――魔導に魅入られし娘、門を拓く
芦屋 千鶴(あしや ちづる)はごく普通の娘だった。
現代世界、日本という国で生まれた彼女は平和で平凡で平均的な人生を送ってきた。
最初に訪れた切欠は失恋だった。
中学生活も終わりを迎えた頃、彼女は同級生の男子に片想いの恋をしていた。
「ふたりとも受かったら告白しよう」
希望を胸に秘めた彼女だったが、現実は無情にも彼女に不合格を伝えた。
持てる情熱全てを注ぎ込んだ受験戦争、燃え尽きた彼女は辛うじて滑り止めの高校に進学を果たす。
だが、ここに来て彼女は遅咲きの反抗期に突入してしまった。
破る門限、親の説教もどこか遠く聞き流し、心配する兄の声すらも閉め出した。
そうしたある日のこと、「いつものように」道草を食っていたらいつの間にか見知らぬ地へと迷い込んでしまっていた。
隣町でもない、県内でもなさそう、そもそもここは日本なのか?
心細くなっていたところを格好の餌とみたのか、一匹のクリーチャーが襲いかかる。
あまりにも現実離れした光景、状況にぼんやりと死を連想する。
そのとき、彼女の中で何かが弾けた。
溜まりに溜まった不満が魔力回路をこじ開け、彼女の身体を駆け巡る。
最初に襲ったのは全身の血が沸騰しそうなほどの激痛。
感じたのは視界が真っ赤に染まりそうなほどの怒り。
次の瞬間、目の前に迫っていたはずのクリーチャーは跡形もなく消し飛んでいた。
抉り飛ばされた、そこに居たであろう場所ごと。
次に目が覚めたのは見知らぬ病室だった。
少しして元気そうな女の子がやってきてこう語る。
「あなた、魔法学園に入学してみない?」
不良少女は、そうして魔法少女となった。
魔法少女、理を識る
日常生活への帰還と引き替えに課せられた条件。
1つ、魔導次元および魔法に関することの口外の禁止。
1つ、日常生活に於ける魔法行使の禁止。
1つ、定期的な登校および受講。
規格外の魔法出力を持つ彼女だったが、引き替えに魔力の貯蔵量は平均的程度しかないため、「燃料ダダ漏れの暴走機関」が評価だった。
現在は学校7割、魔法学園3割で授業を受け徐々に魔法効率の向上を目指している。
なお、戦うことに関して忌避感は特にない様子。それどころか「漫画やゲームの世界みたい」とどこか乗り気でもある。
慣しもなく突然全身を大量の魔力が駆け巡った為毛髪の色が変色(脱色とも)してしまっている。
周囲には「染めた」と言って誤魔化している。
彼女の発動体は「自身の身体に浮かび上がった紋章」。戦闘時は「意図的に」制御を放棄し魔力暴走状態になることですさまじい攻撃力を生み出す。
ただし燃費は劣悪のため全力で戦えるのは精々2分ほど。そこを凌がれると抵抗できないのが弱点。
とは言え彼女の前に2分も立っていられればの話だが。
訓練用とは言え大型クリーチャーを一撃で消し飛ばしてしまったことで「暴走機関」の二つ名は不動のものとなった。

「魔導の門は拓かれた。火薬は血潮に融け、双腕を以て砲身へ至る。束ねし色は紅と翠、其は焔を孕みし乾きの風――我が意の元に集いて駆けよ!」
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※本キャラクターのイラストは「ジュエルセイバー」様の素材イラストです。

