虚空を漂う夢を見る島 ~The Dream of a Butterfly~

魔法学園RPG ハーベスト
シナリオ「虚空を漂う夢を見る島~The Dream of a Butterfly~」
推奨人数 3人
推定時間 6~7時間
推奨リベラルアーツ フォース、ブリンガー、フロート、ミュート、ララバイ、各種オペレイト系魔法
イメージソング RE:I AM[aimer]

今回予告

少女は夢を見た
少女は蝶になり、空を舞い、歌を唄う
少年は夢を見た
少年は願いを叶え、民は喜び、宴が始まる

しかし、目覚めは必ず訪れる
使者は夢の終わりを告げ、世界を無へ帰すだろう
夢の時間は果たして終わるのか、それとも…

魔法学園RPG ハーベスト
「虚空を漂う夢を見る島~The Dream of a Butterfly~」

魔法の時間は、まだ終わらない。

◆シナリオハンドアウト
PC1 コネクション:ドロシー・フロム・オズ 推奨関係:想い人/親友
君は魔法学園ハーベストの学生だ。君たちは修学旅行のため、空飛ぶ自動車で南の島に向かうはずだった。しかし道中、ドロシーの無茶な運転で墜落してしまい、次に目が覚めた時にはドロシーと共に、知らない島の浜辺に打ち上げられていた。どうやらまた厄介なことになったようだ…。

PC2 コネクション:セイレーン 推奨関係:好奇心/恩人 指定クラス:楽器魔導学科
君は魔法学園ハーベストの学生だ。修学旅行へ向かうために空飛ぶ自動車に乗っていたはずだったが、気が付いたときには墜落してしまっていた。君は目が覚めると、見知らぬベッドに横たわっていたことに気づく。そしてすぐそばには見知らぬ女の子が座っている。目が覚めた君に気づくと、彼女は笑顔で話しかけてきた。「あなたはだれ?どこから来たの?」

PC3 コネクション:ザン 推奨関係:自由
君は魔法学園ハーベストの学生だ。
修学旅行へ向かうために空飛ぶ自動車に乗っていたはずだったが、気が付いたときには墜落してしまっていた。君は目が醒めると、自分が後ろ手に縛られていることに気づく。目の前には民族めいた格好をした者たちが見える。彼らを代表するらしい男が、君に問いかける。「お前は敵か?そうでなければ何者だ?」

オープニングフェイズ
シーン1:PC1の夢(PC1)
PC1の回想シーンである。幼い頃、君は夢を見た。
暗い森の中、辺りは真っ暗で、唯一空から差し込む月の光だけが、道を照らしてくれる。
君はただまっすぐ歩く。特に意味はなく、ただ歩く。
そうすると、目の前に、魔女っこみたいな恰好をした桃色の髪の幼女がいる。幼女は切り株に座って、めそめそ泣いている。
「・・・あなたはだれ・・・?どうしてこんなところに?」
「わからない・・・の?・・・そう。私はドロシー。ドロシー・フロム・オズ。」
「ねぇ、PC1くん。私と遊んでくれない?」
「この月が落ちるまででいいから。私と遊んで?」
君は彼女に手を引かれると、急に体が急上昇するのを感じる。
次の瞬間、君は空を飛んでいた。箒に乗って、目の前の彼女にしがみついている。
「・・・こうやって夜の空を飛ぶの、気持ちいいんだよ。」
そういうと彼女は、少しばかり荒っぽい運転をする。
「あはは、面白いね。少し怖かった?」
彼女と共に、君は箒に乗り、月へと向かう。
意識が途切れる寸前、彼女の声が聞こえた
「ねぇ、また会えるかな。」
「また、会えるよね。待ってるから。」

どうして泣いているの? ⇒ 気が付いたらお母さんも、お父さんもいなくて、ずっと独りだったの。だから寂しくて・・・

シーン2:再会(PC1)
君は現実世界で、退屈な毎日をいつものように暮らしていた。
ふと、夜に誰もいない道を歩いていると、突然、空から声が聞こえる。
「わわわあああああああ!」
君がつられて上を見ると、目の前には少女の顔があった。
落ちてきた少女にぶつかり、地面に倒れこむ。
倒れた君の身体の上に、少女が乗っかる形になる。
「いたた・・・えっと・・・ごめんなさい!だいじょぶ・・・?」
そういって、顔を覗き込んでくる少女の顔は、前に夢で見た女の子の顔に瓜二つだった。
「わわ。ほんとごめん!こっちの世界に遊びに来ようって思って飛んで来たんだけど、焦ったら変な飛び方しちゃって」
「あ、そうだ。ね、キミ、魔法に興味ない?」
「私、この世界のお隣の世界で、魔法学校の学長やってるの。
キミみたいな日常を退屈そうに過ごしてて今にも刺激を欲しがってるって顔してる子って、素敵な魔法使いになる素質があるんだよ~」
「あ、信じてないなー、その顔は。ほんとはあんまりこっちで魔法つかっちゃダメなんだけど・・・それっ」
そういって彼女が指を鳴らすと、空に浮かぶ三日月が、きらきら輝く満月へと変わった。
「ね。素敵でしょ。魔法って、夢みたいなことが、いっぱい実現できるの。もし興味もってくれるなら・・・一緒に行こう?」
「そうだ。キミ、名前は?」
「私はドロシー、ドロシー・フロム・オズ。よろしくね。」
彼女はそういって手を差し出す。キミは彼女とともに、月に向かって夜の空を飛んだ。

シーン3:修学旅行前夜(PC1)
PC1はドロシーに呼ばれ、学長室にやってくる。
時は修学旅行前夜。ドロシーはいつものように外の景色を眺めていた。
「あ、PC1くん。遅いよー。待ってたんだよー。」
「座って座って。なんか修学旅行の前の日ってさ、眠れなくならない?だからお話ししたいなーって思って」
子どものように無邪気に笑いながら、彼女は語る。
「そういえばね。カント先生にわがままいって、修学旅行の班、キミと同じ班にしてもらったんだよ!」
「えー、だって、どうしても君と海、行きたかったんだもん・・・」
「ね、こっちの世界に来てさ、楽しい?」
「・・・よかった。私、結構無理やりスカウトすること多いからさ、もし後悔しちゃってる学生がいたらどうしようーって、結構不安なんだよ?」
「でも、どんな子にも、ここ、魔法学園ハーベストは、夢のような世界、夢を叶えられる世界であって欲しいって、そう願ってる。」
「君は、どう?ここで夢、叶えられそう?」
「・・・そういってくれて嬉しい。ね、また久しぶりに一緒に空飛ばない?」
「今度は君が運転してよ。スリルいっぱいな激しいの、期待してるよ?」

