魔法学園RPGハーベスト
シナリオ「閉ざされた灰色の城 ~The Closed Gray Castle~」
シナリオセッティング「封印戦闘」
推奨人数 3人
推定時間 10~12時間
推奨リベラルアーツ フォース、ブリンガー、テレポート、ペネトレイト、スコープ、エクスプロード、各種オペレイト系魔法、チェンジアニマ
必須サプリメント クロス・ゾーン
イメージソング 夏[さユり]、グレーゾーンにて。[wowaka feat.初音ミク]
※GMへの情報をページ下部に記載しておりますので、GMをされる方はご確認ください。
封印戦闘の勝利条件(勝利条件1~6を全て満たしたとき、戦闘が終了しPCたちの勝利となる)
1.敵のHPが0になっている。
2.味方全員にグッドステータス:覚醒を与える。
3.全てのオブジェクトにグッドステータス:不可知が与えられていない。
4.戦闘空間上にキャラクター以外のオブジェクトが存在しない。
5.敵にバッドステータス:火傷が与えられている。
6.味方が誰も戦闘不能でない状態を、2ラウンド継続する。
今回予告
魔法は憂鬱な現実から僕らを連れ出してくれる。
けれど、沈鬱な魔法の世界から逃げる手助けはしてくれない。
魔法は退屈な日常を変えてくれる。
けれど、苦痛な日常を破壊してはくれない。
進展が救いでないなら、停滞こそが救いだと。
信じられたから手を差し出した。
救いの果ては行き止まりだと知っていたけれど。
信じられたからその手を取った。
魔法学園RPGハーベスト「閉ざされた灰色の城 ~The Closed Gray Castle~」
今年の夏は、まだ始まらない。
シナリオハンドアウト
HO1 コネクション:咲良 大樹(さくら だいじゅ) 推奨関係:友人/心配
君は魔法学園ハーベストの学生だ。
君の友人である咲良 大樹は、心優しいのだが世渡りが上手でない。
ある日、彼は夏祭りの舞手の役を押し付けられてしまった。
君は大樹を心配して、はたまた面白がって、彼の練習に付き合うことにした。
しかし、何度目かの舞の練習中、彼の姿は忽然と消えてしまう。
HO2 コネクション:深山 篤也(ふかやま あつや) 推奨関係:友人/興味
君は魔法学園ハーベストの学生だ。
コレクション特殊事案調査委員会に長年所属しており、コレクション特殊事案調査委員会顧問のシヴュラにもよく信頼されている。
ある日、君が学内を歩いていると黒髪の青年に声をかけられる。
深山 篤也と名乗った彼は、入学して間もないらしく学園を見て回っていたのだという。
それから少し日が経ち、再び現れた彼は君にこう尋ねた。
「シヴュラって人探してるんだよね。お前、知らない?」
HO3 コネクション:渡我部 響太(わたかべ きょうた) 推奨関係:友人/同士
君は魔法学園ハーベストの学生だ。
今度行われる夏祭りで、君は渡我部 響太という友人と共に祭囃子を担当することになった。
練習を続けていたある日、君たちは「辞めていないにもかかわらず組織から人が消える」という奇譚を聞く。
そのとき、ふと思い出した。今回の祭りには舞手がいたはずではないか、と。
NPC
咲良 大樹(さくら だいじゅ)
年齢:16歳 出身:魔導次元 性別:男
得意魔法:フェアリーズイン
「でも、俺にどうにかできることじゃないしさぁ……」
ハーベストの変身魔導学科に所属する3年の男子学生。桃色の髪に灰色の瞳を持つ。
心優しいが大人しく引っ込み思案。加えて成績も悪いため、周りからいいように使われることもしばしば。
実はアニメや魔法生物など、一部の分野においては専門家並みの知識を持つ。
魔法生物学の単位は検定の結果によって入学当初から取得しているのだが、そのせいで講義に出る必要がなかったため、このような優れた点について知っている人物はハーベストでも一握りしかいない。
発動体は左手の中指につけられた指輪。

深山 篤也(ふかやま あつや)
年齢:16歳 出身:魔導次元 性別:男
得意魔法:ディレクトオブオーバーロード
「俺、こう見えて意外と何でもできるのよ」
最近ハーベストの杖魔導学科に入学した、黒髪黒目の男子学生。
三枚目キャラでよく適当な発言をしている。しかし、優しさや面倒見の良さには目を見張るものがあり、他の学生からも親しみやすいという評価を得ている。
マナコントロールが優れており、同級生の魔法練習に付き合っていることも多々ある。
発動体は先端にアメジストが付いた杖。

渡我部 響太(わたかべ きょうた)
年齢:16歳 出身:魔導次元 性別:男
得意魔法:ノワールアンドシエル
「なんか……腹立つじゃん、このまま蚊帳の外にされんの」
ハーベストの楽器魔導学科に所属する5年の男子学生。茶色の髪に青色の目を持つ。
几帳面な性格でしっかり者。一方で感情がすぐに顔に出たり、はっきりと物を言ったりする側面もある。
発動体はダイナミックマイク。歌唱で魔法を発動させるのが常だが、他の楽器に触れることもやぶさかではない。
事実、楽器魔導学科のイベントで人手が足りないとサポートに回ることも多くある。

シナリオ本文
オープニングフェイズ
シーン1 劣等生との出会い(PC1)
※過去回想シーン。PC1と咲良 大樹が初めてまともに交流した日の話。
とある早朝(5〜6時頃)、君は講義で出されたクリーチャーの生態観察のために黒き森に足を運んでいた。
周囲の草木には朝露が残っていて、朝特有の肌寒さがより一層感じられる。
君が黒き森を歩いていると「だっ……誰か……」という少年の声が聞こえる。
声のした方へ向かうと、そこには丸腰で尻餅をついている桃色の髪をした少年と、彼の元へじりじりと近寄っているスライムがいた。
(発動体について少年に聞く)
「さ、さっき……攻撃受けたら、壊れちゃって……」
よく見れば彼の手には砕けた指輪が握られている。
(スライムを倒したり追い払ったりする)
「あ、ありがとうございます……本当に、死ぬって思ったから……だから、あなたが来てくれて助かりました」
少年は何とか立ち上がって君に礼を言う。
「あっ、そういや名前……」
「PC1くん(さん)、ね。本当に、さっきはありがとうございました。えっと、多分ハーベスト生……ですよね? 俺もハーベストに通ってるんで、その、今度何かお礼させてください!」
彼は君の名前を聞くと矢継ぎ早に言葉を発する。
「あっ、そうじゃん……俺名前言ってないじゃん。えっと、咲良 大樹(さくら だいじゅ)です。変身魔導学科に一応入ってます。あー……マジで今日やらかししかしてねえわ……」
大樹は苦笑する。
(こんな時間/場所で何をしていたのか)
「ちょっと、ベンヌが飛ぶ絵を描きたくて。あっ、ベンヌっていうのは、魔導次元各地に生息している魔法生物で。青い鷲みたいな奴なんだけどさ、日の出前後の時間にしか活動しないから、どうしてもこの時間じゃないといけなくて」
「ほらこれ、俺が描いたベンヌなんだけど、こいついっつもこんな感じで後光さしてんの。ヤバくない?」
大樹は背負っていた画板から画用紙を外して、君に見せる。そこには光り輝く青鷲が暁の空を悠々と舞う様子がダイナミックに描かれていた。
「あ……また話しすぎちゃった。それに敬語も外れてた……」
もし君が「敬語を使わなくてもいい」と大樹に伝えるならば、彼は「本当? それなら、そうさせてもらおっかな……あんま、言葉選びとか、そういうのに気を使うのは上手くなくてさ」と少し安心した様子で砕けた口調になる。
「だから、それで黒き森に来たんだけど……俺本当魔法発動ダメでさ、それでさっき会ったスライムに殺されかけてたって感じ」
「いや、もう全然死を覚悟したっていうか……朝だから人通りもあるわけないし……」
「助けに来てくれたってわかったとき、マジでヒーローに見えたわ……主人公に助けられたあのモブ少年もこういった気分だったんだろうな……」
(「ヒーロー」や「モブ少年」についてなど、上の発言に関して質問する)
「あー、俺、結構アニメ好きなんだよね。最近放送されてた回で、さっきみたいなシーンがあったから……なんて言うんだろ、デジャヴを感じたの」
「でさ……その……助けてもらった身でとは思うんだけど、ひとつ頼み事してもいい、かな?」
「絵も描けたしさ、俺、そろそろ帰ろうって思ってたんだ。けど、さっきのスライムに発動体壊された、じゃん」
「だから、よかったら学園まで一緒に帰ってくれない? 一人だと危ないし……それに、もしまた襲われたらって思ったら……怖くて。もちろん、PC1くん(さん)の用事が終わるまで待つから。だから、お願い」
君が共に帰ることを了承すると、大樹は胸を撫で下ろす。
「あ、ありがとう。よかった、置いて行かれなくて……」
「ほら、俺、ただでさえ魔法下手なのに、発動体も壊れてる今、本当にただのお荷物だからさ。だから、置いて行かれても仕方ないかなって」
程なくして君たちは学園に帰ることだろう。
それから君と咲良 大樹は何度か接する機会があり、彼の数少ない友人という今の関係になっている。
シーン2 新入生との出会い(PC2)
※PC2と深山 篤也が初めて出会った日のシーン。
4月某日。君はコレクション特殊事案調査委員会室に足を運んでいた。長期にわたる仕事が現実世界であるため、しばらくハーベストを不在にするというシヴュラから委員会室内の資料の管理を任されたためだ。
目的地の部屋はハーベストの地下、その端にあるため、君とすれ違う人は徐々に少なくなっていく。
歩きなれた、しかしどこかうら寂しい通路を進んでいると、君は正面から誰かがやって来ることに気が付いた。顧問がいない今、委員会室を使うのは委員会のメンバーだけだが、他のメンバーが部屋を使うとの報告は受けていない。
「おっ、人じゃん。あーよかった、このまま誰にも会わないんじゃないかって思ったわ」
向こうも人影を認識したのか、君に対して声を掛けてくる。青年の声だ。距離が縮まれば、その人物の姿形も見えることだろう。もっとも、その顔は初めて会うものだ。
(どうしてここに?)
