シナリオ「破滅の翼(ルインズ・ウイング)」

魔法学園RPGハーベスト
シナリオ「破滅の翼」
人数 3人
時間 5〜8時間想定
推奨リベラル なし

今回予告

ちょうど、くるみ割り人形が動き出したような時間。
ちょうど、くるみ割り人形がネズミの王様を倒したような場所。

でも、どうして?

この胸には、ぽっかり開いた一つの穴。
これを埋めるのは、胡桃じゃ足りない。
それでも、何かで埋めないといけないというのなら、

――壊れた人形なんて、壊してしまおう。
魔法学園RPGハーベスト「破滅の翼」

魔法の時間に、目覚めは来ない。

シナリオハンドアウト

PC1 コネクション:ポラリス 推奨関係:友人、恩人
君は模造品だ。君は過去のことを全く覚えていない。かつてポラリスという魔法学生に発見され、ハーベストに身を寄せている。しかしここ最近、君とよく似た人物が度々目撃されるようになる。
キャラ作成後、フォルムシートに経験点なしで専用化「潜在解放」を取得しても良い。
PC2 コネクション:アスタロト 推奨関係:相談相手、理解者
 君は模造品だ。君は機械を模しているが、実のところクリーチャーである。しかし君はとある魔法学生の生徒に助けられ、ハーベストに向かうことを決意する。アスタロトは君が人ではないことを見抜くや否や、こちらで暮らすための手段を手ほどきしてくれた。そうして、君の平穏な学園生活が幕を開ける――と思われた。
フォルムシートを共生主義者のクリーチャーシートの作成方法で作成する事。共鳴特技は取得せず、模造品の特技の使用は可とする。
PC3 コネクション:トト 推奨関係:崇拝、上司
君は模造品だ。君はアマリリスのスパイであり、ハーベストに任務で来ている。君はかつてトトに救われた過去があり、その恩を返すため活動している。そうやって潜入していた際、生徒と同じ顔の人間が街でうろついているという噂を聞きつけ、君はその調査に向かう。
フォルムシートをアマリリスクラスで作成する事。

PC2、PC3のキャラクターは正規の手順を踏んだキャラクターではないため、他のシナリオに使用する事はほぼ出来ません。また、演出上ロストエンディングが用意されています。ロスト内容は「破滅」です。

オープニングフェイズ

PC1、目が覚めるとポラリスの部屋にいる。「目が覚めた?あぁ良かった、君白き海の砂浜に倒れていたんだよ」過去のことは思い出せず、自分の名前と魔法が使えるということしかわからない(一般教養はあるものの思い出と呼べるものを何一つ記憶していない)。ひとまずポラリスの意見もありハーベストに入学することとなる(ポラリスは劇3のポラリス未通過の人がいる場合は特に明言しなくて良いが全員が通過済みだった場合、特にPC1がいた場合はED後の状態に合わせる事。基本的には緑の目と青い目のオッドアイの模造品邪眼生徒にする。全員通過済みかつ意見がまとまらない場合は青い目を星型の歯車のような瞳の目に変更)。

PC2、君は機械を模したクリーチャーである。その異質な肉体は他のクリーチャーからもいいようには見られておらず、独特な器官のせいでカースも弱かった。そんな折、君は1人の魔法学生に命を救われることになる。それは魔導機械を片腕につけていて、君のことを「命に違いはない」と笑って助けてくれたのだ。君は彼の言葉に深く感動し、自らの体を作り替え、いつか人間のために生きたいと決意する。それは君のカース「何かを模倣する」というカースと深く結びつき、人の体を模すこととなる。君は彼の去っていった方角を見る。そこには、遠くに見える魔導学園があった。

PC3、君はトトの部屋に呼び出される。彼女は君に対して「ハーベストへの潜入心無を頼みたい」と話始める。曰く、模造品という特殊な出自である君であれば、深く詮索されることもなくハーベストで活動出来るかもしれないというのだ。君はトトのため、その任務を受けることとなる。
入学式、そこにはPC1とPC2の姿があった。今年は模造品の生徒が例年より多く入ったということで、君達は様々な授業においてチームを組むことになる。