シーン4:挨拶(PC全員)
ここは魔法学園ハーベスト、今、講堂にたくさんの学生が集まっている。
皆の視線が集まる舞台の中央には、一人の少女が立っている。
「それでは、学長からのお言葉です」
「はーい、みんな、こんにちはー!学園長のドロシーだよ!
今日から1週間ほど、研修旅行ということで魔導次元の最南に位置する島「アルカディア」へ行くことになります!
アルカディアは実は私もまだ1回しかいったことがなくて、しかもその一回は職務中に抜け出していったもんだったからすぐに呼び戻されちゃって、あんまり楽しめなかったの。
だから今回はやりたい放題遊びたいなーと思ってます!みんなもいっぱい楽しんでね!
けど、1つだけ気を付けて欲しいのは、いくらリゾート地だといっても、そこはハーベストの外。
危険な魔物やなんかもいるかもしれません。だから、みんな、ちゃんと輪を乱さずに、くれぐれもはしゃぎすぎないようにね!以上!」
「次に、引率教員代表として、カント先生にお話をしていただきます」
「えー、学長はああおっしゃっていましたが、私からは具体的な日程について再度確認させていただきます。
先日もご説明しましたが、アルカディアへは、魔導次元の技術と、外世界の最新鋭の技術を組み合わせて発明され、昨今一般販売もされたこの『スカイ・ドライブ・リヴァティ』で向かいます。」
そういってカント教授が杖を振ると、空中に自動車のホログラムのような物が映し出される。
「スカイ・ドライブ・リヴァティは文字通り空を飛ぶ自動車として設計されています。安全性が高く、マナをエネルギーとして機動するので魔導次元での旅行に適した作りとなっています。
これは卒業された君たちの先輩が開発したものです。パンフレットを配っておきますので、興味のある方は目を通しておいてください。
運転は引率教員が行います。学生は引率教員ごとにグループ分けをしてあるので、そのグループをまず、発表します。」
ドロシーのグループに、PC全員の名前があげられる。
「それでは、今呼ばれたグループの教員のところに行って、さっそく各自出発準備を進めてください」

シーン5:出発(PC全員)
ドロシーの前には、PCたち3人が集まった。
「えーと、幸運にも私の班に選ばれたキミたちには、まず自己紹介をしてもらおうかなっ」
「はいじゃあさっそく出発するよ~」といって、ドロシーが手を掲げると、皆の目の前に突然スーパーカーのような見た目の自動車が表れた。
花柄ピンクの派手な装飾で、自動車のフロントと側面にはドロシー本人のイラストが描かれている。
「どうかな?ねぇどうかなこれ?ちょっとだけわがままいって特注にしてもらったんだけどさ、すごく可愛いよね?」
「じゃあ早く乗って乗ってー」
「あ、シートベルトは締めといてね」
「実は昨日の夜、引率教員のための運転研修があったんだけど、ちょっと優先したい用事があって、いけなかったんだよね」
「だから私これ運転するのはじめてってことになっちゃうんだけど、まぁ・・・もし荒くなっても怒らないでね??」
「はーいじゃあしゅっぱーつ!」
ドロシーの車が発進すると、他の教員の車が並んでいる列を無視して、最大加速で最前線まで突っ走っていく。
「とりあえず一番前にいたら他の車にもぶつからないしよっぽど大丈夫でしょ」
「方向は南に向かえばいいんだよね。うん」
魔法学園ハーベストを抜けて南へ、大きな壁のような山脈を超えると、青い海が見えてくる。
ドロシーの運転は多少おぼつかないが、上空から見える景色はとても美しく、見るものを引き付ける魅力がある。
「海だーーー!」
と言ってドロシーがハンドルを投げ出して外の景色を見ると、自動車が急降下していきそうになる。
ここで、PCたちは何らかのリベラルアーツを使用して車の体勢を立て直す必要がある。
(全員が失敗した場合、ドロシーの魔法で解決するが、PCは気の疲れを感じてTP-1)
「あはは、ごめんごめん!今度はちゃんと前見て運転するから・・・」
最高速で飛行しているので、後ろには他の車は見えず、目的地までつくのもすぐになりそうだ。
「あ、ほらほら、見て!カモメがいるよ!しかも2羽!親子かな?」
大きなカモメと小さなカモメが、翼を広げて空を飛んでいる。車はすぐにカモメたちを追い抜く。
「わー!あっちも見て!海の上をちょうちょが飛んでる!」
蝶は海の上をゆっくりと舞っている。車はすぐに蝶を追い抜く。
「ついたら班での自由行動になるから、着く前にうちの班の予定決めておこうか。」
「一日目は海に行きたい?それとも山?夜は肝試しもしたいよね!」
「なんか、この辺の海域には、とっても恐ろしい魔物が住んでいるらしくて、
その魔物の祟りで、一年で何人も生贄として行方不明になってるって噂があるらしいよー・・・」
「まぁ噂は噂だし、アルカディアとは関係ない伝承だから、そんな怖がることでもないと思うんだけどねー」
「あ、そうだ。みんなにこれ渡そうと思ってたんだ。」
そういうとドロシーは、ドロシーの顔がデザインされたバッジのようなものを取り出した。
「もし誰かが迷子になったときに連絡できないと不便だから、魔法ですぐ通話繋がるためのバッジ。
スマホもあるけど、念のためにね。せっかく作ったんだからみんなちゃんとつけてね?」
話していると、突然、白い霧のようなものが立ち込め、視界が悪くなる。
「なんだろうこの霧、前が全然見えないよー!」
完全に霧に包まれたかと思うと、視線がぎりぎり通るくらいの場所に、1つの島が見える。
「とりあえずあそこに着陸しよっか、場所の確認もしておきたいし・・・」
というと、ドロシーがぴたっと動きを止める。
「え?いや、うーん。ちょ、ちょっとまってね。えーっと」
「・・・え?わかるよ!さすがに!発進できたんだから着陸くらい・・・たぶんきっとおそらくこのボタンを・・・」
ドロシーがボタンを押すと、突然車が急上昇する。
「あれ?じゃあこっちだ!」
すると、今度はラジオの音声が大音量で流れ出す。
「わーうるさいうるさい!」
ドロシーが慌てて違うボタンを押すと、音がぴたっと止まる。
かと思うと、自動車に流れていたマナの反応も止まり、上空で完全に静止した状態になる。
「あ・・・やっちゃった」
「わわわわああああ~~~」
PCたちを乗せた自動車は、そのまま海へと墜落した。