「いやー、ちょっと学園歩いてたらこんなとこまで来ちゃってて。ここ結構広いのな」
「まぁ、だからいわゆるその、迷子ってやつ? まさかこの歳になって迷うとは思わなかったわ」
「そういや、自己紹介してなかったね。俺、深山 篤也(ふかやま あつや)」
「こないだ入学したばっかりのピッチピチの新入生ってね。あ、学科は杖」
彼は腰元のホルダーにつけていた杖を指し示す。
「で、そう、俺迷子なのよ。さっきから【ペネトレイト】とか使ってみても全然道わかんなくってさ」
「お前、多分先輩でしょ? だからさ、可哀想な後輩を助けると思って、ちょっと管理棟までの道教えてくれない?」
君が道を教えたり、管理棟まで案内したりすると、篤也は
「あんがと。お前、いい奴だね。面倒見が良いって言われない? ま、俺も面倒見の鬼ってよく言われるけど」
と冗談を交えつつ礼を述べた。
シーン3 楽器魔導学科生の念慮(PC3)
何の変哲もない放課後。君は友人である渡我部 響太と共に過ごしていた。
(何をしていますか? 何もなければ共に帰寮しているシーン)
「そういや、PC3。そっちの方、なんか今日面白いことあった?」
沈黙を破る、あるいは会話の切れ目を見計らったように響太は口を開いた。
(どうして?)
「いや、こっちがマジでどうしようもない感じだったから中和しようと思って。つうか愚痴りたいからさ、お前の話聞き終わったら愚痴ってもいい?」
「あー……ありがと。それなら話すんだけど、俺ね今日専門講義だったの。楽器の」
「で、相変わらず管弦の女子はしょうもないことで喧嘩してるし。俺は『話聞こえないしホント静かになんねえかな』とか思いながら講義受けてた。まぁアイツら静かになったらなったでまた冷戦始めるからそれはそれで厄介なんだけど」
「でー……ああそうだ。講義終わりになんか特別講義? に参加してくれる奴いないかって静華先生が話してたんだよ。あー……何だったかなー……」
響太は自分の鞄の中をゴソゴソと探る。
「ああ、あった。これだこれ。『地域社会と伝統 -祭りから見る発展と問題-』って講義。ほら、毎年夏に祭りあるじゃん? あれの知識だったり問題だったりを学ぶって内容らしい。それとその祭りのボランティア参加」
「一応全学科対象らしいんだけど、そのボランティア参加の中に祭囃子とかもあるっぽくて。それでまず最初に楽器で人員募ることにした……んだろうけどさぁ……」
そう話す響太の顔はどんどん不機嫌なものになっていく。
「アイツら、ぜんっぜん参加表明しねえの!!! 何が『肌が焼けちゃうからヤダ〜』だ! せめて日傘使って毎日日焼け止め塗ってからその言葉言えよ!!! 大体、ボランティアすんのは夜だろ!!!」
「まぁ……とにかく。その講義に参加する奴が全然いねえの。特別講義だからちょっと休日が潰れるってのもあるとは思うけど」
「流石にさ、祭にしょぼい祭囃子を響かせる訳にはいかねえと思うの。俺はね。だからさ、お前もこの講義受けようぜ」
「俺はもうこの講義受けるって言ってる! いつもと違う楽器に触れるのもいい経験かとも思ったし! ……ただまだ全然人足りないんだって!」
響太は君に頼み込む。君が肯定の返事をするまでこのやり取りは終わらなかった。
シーン4 特別講義「地域社会と伝統 -祭りから見る発展と問題-」(PC全員)
※講義シーン。PCたちの交流シーンでもあります。
君たちは特別講義「地域社会と伝統 -祭りから見る発展と問題-」が行われる講義室にいる。この講義はハーベスト近くの町と提携して行われている。毎年夏に開催される「ハーベスト夏祭り」の歴史や知識および諸問題を学び、最後には祭りの担い手としてボランティアに参加することでより一層の理解を深める。特別講義である関係上、講義が土日の午前中に開催されるので自ら積極的に講義を受ける人間は少ない。一方で、話を聞いて夏祭りに参加するだけで単位がもらえることから、進級が危うい生徒が散見される講義でもある。
PC2はなぜかシヴュラに「この講義は面白いし、君のためになるだろうから受けてみたらどうかな」と受講を勧められていた。
PC3は響太と共に受けている。また、PC1は大樹が同じ講義室にいることがわかる。
大樹に話しかければ「あっ、PC1くん(さん)」と反応を返す。
「同じ講義取ってたんだね。あっ、俺は単位がまだ足りなくてさ……」
君たちが話をしていると、ハーベストの講師と共に見知らぬ高齢の男性が講義室に入って来る。
「えー、では特別講義を始めたいと思います。一応この講義を担当する船附(ふなつき)です。こちらは『ハーベスト夏祭り』実行委員会の青松 理生(あおまつ りお)さんです」
「青松です。これから2ヶ月ほどですが、生徒の皆さんよろしくお願いします」
「初回の今日ですが、まず『ハーベスト夏祭り』とは何か。それについて基本的な事項を青松さんに教えていただきます。その後、ボランティアで何を担当するのかを決めたいと思います。では青松さん、よろしくお願いします」
「はい。『ハーベスト夏祭り』というのはその名の通り、毎年夏……7月上旬にここハーベストで行われる祭りです。魔導次元を作り、平和の礎を築いた偉大なる魔法使いに対して天下泰平を願うという目的で150年程前から開催されています」
青松がそのように話すと、横から船附が口を挟む。
「補足ですが、偉大なる魔法使いに感謝を伝えたりする祭りは魔導次元各地に存在します。これは彼を神と同一視する考えが魔導次元全域に広まったからというのが主な理由とされていますね……こういった話は自分が担当する『魔導次元文化人類学A』および『魔導次元文化人類学B』で取り扱っているので、興味がある人は頭の片隅にでも覚えておいてください。失礼、続きをどうぞ」
青松が再び話し始める。
「ハーベスト夏祭りのメインとなるのはやはり、祭囃子が演奏される中行われる奉納舞です。この舞と音楽は祭りが始まった当初から今に至るまで、ほとんどその形を変えていません。今まで祭りに携わった人たちが伝統を繋いできた証左です」
「ただ、近年では舞手が集まらなくなってきたこともあり半ば形骸化しておりますが……それでも、伝統あるこの舞を見に来てくださる方は毎年多くいらっしゃいます」
「まあ、生徒さんの中には夜店の方が楽しみという方も多いかもしれませんが」
それからしばらく「ハーベスト夏祭り」の歴史が語られ、やがて祭りの流れについての話になる。
「ハーベスト夏祭りは3日間行われます。言うまでもないかもしれませんが、開催時間はいずれも夜です」
「まず1日目に神事が行われます。今回、皆さんに参加していただくのもこの日になります。そして2日目には主にミュージシャンやハーベストの生徒さんなどによるパフォーマンスが行われ、最終日の3日目には花火大会が行われます。また、開催期間中は露店が立ち並びます」
「……ああ、そうだ。大事なことを言い忘れておりました。祭りの開始時と終了時には『平和の沈鐘』という鐘が鳴らされます。これは地上で鳴らすと、その場所一帯から危険な事象を遠ざける効果がある道具です。その反面、他の場所に被害を及ぼす可能性があるのですが、普段はハーベストで管理されておりますので、祭りが始まって以降、皆さんが心配するような事態には一度たりとも起きておりません」
そこで、講義時間を告げるチャイムが鳴る。船附が前に出て、生徒たちに連絡する。
「それではこの辺りで一旦休憩にしましょう。この後はボランティアにおける役割決めを行います。では、また20分後」
そういうと、船附は青松と共に退室する。
シーン5 役割(PC全員)
休憩時間が終わり、君たちは再び特別講義「地域社会と伝統 -祭りから見る発展と問題-」を受けている。
「では、先程言ったように夏祭りのボランティアで何をするかを決めます。役割としては……」
船附が黒板に字を書き進める。
・舞手(1名) 奉納舞を舞う。要練習。この舞自体に魔法を発動する所作は組み込まれていないのでマナコントロールの腕は不問。
・祭囃子奏者(10名前後) 祭囃子を演奏する。要練習。楽器魔導の生徒優先。音楽はともかく、演出には魔法も使う。
・会場設営他(10名前後) 雑用。『平和の沈鐘』の準備や参加者の誘導などでマルチに動くため、魔法はある程度使えた方がよい。
「このようなものがあります。では、皆さん5分ほど時間を取りますので、何がやりたいか考えてください」
その言葉で一人また一人と生徒たちが周りと話し始める。
(PC3の場合)
「段取り下手なの?」
響太は呆れたといった表情で言葉を零す。
「ま、俺らは決まってっからいいけどさ。全員決まってなかったら地獄だぞこれ」
(PC2の場合)
君が役割について考えていると「隣いい?」と声が掛けられる。声の主はちょうどひと月ほど前に出会った新入生、深山 篤也だった。
(なんでここに?/さっきまでいた?)