本編

PC2、アスタロトに呼び出される。「貴様クリーチャーだな?カースが弱いとはいえ、何を考えてここにいる?」「ふむ…ならば、カースを止める手ほどきをしてやろう」あなたは彼に厳しいながらも親切に手ほどきを受け、カースを完全に抑えることに成功する。「わかっていると思うが、これを次使うときは自分の命が危ぶまれる時だ。しかしそれも、学生として生きている限りは起こりえぬはずだがな」

適当に一年間の様子を描写してください(授業風景、昼食、放課後など。ここほんわかシーンです)

全員、君達がこの学校に入って1年がたつ。PC1は最近自分が街を歩いたり森の中でクリーチャーを討伐している夢をよく見るようになっている。PC2は自身がクリーチャーであることを隠し、楽しく人間と共に暮らせている。PC3も自身がアマリリスだと気づかれることなく過ごせている。(ここはシーンを分けても良い)そんな頃、街中で妙な噂が流れている。PC1と全く同じ顔の人間がうろついているというのだ。それも複数である。妙な噂だと思いつつも、君達はその調査に向かうことだろう(PC2とPC3が同行しない様子であれば、クリーチャーの類ではないかと思わせて良い)

中間前

PC1によく似た人物はいないがどの店でも「またおまえか」みたいなことを口にされたりする
そうこうしていると向こうからそっくりさんが2人やってきて「さ、帰りましょう」と拐おうとする
当然PCは嫌がるはずなので戦闘開始

中間戦闘

PC1のそっくりさん二体との戦闘。

PC1と同じデータを使用し、PC2とPC3のリアクション魔法を一部使用する。(HPTPは+10程度あげてもよい)
PC1がリアクション型だった場合PC2やPC3の魔法と織り交ぜる

中間後

そっくりさんは倒れるときに3人に対して「なぜ、なぜ戻らないのですか、兄さんまで…」といいながら機能停止していく。PC1の出自に自分たちが関わっているのだろうか?

情報戦

なんかそれっぽく
1 自分達の製造年について
2 自分達の内部機構について
3 PC3の模造品技術について
4 機械型のクリーチャーについて(情報3の成功で開示)
5 PC2の内部機構について(情報2の成功で開示)
6 クリーチャーを融合させていた工房について(情報4の成功で開示)

1 PC3はPC1より先に作られている
2 PC1とPC3は同じ錬金術師によって作られたらしい内部共通点が見られる
3 PC3と似たような機構が混じった機械型クリーチャーが随分前に見られていた
4 クリーチャーを機械的に融合させていた工房があったらしい。
5 PC2の機械的な機構はPC3やPC1の試験的な位置付けと見て間違いない
6 かつてクリーチャーと機械を融合させ、心臓を取り除くことでカースを除去しようとする錬金術師が存在していたようだ。

クライマックス前

錬金術師は死んでいるが、かつて工房だった場所へ向かう(ポラリスを連れていくか選んでも良い)とその工房は自律的に機能していた。それは錬金術師が作成した最後の模造品だった。”彼女”は自らを「die Werkstatt(ディ・ウェルクシュタット、工房の女性名詞表現)」と呼び、カースに感染しているようだ。PC1のことを「一番よく出来た坊や(あるいはお嬢さん)」、PC2を「可愛いお兄ちゃん(あるいはお姉ちゃん、どちらにせよ母が長男や長女にたいして使うように)」、PC3を「懐かしい息子(もしくは娘)」と呼ぶ。

彼女はカースによって「より完成されたものを作りたい」という欲求に動いており、PC1を完成品とし、この世界を「より完成されたもの」とするべく、錬金術師の遺した技術を用いて稼働していたが、わざわざクリーチャーを捕まえるより殺した方が早いと気付き、この騒動を引き起こしていたようだ。(ここでPC2のカースが実は「模倣」ではなく「より完全なものになりたい」であると公開する。)

彼女を止める術は今の君達にはなく、壊すか、PC2がカースを解除するしかない(ただしそのためには一度本来の姿に戻る必要がある)。彼女はPC2を「手術」するべく君達に襲いかかる。

クライマックス戦闘

黒幕との戦闘。

特殊戦闘「工房」 この戦闘空間全てのマスは「工房」である。PLが操作するPC以外の全てのオブジェクトへのHPダメージ、及びTP減少効果は「工房」にもダメージとして蓄積される(ただし敵側キャラクターの特技によるTP減少は含まれず、重圧などの増加分だけとなる。)。