シーン6:幸運(PC2)
PC2が目を覚ますと、見知らぬベッドの中にいた。
どうやら木でできた家の中にいるようで、おいしそうなスープの香りが漂ってくる。
そして、君のいるすぐそばに、見知らぬ少女が座っていることに気付いた。
彼女は君に気付くと、「大丈夫?」と声をかけてきた。
「浜辺に横になってたのを見つけて、連れてきたの。ここはロンリ島の私の家よ。」
「ね、あなたはだあれ?どこから来たの?」
「・・・そう。それって、この島より遠い遠い、海の向こう側にあるところなの?」
「わぁ。・・・あのね、私、実はあなたのことを見つけたとき、すごくどきどきしたの。
もしかしたら、この人は海の向こうからやってきて、私を外の世界へ連れて行ってくれるんじゃないかって。・・・なんて。ごめんね。初めてあった人に変なこといっちゃって」
「私はセイレーン。あなたは?」
「そう、じゃあPC2って呼ぶね。あ、そうだPC2、ちょうどそろそろスープができるの。おなかすいたでしょ?」
「じゃあ一緒に食べましょ!」

シーン7:不運(PC3)
PC3が目を覚ますと、目の前には民族衣装めいた格好をした何人もの男たちがいた。
PC3は木を背に後ろ手に縛られており、男たちは松明を掲げて君を見下げている。
PC3が目を覚ましたのに気付くと、彼らの最前列に立っている男が君に近づく。
「・・・目が覚めたか」
「お前、何者だ?どこから来た?」
「俺の名前はザン。こいつらのリーダーだ。」
「単刀直入に言う。俺たちはお前を『モルフェスの使者』じゃないかと疑っている」
「この島。ロンリ島には、絶対神であるモルフェスを神として崇める宗教がある」
「島の中心にはモルフェスにまつわる神殿があり、その祭壇にはとある記述があり、それが島全体に逸話として広がっている。」
「・・・海の果てより使者が現れ、鐘を鳴らせば、目覚めのときが訪れる。世界は終わり、無へ帰る。」
「つまり、世界の終末に関わるお告げだ。」
「だから、お前が浜辺に打ち上げられているのを見た俺たちは、お前をすぐに使者だと思った。」
「もしお前が使者なら、お前の存在が、この世界の破滅を導くことになる・・・ということだ。」
「答えろ、お前はモルフェスの使者か?」
「・・・そうか。さて・・・これからお前をどうするか・・・」

「ザンさん!こいつ海の向こうから来たって言ったんだ!こいつが使者に決まってる!」
「そうだ!早くこいつをなんとかしねぇと、世界が終わっちまう!」

「いや、お告げには『使者が現れ、鐘を鳴らせば、目覚めのときが訪れる』とある。
つまりこいつが何もしなければ、世界は終わらない。・・・牢屋にでも連れていけ」
ザンがそういうと、男たちはPC3の縄を解き、君を牢屋へ連れて行こうとする。
しかし、その様子を見たザンが突然こう叫ぶ。
「・・・待て!・・・気が変わった。こいつは俺が連れていく」
ザンは君の腕を取り、無理やり引っ張っていった。

シーン8:悪夢(PC1)
PC1は夢を見ていた。
空を飛ぶクジラに乗って、大海原の上を進んでいく。
「お前は死を恐れるか?」
クジラが君にそう聞いた。君は答える。
「お前はなぜ生きている。」
クジラは今度はそう聞いた。君は答える。
「そうか、なら、もしこういうことが起きたら、お前はどうする?」
クジラがそういうと、目の前に島が見えた。島にはドロシーが立っている。
クジラが口を開けると、そこからものすごい勢いで光線が飛び出す。
ドロシーに直撃する。彼女が倒れる。彼女の身体が鮮血に染まる。
PC1が叫ぶとはっと目が覚める。

シーン9:セイレーンとアケロウ(PC2)
PC2はセイレーンに呼ばれ、食卓に座る。
そこには暖かそうなスープとパン、それにサニーサイドアップがあった。
「さぁ、召し上がれ。」
「ふふっ、腕によりをかけて作ったんだけど、お味はどうかな?」
「おいしい?ならよかった。私も一緒に食べようっと」
「ね、PC2、あなたの好きな食べ物は何?」
「それ、うちの島にはないわ。詳しく教えて?」
「明日つくってみようかな。そのときは食べてくれる?」
話をしていると、玄関ががちゃりと開いて、小太りの大男が入ってくる。
「ただいま。おお、あんちゃん。目を覚ましたかい。」
「あら、お父さん。おかえり。あ、えっとね、この人は私のお父さん。」
「アケロウってんだ。よろしくな、あんちゃん。えっと・・・PC2だったか?」
「名前を知ってて驚いただろ?ほら、これに書いてあったんだ。お前のだろ?」
そういってアケロウは君にドロシーが象られたバッジを投げてくる。
「にしても、半日以上寝込んでたから心配したんだぜ。具合はどうだ?」
「そうか。そうだセイレーン、俺も腹減ってんだ。飯あるか?」
「はいはい。ちょっと待っててね。」
「なぁ、あんちゃん。海の向こうから来たんだよな?」
「なら、もしかしたらあんちゃんは、モルフェス様の使者・・・かもしれねぇな。だとしたら大ニュースだ。」
「モルフェス様ってんは、ロンリ島の神様ってとこよ。そして、逸話があるんだ。
海の向こうから来た奴が、鐘を鳴らすと、目覚めのときが来る。そうなると、皆が救われるって話だ。
昔は俺もばあちゃんにこの話を聞かされたもんでさぁ。村の奴はみんな知ってる。」
「セイレーンも憧れてんだ。使者がきっと、私を海の向こうに連れて行ってくれるの。って、何度聞かされたことか」
という話を聞いていると、
「お父さん!ちょっとこっちきてー」
「おっと、今の話、俺があんちゃんに喋ったことはセイレーンに内緒にしといてくれよな!」
そういって、アケロウもキッチンの方へ向かう。
君が食卓に一人になると、突然、バッジが音を立てて鳴り始める。

シーン10:ザンとセレナ(PC3)
ザンはPC3を小さな家へと連れていった。
家には、一人、紫色の綺麗な長髪の少女がいた。
「お兄ちゃんお帰り。誰?その人?」
「ああ、患者だよ。ひどいケガをしていてな」
そういうと、彼は君の背中を軽く叩く。君の背中に激痛が走る。
「打撲痕がある。酷い内出血だ。早く手当しないと痕が残るぞ」
「俺は村の医者なんだ。治療をするから、そこにうつ伏せになれ」
彼は君の治療をしながら語る。
「さっきは手荒な真似をしてすまなかった。お前の目にどう映ったかは知らないが、
村の皆も悪い奴らじゃない。ただ、これまで暮らしてきたこの世界が滅びるってのが怖いだけなんだ。」
「目的は手段を正当化する。村のみんながお前を亡き者にしてしまいたいという気持ちもわかる。
だが俺はたとえ世界が滅びるとしても、目の前の・・・怪我をしていて、今にも治療を必要としているような人間を
犠牲にするような男にはなりたくない。医者としても・・・な。そう、思った。」
「・・・お前の方から何か質問したいことはあるか?」