「うーん、別にこの講義とってた訳じゃないんだよね。ただたまたま通りがかったって感じ? そしたら結構面白そうだったからさぁ、受けることにしちゃった」
「さっきあの船附とかいう先生に話したし、受講については大丈夫だと思うんだよね。でさ、PC2は何やろうと思ってる感じ?」
「俺? いやー、どうしようかね。人少なそうなとこにしよっかな。演奏も雑用もやればできるだろうし。ほら、俺YDKって奴だから。なんだったら、やらなくてもそこそこできるタイプよ」
(PC1の場合)
大樹は少し眉を下げて君に尋ねる。
「どうしようかな……PC1くん(さん)はもう決めた?」
「ちょっと……いや、結構悩んでる……」
君たちが役割について話していると、
「あれ? 咲良じゃん、お前もこの講義取ってたんだ?」
と声が掛けられる。どうやら変身魔導学科の男子生徒で、大樹の知り合いであるようだ。
「う……うん」
「役割決めた?」
「まだ、ちゃんとこれって決められてはないかな……」
「あ、やっぱり? じゃあ舞手やればいいんじゃね? 咲良、魔法発動得意ってわけじゃないっしょ?」
「ま、まあ……そうだけど……」
「だよな! だから俺は名案だと思うぜ……あっ先生戻ってきたわ、じゃあな!」
男子生徒は自分の席に帰っていく。
「行っちゃった……」
大樹はポカンとした表情で君を見る。教壇に戻ってきた船附は開口一番、
「皆さん考えはまとまりましたか? それではまず舞手から。希望する人は挙手してください」
と尋ねる。しかし、生徒たちの手は挙がらない。それを見て船附は「あー……」と気だるげに考える素振りを見せ、
「自らやりたいという人がいなければこの際、他薦でも構いません。ここだけはいないとマズいので」
と述べた。すると、先ほど話しかけてきた男子生徒が手を挙げる。
「じゃあじゃあ、俺『タセン』しまーす。咲良とかいいんじゃないですか。ホラ、他のってどれも結構魔法を使うっぽいじゃないですか。苦手なことを無理にやらせるのはよくねえと思うんで。どうすか、先生」
「咲良くん、どうですか? もちろん、拒否する権利はありますが」
「え……と」
咲良は周囲を見回す。生徒たちは彼を注視しているが、その半数以上はここで舞手が決まるのを期待しているような瞳をしていた。
「大……丈夫です。俺がやります」
「そうですか。では舞手は咲良くんで。それじゃ次、祭囃子ですね。希望する人」
響太を含む半数ほどの生徒の手が挙がる。船附は彼らの名前を次々に黒板に記入する。
「最後、会場設営他」
再び半数ほどの生徒が手を挙げる。また船附が黒板に彼らの名前を書いていく。そして、一人の生徒に面倒くさそうな視線を向ける。
「……深山くん。君はどうするんですか。途中受講を認めた以上、君にもボランティア参加の義務があるんですよ」
「そうだなぁ、じゃあ[祭囃子/雑用]の方で」
※篤也はPC2が選択したものと同じものを選ぶ。
「はい。ではこれで全員決まりましたね。前にそれぞれの役割についてのレジュメがありますんで、取りに来てください」
君たちがレジュメを確認したところで初回の講義は終わる。
シーン6 承諾と後悔(PC1)
講義が終わり、君は大樹と共に昼食を取っていた。休日の食堂は人が少なく、君たちは落ち着いて食事をとることができるだろう。
「あー……言っちゃったなぁ、舞手やるって……」
そう話す大樹の顔には後悔の色が見え隠れしている。
(なんで引き受けたのか?)
「だって、一応推薦されてたし……。それに、皆早く決まってほしそうだったから……」
「俺が魔法下手なのも事実だしね。だったら、もう俺がやった方がいいのかなって」
「ああ言われても仕方ないっていうか……もしそうじゃなかったとしても、俺にどうにかできることでもないしさ」
「まぁ、頑張るよ。決まってしまった以上、どうしようもないしね」
シーン7 練習(PC3・PC1)
次の日、君たちは奉納舞および祭囃子演奏の練習初日を迎えていた。
※PC1が会場設営他を選んでいた場合、大樹の練習を見学しに来ているという設定にする。
『ハーベスト夏祭り』実行委員会に所属する人が舞や演奏を指導してくれるということで、講義室には青松を初めとする数人の学外者がやって来ている。昨日同様、青松が説明を始める。
「皆さん、おはようございます。昨日に引き続き本日もよろしくお願いします」
「今日は舞と囃子の練習初日ということですが、改めて今回皆さんにお手伝いしていただく囃子について説明しましょう。舞は昨日説明いたしましたので、今日は省略します。詳しいことは個別練習の際にまた説明するかと思います」
「囃子は笛、和太鼓、鉦(しょう)、謡(うたい)の4パートに分けられています」
「笛、和太鼓は皆さんも知っていると思います。鉦はこのように丸い皿の形をした楽器で、この底の部分をばちで叩き演奏します。謡は早い話が歌唱ですね。まあ、普通の曲と比べるとやはり節回しが独特なので最初の内は慣れないかもしれません」
「先程、パート希望の確認が終わりましたので、ここからはそれぞれで練習していきます。笛は~……」
青松はそれぞれの担当者の名前を出しながら、君たちにばらけるよう指示する。
「お前、どれ選んだの?」
響太は君の担当パートを尋ねてくる。
「俺は笛。神楽笛、だっけ? 他の楽器より大変だろうから人が集まらないだろうなと思って」
「まあ、そっちも頑張れよ」
休憩時間になると、横笛を片手に響太がやって来る。
「PC3、お疲れ」
「手応えはまあ、程々だな。あんま講義で和楽器やらないから新鮮でそれなりに楽しい」
「周りは多分人いるから真面目にやってるだけな気もするけどな……」
「あれ、舞手の奴だっけ? ……あっちは見学か何かか?」
その視線の先には休憩もせず基本の所作を反復練習する桃色の髪をした少年がいた。
「ふーん……なあPC3、ちょっと見に行かねえ?」
時を少し戻す。練習の合間に[PC1が会場設営他を選択した場合:気が向いたので]PC1は大樹の練習を覗いてみることにした。
「あ、PC1」
「今はなんて言うんだろ……足運びから練習してる。基礎の基礎からやるって」
(休憩しないの?)
「へ? うーん……そう、だね……ほら、こんくらいしないと俺皆に置いてかれちゃうから」
君たちが会話していると、茶髪の青年と(PC3の外見描写)がやって来る。
「よぉ、練習やってる感じ? 調子どう? あ、俺、渡我部 響太」
「さ、咲良 大樹……です」
「じゃあ、さっくんか。いやーなんかこの講義で珍しく真面目にやってる奴がいたからさ、ちょっと気になって」
※ある程度交流を深めたらシーン終了。
シーン8 尋ね人(PC2)
ありきたりな平日。君はつい先日帰ってきたシヴュラから呼び出され、彼の研究室へと向かっている。すると、前の方から歩いてきた篤也に声を掛けられる。
「おっ、PC2じゃん。お疲れー」
「ちょっと聞きたいことあるんだけど、この後なんか用事ある感じ? あるんだったら手短に話すから、少しだけ時間くれない?」
君が承諾すると、彼は
「助かるわ、ありがとね。そんで、用件なんだけどさ」
「俺、今シヴュラって人探してるんだよね。お前、知らない? ついこないだ帰ってきたって話は又聞きしたんだけど」
と尋ねてくる。
(なぜ自分に尋ねたのか)
「いやぁ、お前とシヴュラって人が結構仲いいって聞いてさ。こう見えて、俺結構顔広いのよ。だから、こんなことを教えてくれる友人もいるって訳」
(シヴュラに何の用か)
「うーん、私用? 少なくとも往来で話すようなことではないかな」
「あ、お前もその人のところに行くところだったの? だったらちょうどいいや、俺も連れて行ってくれない?」
「何の用かはまぁ……お前なら聞かれても構わないしさ」
君は篤也と共にシヴュラの研究室に向かうことになる。
シーン9 評価(PC1)
※シーン8より前の時間軸です。
とある日の放課後。陽が沈み始めている中、君は大樹の奉納舞の練習に付き合っていた。特別講義を何回か終え、少しずつ講義時間にも舞や祭囃子の練習の時間が組み込まれるようになってきた。大樹は集中して練習に取り組んでおり、また時間を取って個人練習も行っていることを君は知っている。
「付き合ってもらってゴメンね、PC1くん(ちゃん)」
「自分なりにこうかなって練習してはいるんだけど……やっぱり人からの見え方ってわかんないからさ……」
「と、とりあえずやってみるね」
そういうと、大樹は舞い始める。まだ若干のぎこちなさはあるものの、君が最初に見たときよりも上達しているように感じられるだろう。
君がそのことを伝えれば、大樹は「ほ、本当?」と顔を明るくさせる。
「あー、舞ってそんな感じなの? なんか思ったより地味なんだな」
「え、それってターくんたちがやってる講義の?」
そこにカップルらしき2人組が通りかかる。男子生徒の方は以前大樹を舞手に推薦した、その人だ。
「そーそー。でもあれか、本来は魔法の演出も込みなのかもな」
「じゃあ、魔法使えばいいじゃん」
「咲良は苦手なんだよ、魔法。できねえもんを押し付けても仕方ないっしょ。つうか、期待するのが無駄っていうか」
大樹は先程まで嬉しそうにしていたのが一転、開いていた口を閉ざし、その瞳から煌きが消える。
もし彼らに対して弁明や反論の言葉を並べるならば、君に対しても無遠慮な物言いをしてくるだろう。
君が大樹を心配する素振りを見せるならば、
「あ……うん、大丈夫……。本当の、ことだし。でも……ごめん、今日の練習はこれくらいにするね。じゃ、また」
大樹はそう返すと、足早にその場から駆け去ってしまう。
シーン10 誘い(マスターシーン)
※最初の地の文は咲良 大樹の独白です。
全部、本当のことだった。だから、反論の言葉なんてあるわけなくて、でも黙って聞いているのもつらくて。気づけば大樹の足は行く先も決めぬまま動き出していた。
自分の意思とは関係なく、勝手に視界は滲んでいく。だから、目の前に誰かがいると認識したのは軽い衝撃を自身に感じた後だった。
「うわっ」
「わっ、大丈夫!? 怪我……はなさそうだけど。よかったらこれ、使って」
ぶつかった相手――青年は大樹の顔を見て、ハンカチを手渡した。
「ありがと……」
「どういたしまして。……あの、何かあったの? 話したくなければ聞かないけど……でも、その、君があんまりにも辛そうな顔をしてるからさ」
心配そうな一対の目が大樹に向けられる。……害意はないと思った。大樹の口からぽつり、ぽつりと言葉が零れる。