エネミーデータ

エネミー「die Werkstatt」
アクション0 リアクション0 リベラル10
発動体 工房
発動体効果 準備タイミングを3回行える
攻0 防0 移0
HP100 TP100 SS∞(必ず最速で行動する)
このエネミーは戦闘空間上に存在するが、0×0のエネミーである(盤面上には配置しない)。
所持大魔法
アカシックレコード
ルインズウイング
アスタリスク

特技
即時錬成 A 0 戦闘空間にキャラクター:PC1もしくはPC2もしくはPC3を召喚する。このキャラクターはフォルムシートも備える。ただし大魔法は取得出来ず、特技効果以外でのカバーは行えない(カバータイミングは存在する為リアクション時のフォルムチェンジは可能とする)。1ラウンドに2回まで。

師の教え A 10 戦闘空間に存在する地形を一つ、任意の地形に書き換える。レベルの変動はしない。

子供たちへの手向け(たむけ) A 5 戦闘空間に存在する全てのキャラクターに興奮1、鼓舞1、衰弱-1を与える。

陣地構築 A 10 戦闘空間上の特殊オブジェクト1つを破壊する。

エンディング


君達が戦闘を終えると工房は機能を停止する。PC2は彼女のカースを解除しても良い。(その場合PC2は人前でクリーチャーの姿を晒す事となり「破滅」となる。ただし彼女の手術を受け入れた場合は回避出来てもよい)
また、PC1は破滅の翼を使用して彼女を(もしくはクリーチャーを殺す為に生まれた自分自身を)「殺害」してよい。彼女は死に、工房は沈黙する。(なお自分を殺した場合「破滅」となる。彼女を殺した場合は彼女により取り付けられた「マスターの死に応じて機能を停止する機能」によって君も意識を失う。目を覚ます為にポラリスが不可欠であるため、ちゃんと仲良くさせておく事。)

直後ハーベストのカース特対及びイマヌエルカント(とポラリス)とアマリリスのメンバー及び本郷大和が工房に介入する。(ここでPC3はハーベストに付くかアマリリスに付くか選べる。アマリリスにつかない場合アマリリス側からリークされてしまい「破滅」となる。GMはPL3に丁寧に「君はアマリリスだ」と説明したりしなかったりして破滅に導いたり導かなかったりすること)

戦いの最中工房はついに崩れ出し、ドロシーとトトが介入して事態は幕を下ろす。君達はハーベストに帰還することになる(PC3が「破滅」を回避した場合アマリリスへ帰還すること)

個別エンディング

PC3、アマリリスにてトトに報告のシーン、もしくはハーベストにてドロシーによって裁かれる。捌きの途中でトトが独房へと潜入、PC3の記憶は消去される。君はきっと記憶喪失により執行猶予で釈放されるだろう。しかしもう、行く当てなど残っていない。

PC2、ハーベストにてアスタロトとの会話のシーン、もしくはアスタロトの手で「処理」される。無意識的にカースを振り撒いていたようで、すでに感染者がいたのだ。

PC1 ハーベストにてポラリスとの会話のシーン、もしくはポラリスが動かなくなった君に縋り付いて泣き叫ぶシーン。止まった鼓動は、もう動くことはないのだ。

シナリオの流れ・GMへの諸注意

過去 錬金術師がクリーチャーとの共存において一番の問題であるカースを取り除くべく、心臓を取り外して人工心臓を埋め込む事を考える。彼は工房で様々な実験を繰り返していたが、老いには逆らえなかった為にディ・ウェルクシュタットを創造。ウェルクに「自らの意志を、継いでくれ」と言い残してこの世を去る。彼女は1人工房に残る。この頃、PC2はこの工房にて肉体を変容させられる。(シナリオ開始の15年以上前、PC2はまだ幼いクリーチャーだった頃の話)

数年前 ウェルクは様々な模造品を作成し、クリーチャーの捕獲を命じていた。その中にPC3も含まれる。PC3はその最中にカースに感染してしまい、トトに助けられる。記憶を消され、アマリリスで活動するようになる。