「俺たちは絶対神モルフェスを悪とし、対抗する反宗教民族だ。」

話していると、妹らしい少女が見慣れない果実のようなものを持って部屋に入ってくる。
「お兄ちゃん、その人大丈夫そう・・・?」
「ああ。俺が診てるんだ。心配するな」
「そっか。流石お兄ちゃん。・・・あの、パイムありますけど、食べますか・・・?」
「よかった。・・・あれ、食べ方わかりませんか?これ、こうやって剥いて食べるんです。」
「パイムはこの島だとメジャーな果物だが、お前の島にはないのか?」
「ああ、そういえば紹介し忘れていたな、こっちは俺の妹のセレナだ。」
「セレナです。あなたのお名前は?」
「そうだ。ロンリ島の外の世界の話をしてくれ。セレナも気になるだろ?」
とセレナに聞くと、セレナは突然せき込む。
「うん。すっごく聞きたいけど、また調子悪くなってきたから、ちょっと横になってるね。ごめんなさい」
「・・・そうか。何かあればすぐ呼んでくれよ」
「・・・妹は、病気なんだ。子どもの頃からずっとボロボロの身体で暮らしてる。
俺が医者になったのも、あいつを直してやるためだったんだ。だけど、結局何もできずに・・・」
そう話していると、突然ザンの身体からピロピロと音が鳴り始める。
「・・・ああ、そういえば、お前の身体についていたこれなんだが、怪しいものかと思って預かっていたんだ」
彼が取り出したのは、ドロシーが象られたバッジだった。今も音が鳴り続けている。

シーン11:通信(PC全員)
PC1が目を覚ますと、そこは砂浜だった。
服は濡れており、海辺に打ち上げられていたということに気付く。
空は夕焼けで、カモメの鳴く声が聞こえる。
砂浜の向こうには地球でいう熱帯のような林が広がっている。
持ち物は、魔法の発動体だけは手に握られていた。
そして、キミの隣には、ドロシーが横たわっていた。
「う・・・PC1・・・?あれ・・・私たち・・・」
「どうやらどこかの島に流れついたみたいだね・・・ここはアルカディアじゃないことは確かだし・・・」
「PC2くんとPC3くんは・・・?」
ドロシーははっとしてバッジを取り出し、連絡を取ろうとする。
「あ、PC2くん!PC3くん!どこにいるの!?大丈夫?」
「そっか、二人とも無事なんだ。よかった・・・ごめんね・・・私のせいで・・・」
「私もPC1くんも無事だよ。とにかく、早く合流したいんだけど、どうしよう・・・ってあれ?」
ドロシーが、あたふたして周りを探し始める。そして、何度も指を鳴らす。
「箒が、私の箒が無いの!いつもならどこかにいっちゃってもこうすれば来てくれるんだけど」
「この調子だと、合流するのにも時間がかかるかもしれない。とにかく今は、どこか合流できそうなところを・・・」
そういうと、ドロシーが突然ぺたんと座り込む。
「・・・ごめん、なんか体が熱くて・・・頭へんになってるみた・・・い・・・」
ドロシーがゆっくりと倒れる。息が荒く、顔が赤い。
PCたちの会話を描写したあと、ザンが通話に参加する。
「病人か。PC3の仲間だな?ならこの村に来るのは少し危ない。
おい、PC2っていったか?お前の今いる町には、きっと『アケロウ』って男がいると思うが、そいつを探してくれないか」
「そうか、なら話が早いな。その家を少し借りさせてもらうと、アケロウに伝えてくれ、俺とPC3はすぐそっちに向かう。
病人のそばにいるお前は、病人を背負って海岸線に沿って太陽の見える方向へ向かってくれ。そうすればきっと町が見えてくる。」
「さぁ、行くぞ、PC3。」

シーン12:待機(PC2)
PC2が通話を終えると、セイレーンとアケロウがやってくる。
「あんちゃんどうしたんだ?さっきはひとりでぶつぶついってたみたいだが・・・」
「ザンか。あいつの頼みなら聞かないわけにはいかねぇな。ようは客人を入れてやればいいんだろ?」
「病人を治せるのはザンしかいねぇ。なんてったって、この島にはザンしか医者がいないからな。」
「そういえば、PC2にはまだこの島のこと、詳しく教えてなかったね」
「ああ、この島には、二つの社会がある。俺たちが住んでるこの町は、モルフェス様を信仰する者たちが集まる町だ。
それに対して、島の反対側には、モルフェス様に反抗する民族の村がある。」
「この町と村は、モルフェス様を巡っての対立はしている。だけど、それ以外のところではお互いに助け合って生きているんだ」
「なんていったって、この街には医者がいない。この島で医療を扱えるのは、ザンだけなんだ」
「こいつを見てくれ」
そういって、アケロウは上着をまくる。腕には酷い傷跡が残っている。
「確か3、4年前だったか、山登りをしていたときに、この島に住む魔物にやられたんだ。
もう少しで腕を斬らなきゃいけないところだったらしい。だけど、ザンが治してくれた。」
「あいつはすげぇよ。まだ少し小生意気なガキくせぇところもあるが、この島じゃ一番立派な男だ。」
「今だって、病弱な妹のセレナのために、薬草を探し回ってるそうだ」
「ああ、すまねぇ、つい話しすぎちまった。お前の方からこの島について聞きたいことはあるか?」
「もう、少しは私にもPC2と話させてよ!」
「ねぇ、PC2、これってあなたのだよね?」
セイレーンは楽器を持ってくる。それは間違いなく、キミの魔法の発動体だった。
「PC2は音楽を奏でられるの?」
「私はね、歌が好きなの。」
「今度、PC2の音楽に合わせて、歌を歌いたいな。どう?」
「じゃあ、約束ね!」