「俺……さ。本当に、魔法ができないんだよ。自分なりに頑張ってもさ、他の人みたいに上手くならないの。だから、周りの子にもあれこれ言われちゃうし……」
「俺を庇ってくれる人だっているんだ。お母さんとかはいつ帰ってきてもいいよって言ってくれてるし、大丈夫だって言ってくれる友達だって……でも」
「ほら、皆優しいから。だからそう言ってくれてるんだと思う。けど、できないのは事実なのにさ、そう言わせてしまってるのが申し訳なくて。……そんな自分がどうしようもなく嫌で、さ」
「別に、自分が何か言われるくらいだったら、頑張れば耐えれるんだけど。でも、それで庇ってくれた人が何か言われたりするのは、辛くて。俺、自分のせいで迷惑なんてかけたくないのに。迷惑かけることしかできねえの。今だって、自分のために逃げてきて」
「……優しすぎるんだろうね、お前は。人のために悲しんで、傷ついて」
「でも、さ。お前だけが傷つかなくてもいいんじゃないかな」
「あ、そういや名前聞いてもいい?」
「……咲良 大樹」
「ありがとう。……ねえ、咲良。これは俺の勝手な思いなんだけど、お前みたいないい奴に傷ついてほしくないんだ。だからさ、誰にもお前を傷つけさせないから、お前のせいで誰かが傷つくなんて事態にさせないから」
「この手を取って。お前が誰のことも心配しなくていいところへ行こう。……少しの間だけでも、お前を救いたいんだ」
青年の手が差し出される。
「お前は、誰なの」
「俺? 安恵 丞平(あえ しょうへい)、仲良くしてくれると嬉しいな」
大樹はその手と青年の顔の間で視線を何度か彷徨わせる。そして、意を決したようにその手を取った。
シーン11 神隠し(PC1)
※シーン9の続きです。
君が大樹の後を追うと、一方向に続く足跡がある。辺りにはちらほらと水溜りがあった。昨日降った雨によるものだろう。ただ、君がその足跡を辿っても、彼の姿を再び捉えることはできなかった。
君は大樹の捜索を一旦諦め、校舎に戻る。すると、君の友人が声をかけてくる。
「PC1、今帰り? もう外だいぶ暗いけど、何してたの?」
君が大樹の舞の練習に付き合っていたというと、友人は怪訝そうな顔を見せる。
「舞? 今年のハーベスト夏祭りの舞は中止だろ? 舞手がいないからって」
君が大樹や舞手の情報を集めようとしても、知らないという答えしか返ってこなかった。
シーン12 怪談(PC3)
6月中旬の日曜日。君たちはまた特別講義「地域社会と伝統 -祭りから見る発展と問題-」を受けている。といっても、今日は祭り当日に向けてしっかり内容を詰める日であるらしく、祭囃子奏者は練習、雑用係は担当の割り振りおよび配置確認にまるまる時間が充てられていた。
君と響太は祭囃子の練習をしている。響太はすでに演奏をある程度仕上げているようで、その完成度はかなりのものであるとわかるだろう。
「ま、こんなもんだろ。本当はもうちょい遅いペースで仕上げようと思ってたけど、そうもいかねえってこの数コマでよくわかったしな」
彼の視線の先には、練習などそっちのけで歓談する生徒たちのグループがいくつもあった。
「アイツらを当てにするのは無理。だからお前と二人でできるとこまでなんとかするからな!」
君が熱の入った指導を響太から受けていると、女子から声を掛けられる。
「響太じゃーん、そっちは友達? 二人ともおつー」
「乙じゃねえよ、お前らも楽器なら真面目に練習しろって」
「わぁ、響太気温に負けずあっつーい。ウチはほどほどに頑張ってますー」
「あ、でも暑すぎてヤバいからさっきまで怪談聞いて涼んでたって感じ? よかったら二人にもお裾分けしたげるよー」
「いい、いい! いらねえ!」
「ま、ウチは話したいんで勝手に話すんだけど。ほら、ハーベストみたいな学校ってたくさん人が入学してくる分、途中でドロップアウトする子もそれなりにいるじゃん?」
「ウチも詳しくは知らないけど同学年の子も何人か退学しちゃったみたいだしー。で、あー話逸れたね」
「でもそういうのって大体区切りいいとこで辞めていくもんじゃん? だから噂になるんだけどぉ」
「だけどね、そういう退学した子を数えるとなんか数が合わないことがあるの。この子は春休み明けてから来なくなった、この子はゴールデンウィークまではいたよね? そんな風に一人ずつ数えていってもやっぱり足りない。じゃあ誰? っていって去年の学年文集を開くとー……」
「そんな子、いないの。そう思った次の瞬間には『あれ、なんで文集なんか開いてるんだっけ?』って、探してたことすら忘れちゃうの。そもそも、本当にそんな子っていたのかな?」
「……ってそんなお話。会社バージョンもあったけど大体同じ感じだったよー」
ほんの僅かな引っ掛かりを君は感じる。
「……ふーん。思ったより、オリジナリティあったな」
そう零す響太の顔にも、何かを思い出そうとする色が見えた。
「マジ? といってもこれウチ発信じゃないんだけどね、話してた子には伝えとくよ! じゃね!」
楽器魔導学科の女子生徒は去っていく。明るい髪色が遠ざかっていく。
……彼女とは初対面だったはずだが、似たような姿を見かけた気がする。
どこで? それはたしかいつぞやのこの講義で。そうだ、あれは合同練習のときで。
君が過去のピースを思い出すたびに、忘れていた事実が浮かび上がる。――あれは舞手と祭囃子の合同練習ではなかったか?
「……えっ? いや、でも……」
響太がばっと君の方を見る。
「なぁ、もしかしたら俺、今からめちゃくちゃ変なこと言うかもしれないんだけど」
「この講義って舞手、いたよな?」
君が何か返答をした辺りで、講義終了のチャイムが鳴る。
ミドルフェイズ
シーン13 目的(PC2)
君は篤也と共にシヴュラの研究室へとやってきた。
「へぇ、ここかぁ。普段札のとこに来ないから新鮮だなぁ」
研究室には、机上のタロットカードを眺めているシヴュラがいた。彼は君たちに気づくと、
「久しぶりだね、PC2。例の講義はどうだったかな」
(なんで受講を勧めたのか)
「あの祭りでは魔導具が用いられる。講義で聞いただろうが、『平和の沈鐘』というものだ。ボランティアの生徒もいるとはいえ、もし予期せぬ事態になった場合には魔導具をよく理解している人間がいた方がいい。だから、当日鐘を鳴らす際には君にも協力してもらおうと思って受講を勧めたんだ。いくら事前に鳴らして状態を確認しているとはいえ、何が起きるかわからないのが魔導具だからね」
(回りくどくない?/コレ特の仕事でよかったのでは?)
「君も知っての通り、コレ特はカース特対とは違ってほとんどその存在を知られていない。正当な方法で一般生徒である君を祭りの関係者にするにはそれくらいしかなかったのさ」
「さて、今日君に来てもらったのはいくつか伝えたいことがあったからなのだけど……そちらは新入生の子かな」
「あーはい、そうです。深山 篤也っていいます。ちょっと先生に聞きたいことがありまして~……」
「そうか。ひとまず腰を下ろしたらどうだい、立ちっぱなしは疲れるだろう?」
シヴュラは君たちを自身の対面に座るよう促す。座ったのを確認すれば、
「ではまず篤也君の話から聞こうか。少々待たせてしまうが、君への用件は後から伝えるのでも遅くはないからね」
シヴュラはPC2の方を見やる。
「あ、ありがとうございます。……俺は二つ目的があってこの学園に来たんです」
「まず、不思議なアイテム……魔導具、でしたっけ? それについて知りたいと思って。ここにもあるんでしょ?」
篤也は確信を持った口調で話す。
「魔導具について知っているのか。珍しいね、どこでそれを?」
「父親が色々話してて。遊作 中(ゆうさく あたる)って知ってます? 今、魔法道具店をやってるんですけど、あれ俺の父親なんですよ」
「ああ、彼か。魔法道具の扱いに長けてはいたが、そのような進路についたのか。たしか、学生時代はコレ特にも所属していたね」
「らしいですね。で、二つ目の目的なんですけど……正直、こっちが本命です。俺の母親を探す手立てを見つけるためです」
「俺の母親、色々あって入院していたんですけど、ある日急に病室からいなくなって。当然、外出許可とかそんなのも取ってない中で。まぁ、これだけだったら家庭内で解決しろって話なんですけど……」
「それ以来母親のことを覚えている人がほとんどいないんです。俺と兄弟くらいじゃないですかね、今も覚えてるの。というか、それまで使っていた病室をいきなり他人が使っていたり、なんだったら入院してる記録すらなかったっぽいんです」
「俺は『さすがに只事じゃねえよなぁ』ってぼんやり思いながら生きてきたんですけど、親の仕事手伝ううちに『これなんじゃね?』と思うようになりまして」
「で、何が言いたいかっていうとですね……人を消すような魔導具があるかどうかなんですけど……あります? 多分シヴュラ先生がこの学園で一番知ってると思うんですけど」
シヴュラは視線を上に向けて数秒ほど考える素振りを見せる。
「記憶を書き換えるだけなら、八大魔法使いの一人であるルイズが所有する『焔の女』という詩集がそのような機能を持っているね。しかし、そこまでの事象を引き起こすものは今現在確認されていない」
「ただ、これから公に確認されることになるかもしれない。PC2、君を呼び出した用事と彼が話した過去には類似点があったからね。篤也君もそのまま話を聞くといい、それを以って僕の答えとしよう」
「さて、PC2。君を呼んだ理由なんだが……ハーベストでコレクション事件が発生する、あるいはもうすでに発生している。後者については僕が今の話を聞いて想像した可能性の一つではあるけれど……だから、君にはこの事件の解決にあたってほしい」
「何が起きているかと言われれば……『何か』が消えているとしか今は答えようがない。とりあえず、今わかっていることを順に話そう」
「ハーベストに存在しているマナが再構築された形跡があった。ほんの僅かな変化でね……たまたま長期にわたってハーベストを離れていたから気づけたが」
「もしこの事態を誰かがすでに認識していたら、早急に対応がなされているだろう。しかし、実際にはドロシーやアスタロトを含む全員が問題にしていない。そうなれば、引き起こしたのは魔導具以外に考えられない」
「何か起きているということさえ認識できれば、事実を確認するのは容易い。どうやらこの再構築されたマナは消えた『何か』の代替としてこの世界に存在しているようだ」
「……ってことは」
「篤也君。君のお母さんに起きた事象も、今起きているコレクション事件と同様だと僕は考える」
