ、他人から『天才』と賞賛されるようになった。それがたまらなく嬉しかった。やっとここまで来れた。皆の力になれる確信が生まれた。
だから彼女は今日も発動体に触れ続け、勉強し続ける。『天才』であり続けるために。大事な人を、傷から護れるように。
結局復讐は果たされ、彼女の両親は(まだ入院しているとはいえ)無事に帰還するらしい。それでも、5年間両親が生と死をさまよっている間感じていた孤独は、きっととても大きいものだ。だからだろうか、「父親」ともいえる人物や、「母親」とも言える人に遭遇すると、彼女はほんの少しだけしおらしくなる。彼女は『天才』であれど、それでもやはりまだただの「子供」なのだ。
彼女が強い思いを抱いた時、彼女の服にあるラインから光が灯る。これはマナ集積回路の一部。
これによって、まじない程度ではあるが狙ったマナを集積しやすくなる―らしい。