シーン13:出発(PC3)
PC3とザンは、持ち物を持って、村を出発した。
村を出発する際、PC3の魔法の発動体も、ザンからPC3に手渡される。
街へ向かう途中、林の中を通りながら、彼はPC3に話した。
「アケロウは、俺が学校に通っていたころの恩師なんだ」
「島の反対側には、モルフェスを信仰する信者の町がある。さっき俺は、自分たちのことをモルフェスに対抗する反宗教民族だといったが、
町の人間を敵視しているわけじゃない。宗教的な対立があっても、それは口論にしかすぎないし、皆、お互いがいい奴らだってことを知ってる。
それに、俺自身も、町には世話になった。この島には、町にしか学校がないんだ。
だから、今俺がこうやって医者として働けているのも、町の人たちに学ばさせてもらったからだ」
「そうだ。せっかく町に行くんだから、お前の仲間の治療を終えたら、俺が通っていた学校に行くぞ。お前も来てくれ。」
「町が見えた、もうすぐ着くぞ。さぁ、先を急ごう」

シーン14:PC1とドロシー(PC1)
君はドロシーを背負って、海岸線を歩く。
すっかり夜になって、辺りも暗くなる。
キミは月の光を頼りにして、歩き続けた。
そんなとき、ふとドロシーが目を覚ました。
「・・・ごめんね」
「・・・なんか、いつも迷惑ばっかかけてるけど、今日のはほんとに酷いよね・・・」
「私はしゃぎすぎちゃうと、周りが見えなくなる癖があって、結構いろんな人に迷惑かけちゃって。
でも、いつもそれでもなんとかなるから、そんなに深く反省したことなかった。
けど、それって皆がこんな私のことを受けとめてくれるから、なんだよね。
みんながいてくれるから、キミがいてくれるから、私、いつも笑顔でいられるんだって。そんな気がする。」
ドロシーが君の背中に顔をうずめる。
「ね、こんな私だけど、これからも仲良くしてくれる?」
「・・・ありがと。PC1くん。大好き。」
いつもみたいにふざけた調子で、彼女はそういう。
町が見えたころには、ドロシーは眠ってしまっていた。
町に着くと、人が少し見当たる。町の人に聞いて、キミはアケロウの家に向かう。

シーン15:合流(PC全員)
夜、セイレーンとアケロウの家に、ザンとPC3がやってくる。
「おお、ザン、久しぶりだな。」
「アケロウさん、ご無沙汰です。病人はもう来られましたか?」
「いや、まだ来てねぇな」
と、話していると、PC1とドロシーが家につく。
「ベッド、空けましたよ。」
ちょうどセイレーンが部屋に入ってそういう。
「よし、じゃあ病人をこっちに運んでくれ」
ザンとセイレーン、それからドロシーは寝室へ運ばれ、治療に当たることになった。
キミたちはアケロウと共に、テーブルを囲み、それぞれの状況を話し合った。
「なるほどな。にしても、海の向こうからこんなにも人が来るとはな。今日は不思議な日だ。」
話していると、家の外から、人の慌てたような声が聞こえてくる。
「ん?なんだか外が騒がしいな。様子を見てくるか・・・」
といって、アケロウが立ち上がると、家の玄関が開き、青年が入り込んでくる。
「アケロウさん!大変だ!魔物が、魔物が町に攻めてきた!!」
「なんだと!?町まで下りてくるなんて、聞いたことねぇぞ!」
「今、聖職者の方々が魔法で立ち向かってくれているんだが・・・どんどんこっちに近づいてきてるんだ、早く逃げないと・・・!」
彼がそう言った瞬間、魔物の雄たけびが聞こえる。
「ひぇっ!俺は先に逃げるから、アケロウさんとセイレーンちゃんも早く逃げるんだぞ!」
そういって、彼は一目散と走り去る。
「・・・どうやら大変なことになったみたいだな。とにかく様子を見に行くぞ」
外に出ると、家から少し離れたところに、翼の生えた女面鳥身の魔物がいた。
PCたちはつい先日講義で習ったばかりの「ハルピュイア」という魔物であるとわかる。
ハルピュイアは立ち向かう聖職者たちを、奇怪な歌声から発せられる魔法で、弾き飛ばしていた。
「おいおい、これはやべぇな・・・早く逃げなきゃやられちまうぞ・・・」
「おい、あんちゃんたち!戦えるのか・・・?」

【ハルピュイアとの中間戦闘】

戦闘が終わると、アケロウは君たちの元へ駆け寄った。
「驚いた。あんちゃんたち、町の聖職者よりも強いんだな。」
ザンとセイレーンが家から出てくる。
「お前たちが魔物を退治したのか。助かった。ああ、おかげでお前らの仲間も回復しそうだ。
薬も飲ませたし、今は寝かせてある。」
「あなたたちも今日は疲れたでしょ?今日はうちに泊ってゆっくりしていって。」

シーン16:PC2の夢(PC2)
その夜、PC2は夢を見た。
君はステージのような場所にいる。魔法学園ハーベストの講堂だ。
客席に人は誰もいない。スポットライトが君に当たっている。
隣には、同じようにライトに照らされたセイレーンがいた。
セイレーンは、マイクの前に立っていた。
キミは演奏した。知らない曲だった、だが、身体は勝手に動き、音を奏でる。
セイレーンはそれに合わせて歌う。
演奏が終わると、セイレーンは君の方を振り向いて微笑む。
その笑顔を見た途端に、キミはぼんやりと目が覚める。

シーン17:PC3の夢(PC3)
その夜、PC3は夢を見た。
君はたくさんの机が並んだ大きな部屋にいる。魔法学園ハーベストの講義室だ。
講義室には4人いる。キミと、キミの隣に座るザン、そしてその隣に座るセレナ。
もう一人、教壇に立つアケロウ。アケロウが講義を行う。彼が杖を振ると、教壇にあるつぼみが美しく花開く。
君はそれを真似て、魔法を発動させようとする。しかし、キミの目の前のつぼみは、萎れてしまう。
ザンはそれを見て笑う。そして、彼も杖を振る。しかし、彼の目の前のつぼみは、毒々しい色をした奇妙な花が開く。
それを見て今度はセレナが笑う。そして彼女も杖を振る。すると、彼女の前のつぼみは、大きな音を立てて爆発する。
君もザンも、それを見て大笑いする。アケロウも笑っている。
笑い声が段々とフェードアウトしていき、目の前がフラッシュのようにちかちかする。
気が付くと、キミははっと目が覚める。