「とはいえ、こちらの情報も不足気味だ。最終的に向かう先を求めるにしても少々時間がかかる。何せ、ほとんどないものを無理やり見つけ出そうとしているのだから」
「手探りの調査になってしまうと思うが、善処してくれるとありがたい。僕も占いの結果が出ればすぐに報告しよう」
「ああ、それと。君たちが来る前に君たち自身を占っていたんだが……今のところ悪くはない。ただ、僕たちが動きを誤れば手遅れになる可能性もある。急で悪いが、迅速に動くべきだろうね」
「ひとまず向かう場所としては……ここか。どうやら三人の協力者がいるようだ」
シヴュラは自分の手元から剣の6のカードを見せた。
シーン14 彼の存在証明(PC3・PC1・PC2)
翌週の平日。特別講義が行われていた講義室で、PC3は響太と共に駄弁っていた。内容は先日思い出した咲良 大樹のことだ。
「マジでなんで忘れてたんだろうな、大樹のこと」
「アイツ、珍しくこの講義で真面目に練習やってる奴だなって思ってて、結構好印象持ってたのに」
同時期、PC1が大樹のことについて人に尋ねていると「そういやそんなこと他の奴にも聞かれたな」と言われる。その人物について聞くと「PC3と渡我部 響太。知ってる?」と返される。
君がその名前を頼りに二人を捜索すると、講義室で話している彼らを発見できる。咲良 大樹について尋ねると二人とも知っていると答えるだろう。彼と最後にあった日から、彼を覚えている人間に出会うのは初めてである。
「知ってるも何も……こないだ祭りの舞の練習してた、さっくんでしょ?」
「お前、たしかそんとき見学してただろ。……といっても俺らも思い出したのは本当にたまたまだし」
君たちは咲良 大樹という人間がいたという事実を再確認する。
すると、講義室の方に誰かがやって来る。そちらを見れば(PC2の外見描写)と黒髪の青年がいる。
「おっ、お前らが協力者? 俺、深山 篤也」
「俺ら、ちょっと調べものしてるのよ。そこで急なんだけど、最近人が消えたこととかってある?」
君たちは協力して調査を進めることにした。
シーン15 情報収集(PC全員)
情報収集では好きなリベラルアーツを発動することで、情報を1つ得ることができる。
初期に調べることのできる情報は情報1〜3の3つ。
情報1「咲良 大樹について」
変身魔導学科に所属する3年の男子学生。
心優しいが大人しく引っ込み思案。加えて成績も悪いため、周りからいいように使われることもしばしば。
田舎に住む家族は彼の事情を知っており「つらかったらいつでも帰ってきていいからね」と休学することも前向きに提案していたようだ。しかし、大樹はそんな家族や庇ってくれる友人に罪悪感を感じていたらしい。
この情報を得ることで、情報4「咲良 大樹の目撃情報」を調べられるようになる。
情報2「深山 篤也について」
最近ハーベストの杖魔導学科に入学した、黒髪黒目の男子学生。
マナコントロールが優れているにもかかわらず、魔法学園に通っていなかった。
これは彼の父親が男手一人で営む魔法道具店を手伝っていたためである。
この情報を得ることで、情報5「深山 篤也の母親について」を調べられるようになる。
情報3「人が消えるという奇譚について」
何らかの理由で組織に所属する人を数えてみると、本来の数より一人足りないというもの。主に職場や学校で起こるとされる。
過去の資料を確認しても当該の人物は見つからないことが多い。その現象が発生してから時間が経過するにつれ、その人物の存在が曖昧になっていくようである。
ただの怪談かと思われたが、調べてみるとどうやら実際にそのような現象が起きていたようだ。当事者の一人が書いたブログには、消えた友人が数日前に「櫛を拾った」と話していたという内容が画像と共に記されている。
この情報を得ることで、情報6「櫛について」を調べられるようになる。
情報4「咲良 大樹の目撃情報」
先週の放課後、咲良 大樹が中庭から去っていくのをPC1が目撃している。それ以降に彼の姿を見た者はいないようだ。
ただ、君たちが彼について聞き込み調査を行っても目ぼしい情報は得られなかった。それどころか、彼が所属する変身魔導学科の生徒ですら「そんな生徒は知らない」と言うばかりであった。現在、この学園で咲良 大樹のことを覚えているのは君たちと深山 篤也、渡我部 響太しかいない可能性がある。
情報5「深山 篤也の母親について」
老舗の魔法道具店を営む家庭に生まれた女性。
魔法道具制作に長けている遊作 中(ゆうさく あたる)という男性と結婚した後、二男一女を出産する。
しかし、育児による疲れが祟って心を病み、12年ほど前に次男に手を上げてしまった。
このことがきっかけで精神病院に入院することになったが、入院して半年経ったある日突如姿を消す。現在に至るまでその行方はわかっていない。
情報6「櫛について」
画像を見る限り、木製の黒い飾り櫛である。他に目立った特徴はない。
一方で櫛は黒魔法の道具として用いられたり、別れを招く呪力を持っているとされたりする。
そのため、年季が入った店や後ろ暗い店でもない限り、櫛型の魔法道具はほとんど取り扱われていない。もしこの櫛が何か特殊な効果を持っていたとしても、それが自然に道に落ちている可能性は低いだろう。
この情報を得ることで、シーン16に進むことができる。
シーン16 安寧の障蔽(PC全員)
君たちと篤也、および響太の5人はコレクション特殊事案調査委員会室で情報の整理を行っていた。
(必要であればここで情報RPを挟む)
「さっくんがいなくなったことは分かったけど、それ以外はマジで情報ねえな」
「しかもこの怪談? 奇譚? が実際にあるんだったら、どんどん情報がなくなってくってことだろ。正直ヤバくないか?」
響太は顔を顰める。
「その怪談がどうとかってどの資料? 多分俺まだ確認してない」
篤也が対象を限定せずに尋ねる。資料を渡されると、彼はそれを読み進める。そして、その視線は黒い櫛の画像の上で止まる。
「ん? ……あ、これ……見たことあんな」
「どこでって……実家だよ。たしかこんな奴を父親が作ってた。名前はなんだっけなー……ああそうだ、【安寧の障蔽】だ」
「ええっと、ちょっと待てよ、今思い出すから」
(どんな物なのか)
「【テレポート】を応用して作ったって言ってたから、なんか移動系だとは思うんだけど」
「でも人の存在をどうこうできるなんて効果があるなんて聞いたことはないけどな」
「なんでこの名前なのかも知らない。でも、名前を思い出せただけでも結構俺、偉いと思う」
(何のために)
「お母さんのためだって言ってたかな。お母さんのために何かしてあげたかったって」
君たちが話していると、委員会室の扉が勢いよく開かれる。
「やあ、遅くなってしまった」
シヴュラは少しだけ乱れた髪を直す。
「占いで中庭付近が指し示されたものだから、調べてみたんだ。すると案の定マナが再構築された形跡があった。それも、比較的新しい」
「ただ、相手は想像以上に強大だ。どうやら勝手に世界を作り上げてそちらの方に移ったらしい。おまけに入口は存在しないと来た」
「さりとて、こんなところで停滞しているわけにもいかないだろう。僕がその入口をこじ開けるから、君たちは現地に向かってくれ」
「依頼した時にPC2には言ったが、事は急ぎだ。君たちを忘れてしまう前に帰って来てくれると助かるよ」
シヴュラはPC2に空のコレクションカプセルを手渡す。
君たちが中庭に向かうと、その付近にはゲートのようになっている歪んだ空間が出現していた。おそらくシヴュラがこじ開けたという入口なのだろう。
君たちがその空間の中に入ると視界が一転する。
クライマックスフェイズ
シーン17 クルドサック(PC全員)
そこは森の中だった。といっても黒き森とは違い、周囲は木漏れ日が差し込んでいて明るい。辺りは風で枝葉が揺れる音と蝉の鳴き声、それから汗ばむような空気に覆われている。真夏日もかくやという気温だ。……どこにでもある、平和な夏だ。
しかし、君たちは知っている。これが全て作られたものであると。
このシーンは、クルドサックの突破を行うシーンです。場面内にいるPCは、全員が一度だけ魔法の発動を試みることができます。場面内のPC全員が魔法を発動できなかった場合、ペナルティが発生します。
クルドサック1 周囲の捜索
咲良 大樹を見つけるにしろ、【安寧の障蔽】を回収するにしろ、対象がいなければ始まらない。君たちは辺りを捜索することにした。
推奨リベラルアーツ:ペネトレイト、スコープ
ペナルティ:次の戦闘間、全てのキャラクターが受けているグッドステータス:不可知はそれぞれ一度だけ、あらゆる効果を受けない。
クルドサック2 行く手を阻む木々
君たちが森を進もうとすると、辺りに生えている大木がうねうねと動き出す。
歩みを阻もうとしているのか、あるいはその場に閉じ込めようとしているのか。枝木は君たちの方へと勢いよく伸ばされる。
推奨リベラルアーツ:フォース、ブリンガー、テレポート、エクスプロード
ペナルティ:PC全員に10点のダメージを与える。
クルドサック3 障壁
先に進むにつれて君たちは強大な魔力を感じるようになる。
その魔力を追っていくと、そこには障壁に囲まれた日本家屋があった。
遠くから中の様子を窺えば、縁側で寝息を立てている咲良 大樹と、その傍で縁側に腰掛けている青年の姿が確認できる。
しかし、障壁は分厚く、君たちの声が彼らに届くかもわからない。干渉するにはまずこの障壁を解決しなければいけないだろう。
推奨リベラルアーツ:エクスプロード、各種オペレイト系魔法、チェンジアニマ
ペナルティ:封印戦闘の勝利条件6が「味方が誰も戦闘不能でない状態を、3ラウンド継続する。」に変化する。また、PC全員にバッドステータス:衰弱レベル1を与える。
シーン18 櫛は語りて(マスターシーン)
※主に安寧の障蔽の独白シーンです。
縁側に腰かけた青年は語る。
救えなかったという事実を認識して悲しみを覚えた。それが「安寧の障蔽」ではない、「俺」としての最初の記憶。
元々、自分の奥さんが育児に疲れ切っているのを見て、気軽に気晴らしのための旅行に行けるよう、【テレポート】を応用して転移できる魔法道具を作ろうと彼は考えたらしい。苦痛な日常を非日常で覆い隠すためだけの道具、それが【安寧の障蔽】だった。
櫛にしたのは使いやすい形状にしようと思ったのもそうだろうけど……多分、奥さんの長髪が気に入ってたんじゃないかな。