シナリオ前日 PC1はちょっと前に完成していた。彼女の最高傑作である。しかし彼女はこの時既にカースが発症してしまっており、クリーチャーの破壊を命令する。しかしここで作られた模造品には全て、この工房を建てた錬金術師の思いが込められていた為に生まれたての君は反発、脱走する。記憶を『破壊』し、何も覚えていない状態で君はポラリスに発見される。

シナリオ中 ウェルクは劣化コピーのPC1を作成し、PC1の捜索とクリーチャーの捕獲を命じていた。破壊を断られた為に自分の手で破壊すれば良いと考えている。彼女は今も師が間違っていたとは思っていないが、それは膨大な時間と膨大な手間、そして魔界から溢れ出るクリーチャーの早期発見の必要性なども鑑みて不可能と判断している(と思い込んでいるだけで実際はカースのせいで思考が引っ張られている)

エンディング 

PC1が破滅しなかった場合、ポラリスが大魔法を切る形で息を吹き返すように(哲人王の眼、もしくは破滅の翼。ポラリスを新たなマスターとする、もしくはウェルクとの繋がりを持たせる器官を破壊する事で君は目を覚ます)。ポラリスは君の目が覚めると同時、泣き笑いをしながら君に抱きついてその身を案じていたことなどを話しつつ、君との再会を喜ぶことだろう。
破滅の場合、君はそのまま息を吹き返す事もない。

PC2が破滅しなかった場合、カースは君が捕まった10数年前に既に感染していた事とする。当然今の君はカースを漏らすようなヘマはしていない。アスタロトはあの難しい場面で人前でその身をひけらかさなかった事を褒めるように。
破滅の場合、君は「記憶のない間にカースを感染させていたかもしれない存在」として扱われる。その為、ハーベスト内でも物議となり、結局は生徒の身を案じる(フリをしてクリーチャーを根絶やしにしようとしている)上層部の決議によって、心臓を破壊する事が決定する。アスタロトは君に哀しげな目を向けながら、君の体を闇に包んだ。

PC3が破滅しなかった場合、君はトトに褒められる。クリーチャーを半ば無理やり心臓移植していたあの工房の破壊はアマリリスの任務だったようで、君はその場に居合わせてしまったものの即座にアマリリスとして行動してくれた事を褒められる事になる。
破滅した場合、君はハーベスト側に着く。アマリリスのメンバーから「PC3、お前なんでそっちに着くんだよ!トト様の御恩を忘れたのかよ!」と叫ばれる。ともあれ君は崩れる工房からドロシーと共にアスタリスクでハーベストへと転移する。裁かれる裁かれないはGMの判断に任せるが、その最中、真夜中に夜君の部屋にトトが忍び込んでくる。彼女は冷たい目を君に向けて、君がトトに助けられてから今までの記憶を全て削除する。君はハーベストの事もアマリリスの事も一切覚えておらず、「アマリリスの裏切り者」と罵られたり、友人だったと思われる人物に「ショックだよ、君は僕たちを騙していたんだね。その記憶喪失もそういうフリをするようにアマリリスで言われてるのかい?…いや、聞くだけ無駄だったね」と距離を取られるようになる。何もわからないまま、君は一人ぼっちでこの学園を生きることになる。
万が一、仲の良い友人が出来たとしよう。そいつは酷い苛めに遭うだろう。もしかしたら、ドロシーの手で「多少は」マシになるかもしれない。だがそれはあくまで「表面上」にすぎない。君に張り付けられたような笑顔を向けてくる奴しか、そこにはいない。

GMをするにあたって

絶対に破滅エンドに救いを作らないでください。その為破滅はなるべく回避させるようにしてください。PLが破滅を選んだ場合、うまいことフォローして修正するように向かわせるか、いっそ破滅エンドだと言い切っても構いません。それでもPLが、PCが望むのであれば、ズッタズタに引き裂いてください。

ぶっちゃけ「シナリオの流れ」さえ合っていれば中身がどんなにずれても構いません(破滅内容が死につながっても繋がらなくても構いません)。というか模造品の特性上HOに完全に沿ったキャラを作成することも難しいと思うので、キャラに合わせて各GMで判断してシナリオに乗っかれるようにしてください。
PC1は出自不明であること、PC2は自分のカースが「模倣したい」だと思っていること、PC3も出自不明であることだけはずらさずにPLにキャラ作成をお願いしてください。

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