シーン18:朝(PC全員)
朝起きると、食卓にはたくさんのフルーツが調理されて並んでいた。
「みんな!おはよう。朝ごはんだよ!」
セイレーンがそう声をかける。ザンもアケロウも起きてくる。
「すまない。俺までごちそうになってしまって」
「何、いいってことよ。こうやって大人数で卓を囲むのも久しぶりだ。はは。」
「PC3、これを食べ終わったら、学校に行くぞ。アケロウさんも行くんだろう?」
「よし、じゃあ行くか。」
セイレーンは、PC2に声をかける。
「ね、PC2、昨日の約束、覚えてる?じゃあ、後で一緒に海に行きましょ?そこで・・・いい?」
「うん。ありがとう、PC2」
ザンは出発する前に、PC1に向かって、こう告げる。
「ドロシーって言ったか?お前の仲間は、もうそろそろ目覚めるだろう。もう心配はいらないから、目が覚めるまで見ててくれるか?」

シーン19:ザンと学校(PC3)
町の学校は、人数こそ少ないが、子どもたちの活気で溢れていた。
その中には、セレナの姿もある。
彼女は、友達と楽しそうに会話をしていたが、兄の姿に気付くと、こちらへ駆け寄ってきた。
「お兄ちゃん!学校に来てたんだ!」
「ああ、せっかく町に来たんだ。寄っていこうと思ってな。体調はどうだ?」
「うん、今日は大丈夫だよ。PC3さんも、怪我はもう大丈夫?痛くない?」
「よかった。でもやっぱり、お兄ちゃんの治療がすごいのかな?」
「そうかもしれないな。あ、おい、もうすぐアケロウさんの授業が始まるぞ。」
そういうと、セレナは校舎の中に入っていく。
校庭に流れるチャイムの音を聞きながら、彼はこういう。
「なぁ、PC3。ひとつ頼みがあるんだが、いいか?」
「この島の真ん中に、大きな山がある。そこにセレナの病気を治すことのできる薬草があるんだ。」
「俺も何度も探しにいこうとしたんだが・・・山は魔物の住処になっていて、村の奴らは危険だっていって俺を行かせてくれない。
それで、アケロウさんに頼み込んだんだが・・・俺のせいで、怪我をしてしまった。なんとか治すことはできたが・・・」
「そこでお前に頼みがある。お前、昨晩襲ってきた魔物を倒すほど強いんだろ。なら、薬草を探しに山に行くってことはできないか?」
「無理な頼みなのはわかってる。だけど、お前しか頼れる奴がいないんだ。頼む。」
「セレナの顔を見たか?あいつ、今にも自分が死ぬかもしれないのに、あんなに笑って暮らせてるんだぜ。
俺はあの笑顔を失いたくない。少しでもあいつの不安を取り除いてやりたい。」
「・・・すまない、PC3。」

シーン20:セイレーンと歌(PC2)
セイレーンと共に砂浜へ向かう。辺りは静かで、誰もいない。
砂浜に座り込むと、彼女はPC2を隣に手招きする。
「風が気持ちいいね・・・この風って、どこから来るのかな。」
「私、よく一人でここに来るの。そして海を見て、考えるの。この海の向こうには何があるんだろうって」
「ね、PC2、あれ見て。」
セイレーンが指さす方には、何羽かの蝶が、青紫の羽を広げて舞っていた。
「あれ、アサギマダラっていう蝶なんだけど、知ってる?」
「海を渡る、渡り蝶だよ。この島にも海を越えてやってくるの。」
「私ね、子どもの頃、ちょうちょが海からやってくるのを見て、私もちょうちょになりたいって思ったの。」
「そうすれば、この島から出られて、海の向こうの世界を知ることができる。そして、見てきたものをいっぱい、この島の人に話してあげるの」
「そう思ってからかな。眠ってるとき、ときどき蝶になる夢を見るんだ。自由に空を飛んで、海を越えて、そこにはお花畑が広がってるの。」
「あはは、私、すごい変なこと言ってるね。PC2は、私みたいに何かになりたいって思ったことはある?」
「・・・PC2も、いつか島の外に帰っちゃうんだよね」
「もし・・・その・・・そのときは、私も・・・」
「ううん。やっぱりなんでもない。あ、そうだ。それよりほら、楽器見せてよ」
「私の歌に合わせて、音を奏でて欲しいの。できる?」
彼女は歌いはじめる。その歌は、君が夢で聴いた音楽と同じだった。
身体は勝手に動き、音楽を奏でる。
「・・・すごい。この歌はね、私が作った歌なの。」
「私の歌・・・セイレーンの歌。」
「これ、島の外に出てからも、忘れないでね。」

シーン21:ドロシー・フロム・オズ(PC1)
ドロシーはベッドで横になっている。
君はそのそばで、彼女の目覚めを待っていた。
「・・・あれ・・・ここは・・・?」
皆が家を出てからしばらくして、ドロシーが目覚める。
「あ、PC1くん・・・」
「ね、私。夢を見たよ。君と初めてあったときの夢。」
「私が一人で森の中にいたとき、すっごく怖くて、寂しかったあの時、君が私を見つけてくれた。」
「PC1くん。私を見つけてくれてありがとう。」
君はその瞬間、目の前にいるドロシーから、何かよくわからないが、違和感を感じた。
「ね・・・もし、例えばだよ。このままさ。この島から永遠に出られなくなったら、どうする?」
「私は、それでもいいかなって思っちゃった。君がそばにいてくれれば、私はそれで・・・」
「・・・うん。そうだよね。君の言ってることの方が正しいよ。私、たぶんおかしくなってるんだと思う。」
突然ドロシーは布団に潜り、顔を見せないようにする。
「ね、手つなぎたい。ダメ?」
「・・・うん。ありがと」
「こうしてると、安心するの。君がそばにいてくれてる、自分が独りじゃないって感じられるから」

シーン22:山へ(PC全員)
PCたちは、一度アケロウの家に帰ると、ザンの頼みで、山に行くことになる。
「・・・PC3にはもう話したんだが、お前らに頼みがある。」
「俺には、セレナっていう昔から病弱な妹がいる。妹は今は学校にも通えて、友人と笑っていられる日々を過ごしているが、
いつそれが終わってしまうかもわからない。その妹を治せる花が、山にあるんだ。
だが、山には魔物が住んでいて、俺も何度も登ろうとしたが・・・ダメだった。
俺も俺で死ぬわけにはいかないんだ。この島には俺しか医者がいない。だから魔物にも立ち向かえたお前らに、頼みたいんだ」
そういって彼は頼み込む。
彼の隣にいるアケロウも同じように頼み込んでくる。
ザンから貰った「花」のスケッチを手にし、君たちは山へ向かう。
ドロシーもすっかり回復したようで、ついていくといって聞かないので、4人で向かうことになる。
山道をしばらく歩くと、開けた岬に出る。そこには、一輪だけ、綺麗な花が咲いていた。
花を抜いた瞬間、その根っこに顔があることに気付く、その顔は突然大きな悲鳴をあげる。耳がおかしくなりそうだ。
「病気を治す花って、マンドレイクのことだったんだ!」
ドロシーがそういう。君たちも授業で扱ったことがある、万病を治す元となる植物だ。
君たちは悲鳴をまともに聞いたせいで身体が固まってしまう。
そのすきに、マンドレイクは根っこを足のように動かしてぴょんぴょんと逃げていく。
君たちは体をなんとかして動かし、マンドレイクを追いかけた。
マンドレイクを追って山道を進むと、神殿のような場所にマンドレイクが入り込んでいくのが見えた。
遺跡へ進んでいくと、クルドサックが発動する。