ただ、そう。【安寧の障蔽】は彼女を救えなかった。面倒見がよくて真面目過ぎた彼女が上手くいかない育児で自分を責め、ついには息子に手を上げてしまった。精神病院に入院して外部との接触がほとんど絶たれた中でも彼女はどこかから逃げたかったんだろうね。夫から送られた黒い櫛で髪を梳かした。これは自分でも知らなかったんだけど俺の力はそのときすでに変化していたらしい。元々対象を安全地帯へと転移させるための効果しかもっていなかったはずなんだけどね。小さい異世界に転移させるくらいならできるんだ……ちょうど、今の咲良みたいに。
視線を隣にいる少年へと向ける。
この世界はさ、お前の楽しかった記憶を元に作ってるんだ。おばあさんの生家だっけ? いいところだよね。大きな庭があって、時間が穏やかに流れてて。
「安恵(あえ)ちゃん、話長いよ……」
安恵と呼ばれた青年はその声に柔らかく微笑む。
「はは、ごめんごめん。眠くなったら寝てていいよ……ちょっとお客さんが来るみたいだから」
蝉が一層騒がしい鳴き声を上げる。やけに耳障りだと思いながら青年は庭先を眺めた。
シーン19 幸福と進退(PC全員)
君たちが障壁を突破すると、縁側に腰かけていた青年がこちらを見る。
「やあ、お前たちが侵入者?」
「安寧の障蔽には誰も入れなかったはずなんだけど……入口を開けられたのはどうしてなのかなぁ?」
「ともかく、ここは閉じられた世界だ。用がないならお引き取り願いたいんだけど」
「咲良? そこで寝てるよ。もっとも、帰す気はないけどね」
「なんでって、外の世界に帰したら、また咲良は傷つくでしょう?」
「僕は咲良を守りたいんだ。だから傷つけるものが跋扈する外には出せない。それが俺の考え」
「彼にとってもそれが幸せだと俺は思うよ。ここで止まっていれば、咲良が傷つくことは決してないんだから」
「それでも彼を奪おうとするなら……俺は全力でお前たちを排除するよ」
青年は腰を浮かし、君たちの方へ数歩進み出た。そして、君たちをギロリと睨む。その動きがトリガーとなったのか、世界から色が消えていくのを君たちは知覚する。
〈封印戦闘 【安寧の障蔽】安恵 丞平(あえ しょうへい)〉
・この戦闘ではキャラクター:咲良 大樹はPCおよび【安寧の障蔽】安恵 丞平の味方キャラクターとして扱う。
・キャラクター:咲良 大樹は発動体【指輪(スピリットジュエル相当)】を持っている。また、キャラクター:咲良 大樹はあらゆるアクションフェイズおよびリアクションフェイズを放棄する。
・戦闘開始時、【安寧の障蔽】安恵 丞平とキャラクター:咲良 大樹にグッドステータス:不可知レベルXが与えられる。Xは封印戦闘の勝利条件6で指定されている継続ラウンド数と等しい。また、【安寧の障蔽】安恵 丞平のHPが0になったとき、全てのオブジェクトに不可知が与えられていても、魔法攻撃の対象に選ぶことができる。また、この戦闘空間をフィールド:安寧の障蔽に変更する。
フィールド:安寧の障蔽
この戦闘空間では、特殊オブジェクトの耐久値に+10される。また、安寧の障蔽の発動ダイス数を[安寧の障蔽が召喚主であるオブジェクトの数]と同じだけ増加する。
このフィールドは他のフィールドと同時に存在することができる。
エンディングフェイズ
シーン20 拒否と決意(PC全員)
君たちが【安寧の障蔽】に攻撃を加えていくと、不意に世界が色を取り戻す。しかし、
「させるか……! 咲良を守る邪魔はさせない!」
額の汗を乱暴に拭って【安寧の障蔽】が大声を上げる。声が空間に伝播すると同時に、再び世界が無彩色に変わろうとする。
「安恵ちゃん!!!」
だが、それは少年の声によって止められた。
「咲良……奥に行ってて。ここにいたらお前も巻き込まれてしまうよ」
「安恵ちゃん、違う、もうそんなことしなくて大丈夫、だから」
「でも、」
安寧の障蔽の瞳がわずかに揺らぐ。
「助けようとしてくれたのも、守ろうとしてくれたのも感謝してる。でも、多分、もう大丈夫」
「外に出れば、また色んなものがお前を傷つけるかもしれない」
「けど、こんな俺でも助けようとしてくれる奴もいるから」
「皆、迷惑なんて思ってなかったって。今、やっとわかったから」
大樹はPCたちの方を見る。
「……それでも、何も変わらなかったら」
「そのときは、俺自身が変わってみせるよ」
「……そっか」
小さな声が空間に溶ける。すると、木々が、空が、建物が再び鮮やかな色に染まっていく。
君たちが安寧の障蔽を捕獲しようとすると、彼は「もう抵抗はしないから、一瞬だけ時間をくれないか」と言う。
安寧の障蔽は時間をもらうと、
「咲良。俺、お前に傷ついてほしくなかったんだ。だから本気で自分の力を使った」
「元の世界に戻ったら、きっとお前の存在は希薄なものになってる。もしかしたら、お前に関する記憶は知り合いの中からなくなったままかもしれない」
「……ごめん」
そう言ってばつが悪そうな顔で謝罪した。大樹は目を二、三度瞬かせて暫し黙っていたが、ゆっくりと口を開き、
「……そっか。ちゃんと伝えてくれてありがとね、安恵ちゃん」
「でも、もしそうなったとしても、ここにいる奴は覚えてるし。それに、言ったじゃん。変わってみせるって。だから、心配しないで」
「……うん」
安寧の障蔽が一瞬目を伏せ、それからPCたちへと顔を向けた。
「待たせたね。……で、俺はどうすればいいのかな?」
シーン21 ハーベスト夏祭り(PC全員)
※合同エンディング。
ハーベスト夏祭り当日。一般生徒が出店を楽しむ中、特別講義を受けている生徒たちは奉納舞や祭囃子の最終練習、観客の誘導や会場の警備などそれぞれの仕事に当たっている。
本番の時間までそう遠くない。控室として使われているテントに、君たちは待機している。
響太が(祭囃子奏者を選択したPCたち)と咲良に声を掛ける。
「もう少しで本番だな。……ま、どうにかなるだろ。互いに頑張ろうぜ。最悪他の連中がどっかミスっても、俺とPC3でリカバリできっと思うし」
「お、俺も奉納舞頑張るし! お前らよりちゃんと注目集めっから!」
大樹は空回り気味な明るい声でそのように告げる。あの事件直後、「というわけで、えっと、俺、明るく前向きな……ええっと、そう! ヒーローみたいな性格に変えるから!」とたどたどしく宣言した通り、大樹は言動を変えようと努力しているようだった。
※少しRPしてもらう。
君たちがそう話していると、「あっ、咲良! それに皆も先日ぶりだね」と呼びかけられる。声のする方を見れば、そこにはハーベストの制服を着た安寧の障蔽が手をひらひらと振っている。
※会場設営他を選んだPCがいる場合、会場警備中のPCが「咲良を応援しに来た」と話す安寧の障蔽と出会って連れてきたことにして、シーン登場させる。篤也が会場設営他を選択していた場合も同様。
(どうしてここに?)
「ちょっと咲良を応援しに、ね」
(その制服は?/回収されたんじゃ?)
「あれからシヴュラ先生と話す機会を設けてもらってね。コレクションの力を勝手に使用しないという条件付きで、ハーベストへの入学を認めてもらったんだ」
「ほら、ちゃんと学生証も発行してもらってるよ」
彼が見せてきた学生証には、確かに彼自身の顔写真と「安恵 丞平(あえ しょうへい)」の名前他諸々が記されている。
(なんでハーベストに入学しようと思ったのか?)
「うーん、守る方法を変えようと思ったから、かな。同じ学生って立場で、事態を解決するための手段を教えて、結果的に人を守るってことなら、君たちも納得すると予想したんだけど……間違ってる?」
「間違ってるかはわかんないけど。それがわかるのってこれからだろうし……まぁでも、いいんじゃない?」
篤也はなんてことないような口ぶりで話す。安寧の障蔽が回収された後、彼は母親に再会したらしい。数年分の空白をどのような会話で埋めたのかは本人たちしか知らないところであるが、ともかく、彼にとっての事件もそこで一段落ついたようだ。
※会話の区切りがいいところでシーン終了。
シーン22 エンディング(PC3)
シーン23 エンディング(PC2)
シーン24 エンディング(PC1)
エネミーデータ
「【安寧の障蔽】安恵 丞平」
主体属性:地・風・光 クラス:魔導宝具(リコレクション)
大魔法:オルガノン・カタルシス(完全浄化術)、ディメンジョン・ホロウ(次元断裂)、ハルスクライド(魔王の大結界)、アカシック・レコード(地球の記憶)
※安寧の障蔽の大魔法は、PCが使用可能な大魔法と同数だけ使用する。このとき、必ずオルガノン・カタルシス(完全浄化術)は選択すること。
能力値「アクション:8」「リアクション:5」「リベラル:10」
【特技】
「箱庭の支配者」消費TP6 A/R
戦闘空間のオブジェクトの存在していない好きな2マスにオブジェクト:ユグドラシルを召喚する。この特技は、自分が召喚主であるオブジェクト:ユグドラシルが存在しない場合のみ、1ラウンドに1回まで使用可能。
「排除の意思」消費TP4 A
1ラウンドの間、自分のアクションフェイズ中にオブジェクト:プリズムを召喚する効果の魔法発動が確定した場合、その追加効果を攻撃範囲決定前に解決する。
「魔素再構築」消費TP5 A/R
この発動タイミングで、2回までコストを消費せずにレベル1魔法を発動させることができる。また、この効果で発動するオリジン及びアイリスの効果に以下の記述を追加する。追加記述【あるいは、発動タイミングの好きなダイス1つの出目を+3及び-3できる。】
攻4 防6 HP70 TP70 SS6 移動1(専用化「魔素集積」あり)
この魔導宝具(リコレクション)は1×1マスのオブジェクトである。また、この魔導宝具(リコレクション)は、戦闘不能にならない。
【魔法】
オリジン/A/X/発動タイミングの好きなダイス1つの出目を+1及び-1できる。または、発動タイミングの好きなダイス1つの出目を+2及び-2できる。
ハーベストムーン(攻)/A/123456/攻撃力+20、さらにこの魔法の発動確定後、この発動タイミングにおける全ての発動ダイスをもう一度振る。また、この発動タイミングではもうハーベストムーンは発動できない。※オリジンと同時に使用することはできない。
グランプログレス/A/11/攻撃力+2、さらに攻撃範囲に自分の前後左右1マスを追加し、攻撃範囲内のマスが地形変化していた場合、その特殊地形のレベルに+1する。
グランドリザレクト/A/15/攻撃力+1、さらに自分のいるマスを地形:聖域レベル1に変更する。