クルドサック「遺跡」
1、コウモリの群れ ミュート、ララバイ  次の戦闘開始時にバッドステータス:衰弱レベル1を付加
2、落とし穴 フロート、フォース、ブリンガー 4点のHPダメージ
3、レーザー像 ミュート 5点のHPダメージ

遺跡を進んでいくと、行き止まりに大きな扉がある。扉はほんの少しだけ開いており、中から光が漏れているのが見える。
君たちはその扉の中へと進んだ。
クライマックスフェイズへ。

シーン23:目覚め(PC全員)
遺跡を進むと、明るく、広い円柱状の部屋に出た。そこにはなぜか、マンドレイクの姿はない。
突然、大きな音がしたかと思うと、今入ってきた扉を閉じるように、壁が表れる。
目の前には見たこともないような文字が書かれている石碑のようなものがある。
「あ、私この文字読めるよ。えっとなになに・・・」
『コレニ フレシ モノ ニ ツグ ロンリ ハ シマ ニ アラズ
ソラ ウミ ヤマ ヒト マモノ ミナ スベテ ツクリモノ ナリ
モルフェス ノ ミテイル ユメ ノ セカイ ナリ
モルフェス メザメルトキ ロンリ ハ アワトナル
ワレ メザメノシシャ ニ シンジツ ヲ ツタエル』
「つくりもの・・・って、どういうことだろう?」
彼女がそう呟いた瞬間、石碑の後ろにある壁が崩れる。
壁の向こうには青空が広がっており、下を見ると、町や村の様子が見える。
そして、突然、君たちの目の前に、体中に虹色の紋様が描かれた巨大なクジラのような生物が表れる。
「・・・我はモルフェスなり」
「目覚めの使者よ、よくぞここまで辿り着いた」
「私は・・・眠りについて、いったいどれくらい時が経ったのか・・・
私は夢を見ていた。それは一つの夢だったが、幸せな夢であった。
だが夢が終わりを告げようとしていたとき、夢の裂け目から悪夢が芽生え、私の夢を蝕みだした。
ああ、そうだ。その悪夢は、今も・・・」
クジラからそう声が聞こえると、突然、クジラの頭上から、黒い人型の影のような物が表れる。そして、クジラの目が閉じる。
黒い人型は笑ったような顔を形成し、君たちに語り掛けてくる。
「・・・キシシ。オマエタチ、マダコノシマガドンナトコロカワカッテイナイヨウダナ」
「コイツガオキチマッタラ、コノシマハミーンナキエテシマウンダヨ」
「シマノモノハ、ミンナホント、キシシ」
「オレタチハ、メザメナンテ、ヒツヨウトシテイナインダ!キエロ!」
黒い人型の影はそういうと、モルフェスの頭を叩く。その瞬間、光線のような物がモルフェスの口から飛び出し、PC1に向かって高速で飛んでいく。
「危ない!!」
ドロシーがそう叫ぶと、気が付いたときには、PC1はドロシーに庇われていた。
ドロシーはPC1の上に倒れこむ。彼女の身体も、君の身体も、鮮血で赤く染まる。
「・・・ごめん・・・一緒にいて欲しいっていったのは、私の方なのに」
「・・・さよなら、PC1。また会えて嬉しかったよ」
そういって、ドロシーは泡となって消えていく。彼女の身体も、血も、声も、すっかり存在しないものとなる。
「オマエタチガイナケレバ、ナニモカワラナイ。ダカラ、キエルノハオマエタチダケデイイ。」

【リヴァイアサン・モルフェス(黒い影とモルフェス)とのクライマックス戦闘】

「キエテシマウ・・・コワレテシマウ
ワレラノシマガ ワレラノセカイガ
・・ワ・レ・ラ・ノ・シ・マ・・・
・・・ワ・・・レ・・・ラ・・・
・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・」

黒い人型の影が姿を消すと、モルフェスが目を開く。
「・・・ありがとう、目覚めの使者よ。」
「初め私は、暗い森の夢を見ていた。そこには、少女1人しかいなかった。
しかし、やがて森の周りに、島ができ、人や動物が生まれ、世界が生まれた。
・・・だが、夢は覚めるもの
それが、自然のさだめなのだ。
わたしが、目覚めると、ロンリ島は消えるだろう。
しかし、この島の思い出は現実として、心に残る。
そして・・・キミはいつか、この島を 思い出すだろう。
この思い出こそ、本当の夢の世界では、ないだろうか
ありがとう PC1・・・PC2・・・PC3・・・
時は満ちた!共に目覚めよう・・・」
君たちの目の前に、大きな鐘が表れる。

鐘を揺らせば、音は鳴り、目覚めの時が訪れる。
モルフェスの目覚めと共に、夢の世界が消滅してゆく。
村が消え、町が消え、人々が消え、魔物たちが消えていく。
アケロウが、子どもたちに勉強を教えながら、消えていく。
ザンとセレナが、空を眺め、笑顔で話しながら、消えていく。
セイレーンが、大好きな歌を歌いながら、消えていく。
ロンリ島が、消えていく・・・。

シーン24:帰還
気がつくと、君たち3人は小さな木片につかまって大海原を漂っていた。
周囲にはロンリ島の影も形もない。

太陽の光が突然何かにさえぎられる。聞き覚えのある声が聞こえる。
君たちが空を見上げると、そこには空を飛ぶ自動車があった。
「おーい!みんなー!大丈夫!?」
そこには、ドロシーの姿があった。ドロシーは車を止めると、魔法で君たちを持ち上げ、車に乗せる。
「・・・みんな無事でよかった!!あれから一時間も探してたのに、全然見つからないから心配で・・・!」
「・・・みんな、どうしたの?」
大きな低い音が聞こえる。そして君たちは自動車の上を通り抜けて、空を泳ぎ、何処かへと去っていくクジラの姿を見た。
クジラの周りには、大きなカモメと小さなカモメが、翼を広げて空を飛んでいる。
そして、PC2の肩に、そっと青紫色の羽の蝶が止まる。ふとしたときには、海の上をゆっくりと舞って、去っていった。

【エネミーデータ】
「ハルピュイア」(中間戦闘時2体)
主体属性:地・風 クラス:クリーチャー 大魔法:なし
能力値「アクション:4」「リアクション:4」「リベラル:3」

特技
「砂塵の竜巻」消費TP3 R
敵一人が受けているグッドステータスを1つ消去する。
「魔陣連携」 消費TP2 A
アクションフェイズダイス数+(戦闘に参加している同一クリーチャー数)
「掠める者」 消費TP5 A
この魔法攻撃に対して、リアクションフェイズを行うとき、その発動ダイス数を-2する。

攻2 防0 HP30 TP15 SS6 移動1

魔法
「オリジン」「カース」
A「エアロスプラッシュ」風1水1
攻撃力+1、さらに攻撃範囲を自分の周囲全方位1マスに変更する。
A「ダストストーム」風1地1
攻撃力+1、さらにダメージ計算後、対象を1マス好きな方向へ移動させる。
A「グラビティゾーン」地1闇1
攻撃力+1、さらに攻撃範囲のマスを地形:重力場レベル1に変更する。
R「フェアリーサークル」風1光1
防御力+2、さらに味方1人のHPを2点回復する。
A「ハリケーン」風2地1
攻撃力+3、さらに攻撃範囲を自分の周囲全方位1マスに変更し、自分がいるマスと攻撃範囲のマスを地形:暴風レベル1に変更する。
A「ゴッドプレッシャー」地1光1闇1
攻撃力+3、さらに戦闘空間上の全ての特殊地形のレベルを+1または-1する。
A「ブレイブフェニックス」火1風1光1
攻撃力+4、さらに自分にグッドステータス:興奮レベル2とグッドステータス:会心レベル1を与える。
A「ディストラクション」呪1地1闇1
攻撃力+4、さらに戦闘空間の好きなマス1つを地形:黄泉レベル2に変更し、対象にバッドステータス:怨嗟レベル2を与える。
C「ディスピアー」呪2風1
攻撃力+8、さらに攻撃範囲に自分の周囲全方位1マスを追加し、対象を別のオブジェクトに衝突するまで後方向に移動させる。この魔法の発動中、自分は衝突によるダメージを受けない。また、この魔法の効果により敵が移動した場合、移動した敵に移動したマス×3点分のダメージを与える。
C「カルネージ」呪1風1地1
攻撃力+4、さらに戦闘空間上のオブジェクトを2つまで選び、戦闘空間の好きなマスに移動させる。
R「アスファルト」闇2地1
防御力+3、さらに地形変化しているマスの数だけ防御力を上昇させる。
A「エアレイド」風4
攻撃力+10、さらに戦闘空間の好きなマスに移動後、自分の周囲全方位1マスを攻撃範囲に変更し、対象を1マス好きな方向へ移動させる。
A「カオスオブアンビバレンス」闇3地1
攻撃力+9、さらに攻撃範囲を自分の周囲全方位1マスと、前方5マスに固定し、この発動タイミングで、魔法のコストとして使用したマナの数だけ攻撃力を上げる。

「レヴィアタン・モルフェス」
主体属性:水・風・闇 クラス:クリーチャー
大魔法:テスタメント、イマジナリーウイング、アスタリスク
能力値「アクション:8」「リアクション:5」「リベラル:8」

特技
「海の支配者」 消費TP3 R
このリアクションフェイズ終了後、戦闘空間上の全てのマスを地形:海原レベル1に変更する。
「七つの大罪;嫉妬」消費TP10 A
このアクションフェイズで、闇属性魔法レベル5「ヴァリアブルコード」をコストなしで発動することができる。シナリオ中1回
「万人の万人に対する闘争」消費TP4 A
敵全員にバッドステータス:混乱レベル1を与える。シナリオ1回まで使用可能。

攻6 防3 HP150 TP60 SS4 移動1
このクリーチャーは2(横)×3(縦)のオブジェクトである。

魔法
「オリジン」「アイリス」「カース」
A「タイダルウェイブ」水2
攻撃力+2、さらに対象にバッドステータス:衰弱レベル2を与える。
A「ダストストーム」風1地1
攻撃力+1、さらにダメージ計算後、対象を1マス好きな方向へ移動させる。移動させたマスにオブジェクトが既にあった場合、衝突が発生する。
A「ファイアボール」火1闇1
攻撃力+2、さらに自分にグッドステータス:興奮レベル1を与える。
A「アンビヴァレンス」光1闇1
攻撃力+1、さらに光または闇属性のマナを1つ発生させる。
R「テトラポッド」風1水1
防御力+1、さらに自分の次のリアクションフェイズでの防御力に+2する。
R「ビートディフェンス」光1闇1
防御力+2、さらに自分にグッドステータス:鼓舞レベル1を与える。
A「ハイドロハリケーン」水1光1闇1
攻撃力+3、さらに対象にバッドステータス:衰弱レベル2を与え、自分にグッドステータス:興奮レベル2を与える。
C「ナイトメア」呪1水1闇1
攻撃力+4、さらに自分にグッドステータス:浄化レベル2とグッドステータス:興奮レベル2とグッドステータス:鼓舞レベル2を与える。
A「プラズマカノン」光2風1
攻撃力+6、さらに攻撃範囲を前方5マスに固定し、対象の防御力を2分の1(端数切捨て)にしてダメージ計算を行う。
R「グロウアップソーラー」光2水1
防御力+4、さらに自分が受けているグッドステータスのレベルを全て1上げる。
A「メイルシュトローム」水4
攻撃力+10、さらに対象にバッドステータス:毒レベル3とバッドステータス:麻痺レベル3とバッドステータス:衰弱レベル3を与える。
A「リヴァイアサン」光3水1
攻撃力+7、さらに攻撃範囲に自分の右前、前、左前を追加し、対象にバッドステータス:麻痺レベル5を与える。また、この魔法の効果によって受けたバッドステータスは、戦闘終了時まで回復されない。
A「カオスオブアンビバレンス」闇3地1
攻撃力+9、さらに攻撃範囲を自分の周囲全方位1マスと、前方5マスに固定し、この発動タイミングで、魔法のコストとして使用したマナの数だけ攻撃力を上げる。
A「ルナティック」呪3光1
攻撃力+11、さらに自分のHPを10点回復し、自分が受けている全てのバッドステータスを回復する。
A「ヴァリアブルコード」闇5
攻撃力+12、さらに味方全員が受けているバッドステータス全てを消去し、それを全て敵全員に与え、敵全員が受けているグッドステータス全てを消去し、それを全て味方全員に与える。

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