エアロスプラッシュ/A/24/攻撃力+1、さらに攻撃範囲を自分の周囲全方位1マスに変更する。
フレイムボルト/A/35/攻撃力+2、さらに自分のTPを1点回復する。
タービュランス/A/44/地・水・火・風・光・闇の中から好きな属性のマナを1つ発生させる。
アンビヴァレンス/A/56/攻撃力+1、さらに光または闇属性のマナを1つ発生させる。
コールカタラクト/A/112/攻撃力+3、さらに戦闘空間のオブジェクトの存在していない好きな1マスにオブジェクト:カタラクトを召喚する。
ディバインフィールド/A/115/攻撃力+3、さらに味方1人のいるマスを地形:聖域レベル2に変更する。
ダイヤモンドダスト/A/124/攻撃力+3、さらに対象にバッドステータス:氷結レベル2を与え、自分にグッドステータス:興奮レベル2を与える。
スターダストレイ/A/135/攻撃力+4、さらに攻撃範囲を戦闘空間の好きな3マスに変更し、攻撃範囲に味方が居た場合、そのHPを3点回復する。
スパイクホライゾン/A/224/攻撃力+3、さらに攻撃範囲に戦闘空間の好きな2マスを追加する。
アトランティス/A/225/攻撃力+3、さらに攻撃範囲を自分の前後左右1マスに変更し、範囲内の味方1人のレベル3までのバッドステータスを1つ回復する。
レジストスパイラル/A/244/攻撃力+3、さらに対象の持つグッドステータスを1つ消去する。
レイフォールゲート/A/456/攻撃力+3、さらに戦闘空間上の好きなオブジェクトを1つ選び、戦闘空間上のほかの好きなオブジェクト1つの1マス前方または1マス後方に移動させる。
ライトオブセーバー/A/555/攻撃力+5、さらに攻撃範囲を好きな横列1つに変更し、攻撃範囲内に味方が居た場合、そのHPを10点回復する。また、戦闘不能の味方がいる場合、その戦闘不能を解除し、HPとTPを5点回復する。
ラピスフィロソフォルム/A/1111/攻撃力+10、さらに戦闘空間のオブジェクトの存在していない好きな1マスにオブジェクト:プリズムを召喚する。
エレメンタルクロス/A/1234/攻撃力+7、さらに地属性、水属性、火属性、風属性のマナをそれぞれ1つずつ発生させる。また、この発動タイミングではもうエレメンタルクロスは発動できない。※オリジンと同時に使用することはできない。
ブルースフィア/A/1444/攻撃力+7、さらに攻撃範囲に自分の周囲全方位1マスを追加し、戦闘空間上の地形変化しているマスの数だけ攻撃力を上昇させる。
カオスオブアンビバレンス/A/1666/攻撃力+9、さらに攻撃範囲を自分の周囲全方位1マスと、前方5マスに固定し、この発動タイミングで、魔法のコストとして使用したマナの数だけ攻撃力を上げる。
ストレイシープ/A/4445/攻撃力+7、さらに味方全員が受けているバッドステータスを全て回復する。
オリジンオブアンビバレンス/A/4555/攻撃力+9、さらに攻撃範囲を自分の周囲全方位1マスと、前方5マスに固定し、この発動タイミングで、魔法のコストとして使用したマナの数だけ対象のTPを減らす。
サンクチュアリ/A/5555/攻撃力+10、さらに攻撃範囲を好きな3×3マスに変更し、さらに攻撃範囲内に味方が居た場合、その味方のHPを10点回復し、レベル3までのバッドステータスを1つ回復する。
ノワールアンドシエル/A/5556/攻撃力+9、さらに味方全員のTPを全回復する。
セカンダリーオブザダフトプリズン/A/11111/攻撃力+10、さらに次の自分のアクションフェイズでの発動ダイス数を2倍にする。ただし、大魔法で増えたダイスは除いて2倍にする。この効果は重複しない。
エアリアルスラスト/A/44444/攻撃力+12、さらに戦闘空間のオブジェクトの存在していない好きなマスに移動後、自分の周囲全方位1マスを攻撃範囲に変更する。また、3つまで、好きな属性のマナを発生させる。
アイリス/R/X/発動タイミングの好きなダイス1つの出目を+1及び-1できる。または、発動タイミングの好きなダイス1つの出目を+2及び-2できる。
ハーベストムーン(防)/R/123456/防御力+20、さらにこの魔法の発動確定後、この発動タイミングにおける全ての発動ダイスをもう一度振る。また、この発動タイミングではもうハーベストムーンは発動できない。※アイリスと同時に使用することはできない。
イエローバリア/R/11/防御力+3、また、敵の攻撃に地属性の魔法が含まれていれば防御力をさらに+1する。
フォトンライン/R/15/防御力+2、さらに自分のいるマスを地形:聖域レベル1に変更する。
グリーンバリア/R/44/防御力+3、また、敵の攻撃に風属性の魔法が含まれていれば防御力をさらに+1する。
デモンズナックル/R/46/防御力+1、さらに自分にグッドステータス:興奮レベル1を与える。
ホワイトバリア/R/55/防御力+3、また、敵の攻撃に光属性の魔法が含まれていれば防御力をさらに+1する。
ビートディフェンス/R/56/防御力+2、さらに自分にグッドステータス:鼓舞レベル1を与える。
ナチュラルフォレスト/R/112/防御力+3、さらに戦闘空間上のすべてのマスを地形:森林レベル1に変更する。
サテライトバリア/R/115/防御力+4、さらに味方全員の防御力をこのシーン中+1する。
テンペストセレナーデ/R/124/防御力+3、さらに自分と自分の周囲全方位1マスにいる味方全員の、レベルが0以上のバッドステータスすべてのレベルに-2する。
ダイヤモンドビット/R/225/防御力+4、さらに味方1人の防御力をこのシーン中+2する。
エンジェルフェザー/R/455/防御力+4、さらに自分にグッドステータス:飛行レベル1を与える。
セイントメガシールド/R/555/防御力+9
シークレットマテリアル/R/556/防御力+4、さらに自分以外の味方全員にグッドステータス:不可知レベル1を与える。
エレメンタルバリア/R/1234/防御力+7、さらに地属性、水属性、火属性、風属性のマナをそれぞれ1つずつ発生させる。また、この発動タイミングではもうエレメンタルバリアは発動できない。※アイリスと同時に使用することはできない。
ユグドラシル/R/1666/防御力+7、さらに戦闘空間のオブジェクトの存在していない好きな1マスにオブジェクト:ユグドラシルを召喚する。
コスモトリップ/R/2224/防御力+7、さらに自分にグッドステータス:時空転移レベル1を与える。
フューチャーペンデュラム/R/2444/防御力+9、さらにこのアクションフェイズの間、自分以外のオブジェクトを対象に選べなくする。また、自分は次のリアクションフェイズにおける補助タイミングを追加でもう1回行うことができる。
シレスティアル/R/4555/防御力+8、さらにこのリアクションフェイズにおける自分の最終防御力を、1ラウンドの間、味方全員それぞれの防御力として固定する。
セイクリッドイージス/R/5555/防御力+20
アインソフオウル/R/5556/防御力+8、さらに光属性のマナを3つまで発生させる。
アースデスティニー/R/11111/防御力+12、さらに以下のいずれかから1つ選ぶ。・戦闘空間の全てのマスを地形:黄泉レベル3に変更し、味方全員にグッドステータス:飛行レベル2を与える。この魔法の効果で地形が変化したマスは、敵の魔法の効果によって、戦闘終了時まで上書きや無効化されず、他の特殊地形にならない。また、この魔法の効果によって受けたグッドステータスは、戦闘終了時まで消去されず、レベルの増減も起こらない。・戦闘空間上の全ての地形:黄泉のレベルを2倍にする。
ラストクロニクル/R/44444/防御力+12、さらに味方全員にグッドステータス:時空転移レベル1を与える。
アルカディアスアルスマグナ/R/55555/味方全員の防御力+15、さらにこのリアクションフェイズでの自分の合計防御力を2倍にしてダメージ計算を行う。
【強化魔法】
ソーラーイクリプス/A/135/攻撃力+2、さらに自分のTPを1点回復する。敵全体に2点のダメージを与え、味方全員のTPを2点回復する。
カスケードクラッシュ/A/1112/攻撃力+3、さらに戦闘空間のオブジェクトの存在していない好きな1マスにオブジェクト:カタラクトを召喚する。戦闘空間にあるカタラクトを全て破壊してもよい。そうした場合、破壊したカタラクトの周囲全方位1マスにいるオブジェクトはバッドステータス:氷結レベル5を受けるこの効果が重複する場合、バッドステータス:氷結レベル5の代わりにバッドステータス:氷結レベル(5×重複回数)を与える。
スプレッドニードル/A/1224/攻撃力+3、さらに攻撃範囲に戦闘空間の好きな2マスを追加する。攻撃範囲のマスを全て地形:剣山レベル3に変更する。
アピアレントホライゾン/A/22456/攻撃力+3、さらに攻撃範囲に戦闘空間の好きな2マスを追加する。このシナリオの間、自分は大魔法「イベントホライゾン」を1回発動できる。この魔法は、1シーン中に1回までしか発動できない。
アトラストライアングル/A/2256/攻撃力+3、さらに攻撃範囲を自分の前後左右1マスに変更し、範囲内の味方1人のレベル3までのバッドステータスを1つ回復する。攻撃範囲内の味方に、グッドステータス:覚醒レベル2を与える。
ロゼッタストーン/A/11111/攻撃力+10、さらに戦闘空間のオブジェクトの存在していない好きな1マスにオブジェクト:プリズムを召喚する。その後、戦闘空間のオブジェクトの存在していない好きな1マスにオブジェクト:プリズムを召喚する。
ピエドラデルソル/A/11115/攻撃力+10、さらに戦闘空間のオブジェクトの存在していない好きな1マスにオブジェクト:プリズムを召喚し、この効果によって設置されるプリズムの効果に「このプリズムが戦闘空間に存在する限り、味方全員にグッドステータス:浄化レベル3を与える」を加える。
ピエドラデルーナ/A/11116/攻撃力+10、さらに戦闘空間のオブジェクトの存在していない好きな1マスにオブジェクト:プリズムを召喚し、この効果によって設置されるプリズムの効果に「このプリズムが破壊された時、トラップを2つ設置する」を加える。
セレスティアルガーデン/A/55555/攻撃力+15、さらに攻撃範囲を好きな3×3マスに変更し、さらに攻撃範囲内に味方が居た場合、その味方のHPを10点回復し、レベル3までのバッドステータスを1つ回復する。さらに戦闘不能の味方がいる場合、その戦闘不能を解除し、最大HPの半分(端数切り捨て)回復させる。
デッドゾーン/A/55556/攻撃力+10、さらに攻撃範囲を好きな3×3マスに変更し、さらに攻撃範囲内に味方が居た場合、その味方のHPを10点回復し、レベル3までのバッドステータスを1つ回復する。自分と攻撃範囲内の味方に、グッドステータス:暴走レベル2を与える。
ホーリーグレイル/A/25555/攻撃力+10、さらに攻撃範囲を好きな3×3マスに変更し、さらに攻撃範囲内に味方が居た場合、その味方のHPを10点回復し、レベル3までのバッドステータスを1つ回復する。自分と攻撃範囲内の味方に、バッドステータス:重圧レベル-3を与える。
アルコバレーノ/A/444447/攻撃力+12、さらに戦闘空間のオブジェクトの存在していない好きなマスに移動後、自分の周囲全方位1マスを攻撃範囲に変更する。また、3つまで、好きな属性のマナを発生させる。3つまで、好きな属性のマナを発生させる代わりに、地、水、火、風、光、闇属性のマナをそれぞれ1つずつ発生させる。
フィールドプロテクション/R/1145/防御力+4、さらに味方全員の防御力をこのシーン中+1する。味方全員にグッドステータス:加護レベル1を与える。
セイントクロスシールド/R/5555/防御力+9、次の自分のリアクションフェイズの防御力に+4する。
ダークノヴァ/R/5556/防御力+9、魔法攻撃の発動者に、グッドステータス:興奮レベル-2を与える。
ヘヴンズバッシュ/R/4555/防御力+9、好きな属性を1つ選ぶ。味方全員の次のアクションフェイズの発動タイミングで、その属性のマナを1つ発生させる。
アイデンティファイン/R/2556/防御力+4、さらに自分以外の味方全員にグッドステータス:不可知レベル1を与える。魔法攻撃の範囲に、自分の味方が1人以上居る場合、魔法攻撃の対象を自分のみに変更する。
オプスマグナム/R/555557/味方全員の防御力+15、さらにこの発動タイミングでの自分の合計防御力を2倍にしてダメージ計算を行う。この戦闘間、味方全員の防御力を+10する。
【融合魔法】
レイフォールゲート(裏)
デュアルアンビバレントフルブラスト
マルチプルバリアフォース
※詳細は有料追加サプリメント「メリー・クリスマス」の内容のため省略。
【戦闘方針】
重要:あらゆる点において対策を取った結果、エネミーデータがかなり強いです。PCの状況とセッション時間に注意しながら程々のところで全ての勝利条件を満たさせてください。適当に回したらPCが全滅します。
最初に特技【箱庭の支配者】でユグドラシルを召喚します。以降、この特技は勝利条件4を阻止するためにユグドラシルがなくなり次第使用してください。ただし、ラウンド1回制限があるので使用できない場合もあります。
魔法攻撃ではまず【セカンダリーオブザダフトプリズン】でダイスを増やします。次のアクションフェイズで特技【排除の意思】を使用し、【ラピスフィロソフォルム】【ロゼッタストーン】でダメージを出します。
魔法防御には細心の注意を払ってください。【安寧の障蔽】安恵 丞平の「守る」というフレーバーのために、【各種バリア】【セイントメガシールド】【セイクリッドイージス】【アルカディアスアルスマグナ】など雑に高い防御力が得られる魔法が多いです。不用意に使用すると積むので気をつけてください。
また、咲良 大樹が味方キャラクターとして存在しますが、もし彼が攻撃された場合、彼の被ダメージを防ぐことを第一に魔法を発動してください。
GMへの情報
時系列
15年前 深山 篤也の弟妹が生まれる。育児に疲れ、徐々に篤也の母が精神を病み始める。
15〜12年前 篤也の父が「育児中でも妻が気軽に小旅行に行けるように」と【テレポート】を応用したアイテム(後の【安寧の障蔽】)を作成開始〜完成。
12年前(アイテム完成前) 篤也の母が篤也の弟に手を上げ入院。
11年前(篤也の母が入院してから半年後)
・【安寧の障蔽】が魔導宝具として覚醒。
・篤也の母が失踪。
11年前~現在
・【安寧の障蔽】が魔導次元各地を転移
・「退学・退社していないのに消えている人間がいる」という奇譚が流布する
4年前〜現在 咲良 大樹 魔法発動が苦手であることを周りに弄られ続ける。
→何に対してかわからない「嫌だなぁ」という気持ちが高まる。でも一番嫌なのはそんな風に言われても仕方がない自分自身。
4年前~現在のどこか PC1と咲良 大樹が出会う
シナリオ本編
4月上旬 深山 篤也がハーベストに入学する
5月のどこか
・友達に頼まれて夏祭りの特別講義を受けるんだけど一緒にどうかとPC2に話す
・夏祭りの祭囃子を一緒にやらないかと渡我部 響太がPC3を誘う
5月下旬 夏祭りの準備・練習等開始
6月上旬 【安寧の障蔽】がハーベストに転移してくる
6月上旬~中旬
・【安寧の障蔽】と咲良 大樹が出会う
・咲良 大樹が失踪する
6月中旬
深山 篤也がPC2にシヴュラ先生の居場所について尋ねる
PC3と渡我部 響太が人が失踪する話を耳にする→咲良 大樹の不在に気づく
シヴュラ先生の元にやってきた深山 篤也がなぜハーベストにやってきたのかを明かす
(自身の母親を探す力をつけるため、父が作っていたような不思議なアイテムというものについて学ぶため)
PC1とPC3と渡我部 響太が合流
(咲良がいない情報を共有、他の生徒が咲良不在の事実に違和感を覚えていないことに気づく)
シヴュラ先生に指示された場所(PC1とPC3と渡我部 響太がいる場所)に来たことで、PC2と深山 篤也が合流
情報収集
6月下旬 PCたちが【安寧の障蔽】の元へ突入する(クルドサック・封印戦闘)
7月上旬 夏祭り本番
小ネタ
・シナリオタイトルについて
魔導次元から切り離された【安寧の障蔽】が作り出した世界を「彼が支配する空間」と捉え、城としました。
灰色は単純にイメージソングから取ったのと(グレーゾーンにて。)、異世界という曖昧さを白でも黒でもない色で表した形です。
閉ざされたはそのままですね、魔導次元という現実から切り離された世界の話だったのでこうなりました。
サブタイトルはまんま英訳です。
……ここまで書いておいていうのもあれですが、一番の理由は「イメージソング的に灰色ってタイトルに入れたいよな……せっかくなら白と黒も入れたいよな……なんとかいじって入れ込んでみるか」と思ったというのが真実です。
・イメージソングについて
歌詞見ていただければわかるんですが、「夏」は安寧の障蔽から咲良に対する思いとして採用しております。そのため大分シナリオで引用しています。
一方「グレーゾーンにて。」は咲良初め現実から逃げたいと思っていた安寧の障蔽使用者の心情のイメージとして採用しています。
・封印戦闘の勝利条件について
「XZ追加サンプルシナリオ1の勝利条件って少ないよな……熟練者向けのイベントだし数増やすか」という考えで多くなっています。
また、一部の勝利条件は内容に意味を持たせています。
条件2 現実を見る、優しい夢から覚めなければいけないため→味方に覚醒付与
条件3 切り離された異世界を知覚できるようにするため→不可知を付与させない
条件4 【安寧の障蔽】が用いてくる木々だったりが危険なので攻略しないといけないため→オブジェクト破壊
条件5 夏は暑いので……さすがに適当すぎますね。真面目に言うなら、今回の異世界は咲良の記憶を元にして作られた緑溢れる田舎の風景が主だったのでそれに対応できるものとして火傷を選択しました。
・シナリオについて
このシナリオのキーワードは「終わらない夏」「永遠に続く変わらない日常」「異世界への逃避」あたりです。
魔法学園RPGハーベストを遊んでいると「公式シナリオのハンドアウト1に代表される現実世界出身者は魔導次元に来ることで救われることもあるけど、それなら魔導次元出身者はどこに行けば救われるのか?」と思うことがそれなりにあったので、自分なりに答えを出そうとしたみたいな感じです。
・今回予告について
1、2ブロック目の前半部分は公式で出てきた表現を意識して書いています。後半部分はその否定。
3ブロック目はシーン10のことを書いているんですが、先に出てくる「信じられた」は受け身の意を、後に出てくる「信じられた」は可能の意を含んでいます。
・NPCについて
コネクションNPCと安寧の障蔽はアイドルグループSnow Manさんが元ネタです。
安寧の障蔽は空間作成の魔導具と神隠し(魔導具による効力、失踪)をどうにかこうにか組み合わせたくてあのような効果になりました。おまけとして安寧の障蔽についての簡単な説明を載せます。
安恵 丞平(あえ しょうへい)
その正体は櫛型の魔導宝具「安寧の障蔽」。苦死溢れる現実から対象を救うべく作成された。髪を梳かすことで対象を安全地帯へと転移させる効力を持つ。しかし、その力が変質し、居心地のよすぎる異世界を生み出し対象を転移させるまでに至った。
異世界の中では時間の進みが早く、現実世界で12時間経過するとこちらでは24時間経過しているという事態が起きる。

あと、特別講義の担当講師の船附先生とハーベスト夏祭り実行委員会の青松理生さんは、それぞれ名前の中に「夏」と「祭り」が入っているのでこの名前になりました。
・平和の沈鐘について
シナリオのミスリード枠です。なのでシナリオに大きく関わってはいませんが、間接的に【安寧の障蔽】をハーベストに引き寄せた原因ではあります。シヴュラが点検のために【平和の沈鐘】を鳴らした結果、ハーベスト一帯の危険が遠ざけられ【安寧の障蔽】を必要とする声も当然減りました(自分の脅威から逃げる必要がなくなるため)。
だからこそ、逃げたいと強く願った咲良の声が【安寧の障蔽】の耳にはっきりと聞こえました。なので【安寧の障蔽】は声が聞こえた方へと向かうことにしたのです。
・タロットカードの剣の6について
サイト(タロットカードの意味や種類を解説!初心者おすすめの占う方法もご紹介)より引用。
正位置の意味
【6】剣 6 安全な方向へ進めることを示しています。男性が女性を運ぶことから、特に恋愛運では幸運です。
逆位置の意味
大切な人や状況が離れていくことを示します。船が停止して、停滞感を味わうという意味もあります。

